インデックスファンド人気の背景と現在の潮流

インデックスファンドは、低コストかつ広範囲な分散投資が可能な商品として、日本の個人投資家層を中心に急速に定着している。特に2024年からスタートした新NISA制度の効果により、若年層を含む幅広い世代が長期資産形成を目的として積立投資を行うようになった。その中で、「eMAXIS Slim」シリーズや「SBI・V・S&P500」などの低コストインデックスファンドが人気を博し、全世界株式や米国株式が圧倒的な支持を集めている。

一方、短期売買の観点では、**レバレッジ型ETF(日経レバ・ダブルインバースなど)**や、テーマ型(FANG+、GSテック)も活発に取引されており、投資家のリスク許容度や投資目的に応じた選好の二極化も見られる

どうしてインデックスファンドが人気を博しているのでしょうか?

以下で、カテゴリ別に詳細をみていきましょう。

  • 1. 積立NISA対象ファンドのランキングと資金流入傾向
  • 2. 全体人気ランキング:eMAXIS Slimとテーマ型ファンドの両極
  • 3. ETF市場の動き:レバレッジ系ETFがデイトレード主力に
  • 4. ネット証券別の買付ランキング:SBI・楽天の特徴と利用傾向
  • 5. インデックスファンド選びの注目ポイント:コスト、流動性、分散性

1. 積立NISA対象ファンドのランキングと資金流入傾向

積立NISA制度を活用する層に最も人気のあるのは、**eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)**である。月間の資金流入額は約18,889百万円と非常に高水準で、投資先としての安定感と信託報酬の低さ(年率0.1133%程度)が評価されている。

続くのは、**eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)**で、月間資金流入額は17,258百万円。S&P500指数に連動し、米国の大型株に投資する戦略は、過去の実績から信頼性が高く、個人投資家の定番選択肢となっている。

また、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドや楽天・全米株式インデックス・ファンドなど、米国株に連動する他社系ファンドも健闘しており、手数料競争が過熱する中での差別化も進んでいる。

✅ 傾向:NISA投資家は「世界全体」か「米国一本」に集約しつつある

2. 全体人気ランキング:eMAXIS Slimとテーマ型ファンドの両極

一般的な買付金額ランキングでは、積立NISAだけでなく特定口座や一括買い付け投資家の動向も含まれる。ここでもeMAXIS Slimシリーズが圧倒的だが、それに加えて注目されるのがテーマ型インデックスファンドである。

特に、iFreeNEXT FANG+インデックス(GAFAMなど米国ハイテク株に特化)や、netWIN GSテクノロジー株式ファンドなど、成長企業に的を絞ったファンドは投資家の期待が高く、短期〜中期のパフォーマンス狙いで購入されている。

これは、積立型とは異なりリターンの最大化を狙う積極型投資家に支持されており、マーケット環境の影響を強く受けるため変動性も大きい。

✅ 傾向:分散型 vs 成長株集中型の構造が明確化

3. ETF市場の動き:レバレッジ系ETFがデイトレード主力に

東京証券取引所で取引されるETFの中でも、**レバレッジ型やインバース型(日経平均2倍/マイナス2倍など)**の売買代金が突出している。2025年6月12日現在のランキングでは、

• 日経レバレッジ(1570):売買代金約5,392億円
• 日経ダブルインバース(1357):約993億円
• 楽天Wブル(1458)・楽天Wベア(1459):約550億円〜410億円前後

これらの商品は日経平均の短期的な上下動に賭ける投資家(トレーダー)に好まれる。一日の値動きが5%を超えることもあるため、リスクは大きいが、リターンも魅力的である。

✅ 傾向:インデックスETFも「投資型」と「投機型」で二極化が進行中

4. ネット証券別の買付ランキング:SBI・楽天の特徴と利用傾向

SBI証券・楽天証券などネット証券プラットフォームでは、買付金額ランキングにインデックスファンドが上位を独占する状況が続いている。以下は楽天証券の買付ランキング上位例:

1. eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
2. eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)
3. 楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド
4. 楽天・プラス・オールカントリー株式
5. 楽天・全米株式インデックス・ファンド

これらから読み取れるのは、楽天証券ユーザーは楽天ブランドのラップ型商品にも一定の支持を寄せているという点だ。SBIユーザーと比較して、楽天系商品や楽天証券でのポイント連携などが人気の一因と考えられる。

✅ 傾向:プラットフォームのUI/UXとブランドがファンド選びに影響を与える

5. インデックスファンド選びの注目ポイント:コスト、流動性、分散性

人気ファンドに共通する特徴をまとめると、以下の3点に集約される。

1. 信託報酬の低さ
 – eMAXIS Slimシリーズの多くは信託報酬が年0.1%前後と非常に低い。
2. 資金流入が継続しており純資産が安定
 – 投資家の信頼が厚く、途中解約リスクも相対的に少ない。
3. 指数の分散性
 – S&P500やオールカントリーのように、1国・1業種に偏らず広く分散されている指数が選ばれる傾向。

特に若年層の投資初心者には「低コストで放っておける投信」が好まれ、中長期的な資産形成にフィットする。逆に短期勝負のトレーダー層は流動性とボラティリティを重視して、ETFを使いこなしている。

✅ 傾向:選ぶべきファンドは「目的」「期間」「スタイル」で決まる

インデックス投資は今後も主流となりますでしょうか?

主流になると思いますが、環境変化に応じた見直しも重要です。

まとめ

  • 2025年6月時点で見られるインデックスファンドの人気傾向は、**「世界分散 vs 米国集中」「積立NISA vs 短期トレード」「低コスト志向 vs 成長志向」**といった多層構造を呈している
  • 新NISAの拡大や若年層の投資マインドの醸成により、今後もeMAXIS SlimシリーズやSBI・楽天の低コスト投信の優位性は続くだろう
  • 一方で、米国経済や金利動向、為替相場など外部要因に大きく左右される市場環境下では、インデックス投資といえども無敵ではない
  • 適切なリスク許容度の見極めと、投資目的の明確化がこれまで以上に求められる

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

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