こんにちは、K2 College 松本です。
今回は東京海上日動あんしん生命の長生き支援終身を解説します。こちらは2010年に発売された介護保障が付いた終身保険です。またこの商品に付加できる「特定疾病保険料払込免除特則」を気に入って加入している人が多いはずです。貯蓄性や保障内容を含めて、日本の保険会社の終身保険はどういうものなのか確認してください。
「がん保険や介護保険の代わりにもなりますよ!」と言われて加入しました。
たしかに要介護になった時に保険金が受け取れたり、三大疾病(悪性新生物、急性心筋梗塞、脳卒中)になった後に解約することでがん保険としても利用できる商品ではあります。
しかし保障内容が幅広いので保険料が高いというのがネックになります。
- 動画解説
- 東京海上日動あんしん生命は評価の高い会社
- 三大疾病になると解約返戻金が跳ね上がる終身保険
- 解約返戻率は30年で90%、実質利回りは-0.69%
- 契約はしない。既に契約している人は個別相談してください。
動画解説
東京海上日動あんしん生命は評価の高い会社
会社概要
東京海上日動あんしん生命は、東京海上ホールディングス100%出資の日本の生命保険会社です。1996年8月に「東京海上あんしん生命保険株式会社」として設立されました。2003年10月に「日動生命保険株式会社」と合併して現社名になっています。販売チャネルのメインは保険代理店(15,238店)と「ライフパートナー」という呼称の直接販売社員(770名)です。
会社設立:1996年8月6日
資本金:550億円
総資産:9兆4,918億円(2020年度)
保有契約高:31兆433億円(2020年度)
保有契約件数:608万件
格付情報
R&I:AA+(2021年7月1日現在)
S&P:A+(2021年7月1日現在)
ソルベンシーマージン比率
1,430.1%(2020年度末)
CMのキャラクターの印象が強いですね。また東京海上は大きな会社なので安心感もあります。
イメージだけで判断するのはダメですが、実際に格付の評価は高いので健全な会社と言えます。ちなみにイメージキャラクターの「あんしんセエメエ」は三谷幸喜さんが声を担当しています。
三大疾病になると解約返戻金が跳ね上がる終身保険
契約概要
商品名:長生き支援終身 低解約返戻金型終身介護保険[無配当]
保険期間:終身
契約年齢:15歳〜69歳
健康祝金:なし、あり(70歳または80歳開始)
払込期間:79歳以下(祝金なし、祝金80歳開始)、69歳以下(祝金70歳開始) ※1
払込頻度:月払、年払、前納
保険金額:200万円〜
※1 払込期間10年以上は必要で、1歳単位で自由に選択できる
保障内容
<主契約>
死亡や高度障害または夜介護2以上に認定されたときに、保険金を受取ることができます。
<特約>
・特定疾病保険料払込免除特則
がん、急性心筋梗塞、脳卒中の所定の疾病状態になった場合、以後の保険料払込が免除される。免除時点で保険料がすべて支払われた場合の解約返戻金となります。
商品解説
低解約返戻金型の介護保障付円建終身保険です。終身保険なので一生涯の死亡保障と介護保障と貯蓄機能がありますが貯蓄性はとても低いので、貯蓄を目的で契約する必要はありません。ただし「特定疾病保険料払込免除特則」をつけることで、三大疾病に備えられる保険として利用することができます。
特徴は
- 健康祝金を選択できる
- 特定疾病保険料払込免除特則がある
という点です。
健康祝金
健康祝金を付加すると「70歳、75歳、80歳」もしくは「80歳、85歳、90歳」のタイミングで保険金を受け取っていなければ以下の割合で健康祝金を受け取れます。
ただし保険料も上乗せで高くなるので、私なら付加しません。
特定疾病保険料払込免除特則
被保険者が、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患により、次の要件のいずれかに該当した場合、保険料の払込が免除されます。
そして上記の要件で保険料払込免除された場合は、将来の保険料が一時払で支払われたものとして解約返戻金を計算します。またそれ以降は低解約返戻金割合70%も免除されるので、解約返戻金が跳ね上がります。そして保険を解約することでこの跳ね上がった解約返戻金を受け取り、三大疾病の治療費に充てることができます。
ちょうど「この保険の払込免除がすごいですよ!」と勧められており、加入しようかと考えています。
この特則自体は非常に安心できる保障内容なので良いのですが、やはり日本の終身保険のコスパの悪さが大きな足枷になってしまいます。終身保険を契約する場合は、死亡保障に対して総支払保険料がいくらになるのか、また解約返戻金はどれくらい貯まるのか確認してください。次のチャプターで具体的なシミュレーションの数字を見ていきましょう。
保険用語については下記のリンクで詳しく解説しています。知らない方は併せて読んで頂く理解が深まります。
『予定利率』『積立利率』『利回り』とは?
解約返戻率は30年で90%、実質利回りは-0.69%
HPに載っている契約例は以下の通りです。
契約年齢:30歳 男性
保険金額:500万円
保険期間:終身
健康祝金:あり(80歳開始)
特定疾病保険料払込免除特則:あり
払込期間:60歳払済
払込頻度:月払
保険料:14,750円
総支払保険料:5,310,000円
<解約返戻金と返戻率>
30年後(60歳):4,780,000円(90.0%)
<実質利回り>
30年後(60歳):-0.69%
まず保険金額500万円に対して保険料をトータル531万円支払うことになります。この時点で可笑しい話しなんですよ。もちろん30年間保険料を支払った後の利回りは-0.69%と元本割れです。80歳からの健康祝金を受け取ればプラス利回りになりますが、50年以上先の話です。それを差し引いたとしても割高なのは明らかです。
ちなみに祝金なしだと以下のようになります。
総支払保険料:1,992,240円
<解約返戻金と返戻率>
30年後(60歳):1,800,000円(90.3%)
<実質利回り>
30年後(60歳):-0.66%
こちらも保険金額に対してほぼ同じ保険料を支払うことになります。
契約時から死亡保障、介護保障、三大疾病保障がありますが、どうせ元本割れしてる状態が何十年も続くなら最初から掛け捨ての収入保障保険やがん保険または三大疾病保険を利用して安い保険料で備え、貯蓄は別で行いましょう。
総支払保険料までは気にしていませんでした。こんなに払うことになるとは、、、
円建終身保険は一生涯の死亡保障を用意するという点でもコスパ悪いですし、貯蓄や資産形成という目線で考えると魅力は全くありません。そもそも円建だとインフレに対応できないので、少なくとも米ドル建の終身保険にしましょう。
ただ日本の米ドル建終身保険も利率が低すぎて、契約する意味がないので、貯蓄と死亡保障の両立ができる海外の終身保険を選択肢にいれてください。海外であれば総支払保険料の何倍もの死亡保障がありながらも実質利回りで4〜6%ほどで運用もできます。
詳しくは下記の入門書をダウンロードして一読ください。
※『海外保険入門書(マニュアル)』はこちら(無料)【NEW】
契約はしない。既に契約している人は個別相談してください。
終身保険の特徴は、死亡保障と貯蓄の両立が出来ることですが、日本の保険は
・貯蓄性が低すぎる
・死亡保障に対する保険料が高い
という理由でオススメできません。
そして、あなたが生命保険を検討しようと思った本来の目的は死亡保障ではありませんか? それなら掛け捨ての「収入保障保険」にするべきです。保障と貯蓄を分けて備えることで、保障はより手厚くなり、効率よく資産形成できるようになります。
既に契約している場合はどうしたらいいでしょうか?
契約内容によって「継続」「減額」「払済」「解約」と適切なアドバイスは変わるので、私に直接ご相談ください。
※直接相談(無料)
まとめ
- 加入するのはやめよう
- 今契約していたら、内容を見て個別に判断するので、お気軽にご相談ください(無料)
- 日本では保障と貯蓄は分けて契約しよう(終身保険はしないで)
また教育資金準備や貯蓄だけが目的の方は、下記の入門書を一読ください。
※【入門書】公的年金に依存しない自分年金を準備するための入門書
※【入門書】子供のためにベストな学資保険に入るための入門書
著者プロフィール
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大学卒業後、東証1部上場の設備会社で現場監督として勤務。
外資系生命保険会社からスカウトされ、2013年1月から生命保険のライフプランコンサルタントとして6年3ヶ月勤務。
また同時期に個人で海外投資も始めましたが、海外投資の情報は少なく信頼できるか判断も難しいので、WEBや知人から沢山の情報を集めていました。 その1つの情報源としてK2のメルマガを購読しながら知識を深めていきました。
そして国内外の保険や投資についてメリット、デメリットを正直に伝えた上でアドバイスをする活動方針に共感し、弊社保険アドバイザーとして2019年4月よりK2 Holdingsに参画しました。
クライアントのマネーリテラシーの底上げをしつつ、日々顧客利益の為に活動しております。
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