こんにちは、K2 College河合です。
本日、東芝TOBの価格が1株=4620円で7月を目処にTOBをすることが正式発表されましたね。これをもって東芝は非上場となりますが、一体東芝の何が問題だったのか、この価格で応募していいものかどうか?を検証しようと思います。
- 動画解説
- 23社により総額1兆9987億円で買収&非公開化
- 東芝が問題となった経緯
- 東芝の株価推移
動画解説
23社により総額1兆9987億円で買収&非公開化
東芝は日本産業パートナーズ(JIP)が提案していた非公開化を含む再建策を受け入れることを決定。買収総額1兆9987億円となりますが、国内事業会社17社、国内金融機関6社からの出資・融資を元に実行するそうです。
株式公開買い付け(TOB)は1株=4620円。米国やカナダなど海外の競争法上の手続きを経て開始されるため、正式な日程は決められませんが、7月下旬の開始を目指します。
その上で、応募総数が買い付け予定数の下限(66.7%)に満たない場合は買い付けを行いません。
約2兆円ってすごい金額ですね。。そもそもそれだけの資金を集められたのもすごいし、何のためにそこまでして非公開化させるんでしょうか?
東芝は米原発子会社の破綻による巨額損失などで債務超過に転落。上場廃止を免れるために17年、物言う株主に出資を仰いだが、経営方針がまとまりませんでした。グループ分割などによる立て直しをしようとしても、これまた株主の反対で頓挫。結果、一部の物言わない都合のいい投資家のみにして、上場廃止になる前に非公開化してなんとかしようということになったんですね。
旧村上ファンドの「エフィッシモ・キャピタル・マネジメント(シンガポール拠点)」が相当うるさいようで、今後はそことの戦いになりそうです。
東芝が問題となった経緯
巨額損失の原因になったのは東芝の米国子会社であるWestingouse(WH)が買収した米原子力サービス会社ストーン&ウェブスター(S&W)ののれん代(M&Aの際、買収額から買収先の純資産を差し引いた額)。もともとのれん代は100億円程度と見積もっていたが、昨年末にS&Wの正味の資産価値を再評価したところ数千億円規模の損失が判明。その後、7000億円の債務超過となりました。結果、WHに米連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)を適用し、原発の建設から撤退。それに伴い損失額が1兆円程度になりました。
現在、全世界で原子炉を造れるメーカーは5社。フランスのアレバ、三菱重工業、ゼネラル・エレクトリック(GE)、日立製作所だけれど、どこも3.11後の世界的反原発の流れで大変なようですね。
100億円だと思ったら7000億円の損失って、どんなデューデリジェンスしてたんでしょうか。。
どうもその当時、日本企業は金余りで、海外進出をしていくために海外企業を買収しようという機運があったそうです。しかしこのWH問題で、他の日本企業も一斉にお金は余っていても海外企業の買収を手控えるようになったようですね。
そもそもこの世界の脱原発の流れの中、どうやって損失を回復するのか?再上場して投資家にリターンを返すのか、全く見えてきません。
東芝の株価推移
こちら東芝の株価。2023.3.23現在、4213円でTOB価格が4620円。一応10%のプレミアムがついています。投資家皆さんがいくらで買ったかにもよると思いますが、2008年の金融危機以降、5000円を超えたつい昨年の値段と比べてもそんな悪い値段ではないように思えます。というかこのまま上場していても、全く再建の目処が立たないので、投資家は喜んでTOBに応じるのではないでしょうか。
あとは大口投資家の旧村上ファンドなど、アクティビスト次第となります。彼らが合意しなければ目標の66.7%に届きませんから、彼らを説得するには単にもっとお金を積んで納得してもらうしかないんでしょう(東芝の再建に興味があるとは思えませんし)。
私も東芝株持ってますが、この機会に売ろうと思います。
TOBはどの証券会社を通しても応募できると思うので、預けている証券会社に連絡をしてください。個別に保管振替機構からも連絡が来ると思います。
まとめ
- 東芝TOBには応募しよう
- おそらくTOB価格はこれ以上になるはず
ご覧の通りで、東芝の株は資産運用なんかにはなりませんよねwもっとちゃんとした企業へ投資しようというのもありますが、そもそも海外に進出できない日本企業の株を買うこともどうなのかと思います。最初から世界市場で勝負している外国株を買った方がいいですよね。
また株投資というのがそもそもリスクが高いということも言えます。どうしても景気に連動する株がいいならインデックス。景気に左右されないで、毎年安定的に上がっているような資産で資産運用したいならヘッジファンド、オルタナティブです。こちらの入門書を参考にしてください。
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著者プロフィール
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<経歴>
青山学院大学国際政治経済学部国際経営学科ファイナンスコース卒業
中国天津南開大学漢語語言学院留学
野村證券にて4年半勤務、2008年リーマン・ショックの前日に退社
プライベートバンクを経て、2009年K2 Investment設立
2014年ボストン留学、2018年Paris留学
現在、K2 Holdings会長
<趣味>
ダイビング、クルージング、自然
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