現代の金融市場において、投資詐欺や疑似詐欺商品は決して「一部の悪徳業者」だけによって成立しているわけではない。その背後には、IFA、保険募集人、FP、香港IFA、YouTuber、投資ブロガー、さらには一部の弁護士や会計士まで巻き込んだ、巨大な“無自覚な共犯ネットワーク”が存在している。
彼らの多くは、自分自身を「詐欺の加害者」だとは思っていない。むしろ「良い商品を紹介している」「顧客のために動いている」と本気で信じている。しかし、実態としては、詐欺的スキームの説明資料を一切疑わずに転送・拡散し、虚偽や誇張を含んだ内容をそのまま顧客に伝え、最終的に資金流入を助ける“実行部隊”になっている。
この構造が成立する最大の理由は、「誰も本質を検証しないまま、責任だけ分散されている」ことにある。金融庁、監査法人、法律専門家、販売員、メディア、それぞれが「自分の担当部分だけやっている」と思い込み、結果として詐欺を社会的に正当化してしまう。
以下では、この歪んだ構図を五つの側面から整理する。
- パンフレット信仰という思考停止
- 「保証」「安定」「低リスク」という魔法の言葉
- 運用していない“運用商品”という闇
- 弁護士・監査法人という“権威の貸与装置”
- 金融庁登録という“免罪符システム”
パンフレット信仰という思考停止

詐欺商品が最も巧妙なのは、「見た目が完璧」である点だ。洗練されたパンフレット、専門用語が並ぶ資料、海外ファンド風のデザイン、グラフと実績表。これらはすべて「考えさせないための装置」である。
多くの金融マンは、商品を自分で精査しない。運用手法を分解もしない。ポートフォリオの中身も確認しない。ただ「公式資料」をそのまま信じる。
そして顧客にはこう言う。
「この会社の資料なので安心です」
「監査も入っています」
「過去の実績もあります」
だが、詐欺スキームほど資料は美しい。むしろ、本物の運用ほど説明は地味で、数字は不安定で、リスクが強調される。
パンフレットを疑わないという行為は、思考を放棄した瞬間に、すでに共犯への第一歩を踏み出している。
「保証」「安定」「低リスク」という魔法の言葉

詐欺商品の説明には、必ず登場する言葉がある。
・元本に配慮
・安定収益
・リスクを抑制
・実質保証
・ヘッジ済み
・市場に左右されない
これらは、ほぼ例外なく“法的には保証になっていない”。
にもかかわらず、多くの販売者はこれを「保証的表現」として顧客に伝える。
「ほぼ元本割れしません」
「実質的に安全です」
「今まで損した人はいません」
これは明確な誤誘導であり、詐欺的勧誘の典型である。
問題は、本人が「嘘をついている意識がない」ことだ。資料に書いてあるから、自分は悪くない。そう思っている。
だが、保証でないものを保証のように伝えた瞬間、法律的にも倫理的にもアウトである。
運用していない“運用商品”という闇

詐欺案件の中には、そもそも「運用していない」ものが大量に存在する。
・資金は寝かされている
・別用途に流用されている
・自転車操業に回されている
・存在しない取引をでっち上げている
こうした商品を、販売側は知らないまま売る。
なぜ調べないのか。
理由は単純だ。
調べる能力がない
調べると売れなくなる
調べると面倒になる
つまり「知らない方が楽」だからだ。
本来なら、最低限以下を確認すべきである。
・実際の取引履歴
・資産の保管先
・第三者カストディ
・取引相手
・評価方法
しかし、それをできる販売員はほとんど存在しない。結果、「運用していない商品」の広告塔になってしまう。
弁護士・監査法人という“権威の貸与装置”

詐欺スキームが拡大する最大の装置が、専門家の名前である。
「顧問弁護士がいます」
「大手監査法人が監査しています」
「法律チェック済みです」
これを聞いた瞬間、多くの投資家は警戒を解く。
だが現実はこうだ。
弁護士:書類形式だけチェック
監査法人:計算だけ確認
実態:一切検証しない
監査は「数字の足し算・引き算」しか見ないことが多い。資産の実在性、評価の妥当性、ビジネスモデルの持続性には踏み込まない。
つまり、名前を貸しているだけだ。
これはエンロン事件でも証明されている。監査法人は“信用装置”として機能し、結果的に詐欺を巨大化させた。
それと同じことが、今も繰り返されている。
金融庁登録という“免罪符システム”

多くの人が誤解している最大のポイントがこれである。
「金融庁に登録されている=安全」
これは完全な幻想だ。
金融庁の登録とは、「最低限の書類が揃っている」という意味でしかない。商品内容の健全性や投資価値を審査しているわけではない。
登録=品質保証ではない
登録=詐欺でない証明ではない
にもかかわらず、業者も販売員もこれを“安全マーク”として使う。
「登録業者なので問題ありません」
これは、責任放棄の常套句である。
行政は「監督責任」を取らない。問題が起きたら「自己責任」で切り捨てる。その前提で制度は設計されている。
登録の有無だけでは判断基準にならない。ということですね。
見るべきなのは、“誰が責任を負うのか”と、“仕組みが説明可能かどうか”です。海外投資を始める時もIFAからしっかりと説明があるか、質問に対して答えてくれるかはとても重要です。
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まとめ:最大の問題は「無知×報酬」の組み合わせ
この構図を一言でまとめるなら、こうなる。
無知な人間に、販売報酬を与えると、詐欺は自然発生する。
ほとんどの加担者は悪意がない。だが、
・理解しない
・疑わない
・調べない
・責任を持たない
・金だけ受け取る
この五つが揃った瞬間、結果は詐欺と同じになる。
「知らなかった」は免罪符にならない。特に、専門家を名乗る人間にとっては致命的である。
本来、金融に関わる者に求められるのは、
・構造を分解する力
・疑う姿勢
・顧客側に立つ倫理
・売らない勇気
である。
しかし現実は、売れるものを売るだけの“金融営業マシン”が大量生産されている。
詐欺は、天才詐欺師だけでは成立しない。無数の凡庸な協力者がいて、初めて巨大化する。
そして、その協力者の多くは、今日も「自分は善意だ」と信じながら、誰かの人生を破壊する商品を紹介している。
この構造を理解しない限り、第二、第三の被害は必ず生まれ続ける。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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