この数年で起きた変化は、単に「軍需が増えた」という話ではありません。戦争の収益構造そのものが変わりました。ウクライナでは無人機が偵察、砲兵誘導、攻撃、後方撹乱の全てに浸透し、欧州議会の整理でも、ドローンは現代戦の決定的要素になり、ウクライナでは他の兵器以上に大きな損害を与えていると位置づけられています。RUSIも、ウクライナのドローン生産が2022年の数千機規模から2024年に220万機超、2025年には450万機規模に向かうと指摘しており、戦場は「少数の高性能兵器」より「大量の無人機と、それを探知・迎撃する防空」の世界に移りました。 
イラン戦争も同じ現実を突きつけています。Carnegieは、イラン型の一方向攻撃ドローンやミサイルへの対処には、低コストの拠点防空を含む重層的な防空網が必要であり、長期・高強度の紛争では迎撃側の在庫と補充能力が極めて重要になると指摘しています。つまり儲かる企業は、単純な「武器メーカー」ではありません。これから利益を伸ばしやすいのは、武装ドローンそのものを作る会社、対ドローンのレーダーや防空システムを持つ会社、そして量産体制を持つ会社です。以下の5社は、その変化を売上、受注、バックログという形で最も受けやすい企業です。 
- AeroVironment――武装ドローン拡大のど真ん中にいる企業
- Kratos Defense & Security Solutions――自律無人機の次の主役候補
- Rheinmetall――欧州再軍備と対ドローン防空の最大受益の一角
- RTX――ドローンを撃ち落とす側で太く稼ぐ企業
- Saab――対ドローン時代の“見つける側”として強い企業
AeroVironment――武装ドローン拡大のど真ん中にいる企業

最初に挙げるべきはAeroVironmentです。この会社はSwitchbladeに代表される徘徊型兵器、Jump 20などの無人機を持ち、今の戦場変化を最も直接的に売上へ変えやすい立場にあります。SEC開示では、2025年3月時点で記録的なSwitchbladeとJump 20の受注により、funded backlog が約7億6350万ドルまで拡大したこと、さらにユタ州の新工場でSwitchbladeの生産能力を2倍超に引き上げる方針が示されています。これは単なるテーマ性ではなく、戦争需要が実際に設備投資へ変わっていることを意味します。 
この会社の強みは、戦争が長引くほどではなく、「各国軍がウクライナ型戦争を標準装備として学び始めた」ことにあります。徘徊型兵器は、戦車や戦闘機のような長期更新型の装備ではなく、ある意味では弾薬に近い性格を持ちます。消耗が速く、改良サイクルも短い。だから一度採用されると継続需要になりやすいのです。武装ドローン市場に最も純度高く賭けるならこの企業は有力ですが、そのぶん期待先行で株価が振れやすい点には注意が必要です。受注の伸びと生産拡張が続く限り強い一方、量産の遅れや粗利低下には敏感な銘柄です。 
Kratos Defense & Security Solutions――自律無人機の次の主役候補

Kratosは、AeroVironmentほど名前が前に出ませんが、投資家目線ではかなり重要です。2025年の年次報告や開示では、同社がValkyrieのような無人ジェット機、自律型システム、関連防衛技術への先行投資を続けていることが示されており、2025年の第4四半期ではUnmanned Systems部門の売上が前年同期比で伸び、book-to-bill が1.9倍、バックログも3億6170万ドルまで積み上がったと説明されています。つまり、単発のニュースではなく、無人化需要が継続受注になっている会社です。 
Kratosの魅力は、今のFPV大量消耗戦だけに依存していない点です。ウクライナ戦争が見せたのは「安い無人機でも戦場を変えられる」という事実ですが、米軍や同盟国がその先に進めようとしているのは、自律化、僚機化、ネットワーク化です。Kratosはその延長線にいます。従来型の巨大防衛企業ほど安定感はない一方、無人戦闘支援の採用が本格化すれば業績の変化率は大きい。いわば防衛株の中の成長株です。現時点では大型契約の波動を受けやすいものの、「ドローンの次の5年」に賭けるなら十分に主役候補です。 
Rheinmetall――欧州再軍備と対ドローン防空の最大受益の一角

欧州で外せないのがRheinmetallです。一般には砲弾や装甲車の会社という印象がありますが、今の戦争で効いているのはそれだけではありません。同社は2025年業績で、Electronic Solutions部門の売上が25.04億ユーロと前年比45%増になり、その背景としてSkyrangerやSkynexといった追加の防空システム納入が寄与したと説明しています。さらに2026年の売上見通しを140億~145億ユーロとし、前年から40~45%成長を見込んでいます。これは欧州の再軍備が既に注文ベースを超え、納入フェーズに入っていることを示しています。 
Rheinmetallが強い理由は、ドローン戦争の現実解を持っているからです。安価なドローンが大量に飛ぶ環境では、高価な迎撃ミサイルだけで守るのは費用対効果が悪い。そこで短距離防空、車載防空、砲、センサーが必要になります。ウクライナ戦争はまさにその需要を可視化しました。欧州は米国政治に左右されず、自前の防衛産業を強くする方向に動いており、欧州議会もドローンと対ドローン能力の統合強化を求めています。Rheinmetallは、その政策の実需を取り込む立場にあります。既に人気化している点はありますが、テーマの持続性はかなり高い企業です。 
RTX――ドローンを撃ち落とす側で太く稼ぐ企業

市場では「ドローンが増えるならドローンメーカーが儲かる」と見られがちですが、実際には迎撃側の方が収益規模は大きくなりやすい場合があります。RTXの年次報告では、Raytheon事業がPatriot、LTAMDS、NASAMS、Stinger、高エネルギーレーザーなど、層状防空とミサイル防衛の中核製品群を持つことが明記されています。イラン型の飽和攻撃、ウクライナ型の継続的な無人機攻撃が増えるほど、必要になるのは単なるミサイルではなく、レーダー、指揮統制、迎撃手段の一体運用です。RTXはそこを幅広く押さえています。 
この会社の投資妙味は、戦争の形が多少変わっても需要が残りやすいことです。AeroVironmentのような純粋ドローン株はテーマ感が強い半面、採用速度や予算変更の影響を受けやすい。一方RTXは、ドローン、防空、ミサイル、レーダー、レーザー防御と需要源が分散しています。Carnegieが指摘するように、イラン型脅威への対処では低コストポイント防空の積み増しも必要ですが、同時に重層防空の中核は依然として大手防空企業が握ります。戦争の派手さではなく、長い予算を取りに行く企業としてRTXは非常に強い存在です。 
Saab――対ドローン時代の“見つける側”として強い企業

5社目として挙げたいのはSaabです。この会社はドローン本体よりも、ドローン戦争で必須になる「見つける」「追う」「防ぐ」側で効きます。2025年の年次報告では、Saabが記録的な年となり、強い業績と受注残拡大を達成したとしています。さらに2025年には、米陸軍向けにGiraffe 1Xレーダーを約4600万ドルで受注し、この受注は世界的な防空・Counter-UAS需要の高まりを示すものだと自社で説明しています。対ドローン戦争で最後に不足するのは、しばしば“弾”ではなく“探知能力”です。Saabはそこを押さえています。 
Saabの良さは、派手な武装ドローン銘柄よりも地味に強いことです。ドローンは飛ばす側ばかりが注目されますが、実戦ではレーダー、早期警戒、射撃管制がなければ迎撃は成立しません。ウクライナでも中東でも、低空・小型・多数という脅威が常態化しており、そのたびに対ドローンのセンシング市場は広がります。Saabはその中心技術を持ち、しかも欧州防衛支出増の流れにも乗っています。爆発力だけなら純ドローン株に劣るかもしれませんが、継続性と政策追い風ではかなり強い銘柄です。 
まとめ
このテーマで重要なのは、「どの会社が戦争で儲かるか」を感情的に見ることではなく、「戦争の構造変化がどの企業の継続需要になるか」を見抜くことです。今の戦場では、無人機の大量化と、防空・対ドローンの常態化が同時に進んでいます。したがって最も素直な本命はAeroVironment、次の成長株としてKratos、欧州再軍備の中核としてRheinmetall、迎撃側の大型本命としてRTX、探知と対ドローンの地味な強者としてSaab、という並びになります。 
より投資家的に言えば、AeroVironmentとKratosは「伸びるが振れやすい」。Rheinmetallは「欧州政策と実需の合流点」。RTXとSaabは「戦争が長期化しなくても、防空常態化で需要が残る」タイプです。つまり、本当に強いのは“戦争そのもの”より、“戦争が標準装備を変えてしまったこと”で儲かる会社です。ここを見誤ると、一時的な材料株をつかみやすい。逆にここを押さえると、武装ドローン拡大という大きな潮流の中で、どこが継続的に利益を取るかが見えてきます。 
でも、こういうテーマって難しいですよね…。どこまで考えればいいのか分からないし、結局ニュースに振り回されそうです。
その通りです。多くの人は“どの銘柄が上がるか”で考えてしまうので、短期のニュースに振られやすくなります。
本来見るべきは、
👉 どの構造が長期で残るのか
👉 自分のポートフォリオがその変化に乗れているのか
この2点です。
もし今、
👉 自分の投資がこうした構造変化に対応できているのか
👉 どこを調整すべきか
を一度整理したい場合は、
👉 公式LINEから相談いただければ、状況に合わせて具体的にお伝えできます。
“ニュースで判断する状態”から抜けるだけで、投資の精度は大きく変わります。
公式LINEの追加はこちら
著者プロフィール

最近の投稿
コラム2026年4月12日退職金はなぜ減るのか――「制度の本質」と「思考停止の危険」
コラム2026年4月12日武装ドローンが戦場を変え、戦争が企業収益を変える――イラン戦争・ウクライナ戦争で恩恵を受ける上場企業5社
コラム2026年4月11日NISAをやれば安心という幻想――投資偏重が生む構造的なリスク
コラム2026年4月11日AIによる投資助言は規制されるべきか──仮想通貨・FX自動売買との連続性から見る制度の本質
この投稿へのトラックバック: https://media.k2-assurance.com/archives/38638/trackback





















