2024年以降、暗号資産(仮想通貨)市場において大きな転換点となったのが「スポット型イーサリアムETF」の登場である。これまでビットコインETFが先行して承認され、市場参加者の資金流入を呼び込んでいたが、次なる主役として期待されたのが「イーサリアム(ETH)」だ。ビットコインが「デジタル・ゴールド」として位置づけられるのに対し、イーサリアムは「Web3の基盤」「分散アプリケーションのOS」としての役割を持ち、利用価値の広がりが投資の根拠となっている。
ETF化によって、これまで暗号資産取引所に口座を開設する必要があった投資対象が、株式市場と同様に証券口座を通じてアクセス可能になった。この点は、個人投資家だけでなく、機関投資家の参入を容易にし、資産運用の裾野を広げる効果を持つ。さらに、イーサリアムは「ステーキング」という独自の収益機会を持っていることから、ETFの仕組みにどう組み込むかが大きな注目点でもある。
以下では、①ETF誕生の背景、②市場規模と残高ランキング、③投資家メリットとリスク、④競合環境、⑤今後の展望を整理したうえで、イーサリアムETFという新しい投資手段の意味を考察する。
- イーサリアムETF誕生の背景
- 市場規模と残高ランキング
- 投資家にとってのメリットとリスク
- ビットコインETFとの比較と競合環境
- 今後の展望
イーサリアムETF誕生の背景

イーサリアムETFが登場する以前、投資家がイーサリアムにアクセスする手段は限られていた。代表的なものは暗号資産取引所での現物購入、または米国で販売されてきた「Grayscale Ethereum Trust(ETHE)」のような私募型信託だった。後者は上場後に二次市場で売買できるものの、純資産価値(NAV)との乖離が大きく、投資家保護の観点で課題が残っていた。
ビットコインETFが2024年1月に米国で承認されたことで、暗号資産に対する規制当局の姿勢が大きく変わり、続いてイーサリアムもスポット型ETFとして承認される流れが強まった。実際、2024年夏以降、SEC(米証券取引委員会)は複数のイーサリアムETFを認可し、秋には複数の大手資産運用会社が競って商品を上場させた。
背景には、機関投資家の需要がある。年金基金、保険会社、大学基金などは暗号資産そのものを直接保有することにリスク管理上の制約を抱えており、規制されたETFという枠組みで投資することが望まれていた。こうして、イーサリアムETFは「伝統金融と暗号資産をつなぐ橋渡し」として急速に普及していったのである。
市場規模と残高ランキング

現在、主要なイーサリアムETF・信託商品の残高ランキングは上記の通りとなっている。
このランキングを見れば一目瞭然だが、ブラックロックの「iShares Ethereum Trust」が圧倒的なシェアを誇っている。ビットコインETFと同様、ブラックロックの販売力と信頼性が投資家を引き付けていると考えられる。
また、かつて唯一の投資手段だった「Grayscale Ethereum Trust(ETHE)」も、ETF転換を経て依然として高い残高を保っている。FidelityのETFも存在感を増しており、機関投資家の分散投資先として安定的な資金流入が見られる。
一方、BitwiseやVanEck、Franklinといった中堅運用会社の商品は残高で劣るものの、差別化戦略として低コスト運用やステーキング報酬の活用などを打ち出している。これらは今後の競争環境を左右する可能性がある。
投資家にとってのメリットとリスク

イーサリアムETFが登場したことで、投資家は以下のようなメリットを享受できる。
• アクセスの容易さ:暗号資産取引所を介さず、証券口座から売買可能。
• 規制の安心感:SEC承認を得た商品であり、監査や保管体制も透明化。
• 流動性の高さ:市場でリアルタイムに売買可能。
• 税務の明確化:株式と同じ課税ルールが適用されるケースが多い。
ただし、リスクも忘れてはならない。価格変動の激しさはもちろん、規制環境の変化、ステーキング収益の扱い、ネットワーク手数料(ガス代)の影響など、従来の株式や債券とは異なる要素が絡む。また、ETFである以上、実際のイーサリアム利用(スマートコントラクトやDeFiなど)には直接触れられないという限界もある。
ビットコインETFとの比較と競合環境

イーサリアムETFを語るうえで欠かせないのが、ビットコインETFとの比較である。ビットコインETFは承認直後から数兆円規模の資金を呼び込み、短期間で最大級のコモディティETFに成長した。それに比べると、イーサリアムETFの資金流入ペースはやや緩やかだ。
その理由として、ビットコインが「価値保存手段」としてシンプルな投資ストーリーを持つのに対し、イーサリアムは「実用性」に基づく資産であり、その評価が難しい点が挙げられる。また、ステーキング報酬をETFでどのように処理するかが依然として議論の対象で、投資家にとって制度設計がわかりにくい面もある。
競合環境としては、同じ暗号資産関連商品である「暗号資産インデックスファンド」「先物型ETF」、さらには「個別トークン直接投資」との住み分けが焦点となる。今後は「低コスト」「ステーキング収益の取り込み」「国際展開」の三つが差別化要素となるだろう。
今後の展望

イーサリアムETFの将来像にはいくつかの方向性がある。第一に、ステーキング収益を組み込んだETFの登場である。もし承認されれば、投資家は単なる価格上昇だけでなく、保有に伴う利回りを享受できることになり、資金流入の大きな呼び水となる。
第二に、国際的な拡大だ。米国に続き、カナダや欧州、アジア各国でも同様の商品が登場すれば、グローバルな投資マネーがイーサリアムに集まりやすくなる。日本でも金融庁の姿勢次第では導入の可能性が議論されるだろう。
第三に、Web3経済との連動である。イーサリアムはNFT、DeFi、ゲーム、DAOといった分散型アプリケーションの基盤であり、これらのエコシステムの成長が価格上昇を後押しする。ETFの残高推移は、Web3全体の成熟度を測る指標ともなり得る。
ただし、規制当局の判断や、暗号資産市場全体の価格サイクルに大きく左右される点には注意が必要だ。2021年のバブル後に訪れた「暗号資産の冬」のような調整局面では、ETFも例外ではなく大幅な資金流出に直面する可能性がある。
今はどの暗号資産もビットコインに連動するカタチですが、ビットコインの供給量がすくなくなっているので、徐々に他の通貨も独自の価格を形成していきそうですね。
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まとめ
イーサリアムETFは、暗号資産市場における「第二の革命」と呼べる存在だ。ビットコインETFが市場を切り開いた後、その後を追う形で登場したイーサリアムETFは、既に数百億ドル規模の資産を集め、伝統金融と暗号経済を結びつける役割を果たしている。
残高ランキングではブラックロックの「iShares Ethereum Trust」が圧倒的首位を誇り、GrayscaleやFidelityも後を追う構図が鮮明だ。Bitwise、VanEck、Franklinといった中堅勢も特色ある商品で存在感を示している。
投資家にとっては、アクセスの容易さ、規制の安心感、税務の明確化といったメリットがある一方、価格変動の激しさや規制リスクという課題も残る。ビットコインETFと比較すると普及速度は遅いものの、ステーキングやWeb3との連動といった独自の魅力を秘めている。
今後の焦点は、ステーキング組み込み型ETFの登場、国際的な拡大、そしてWeb3経済の成長との相乗効果だ。イーサリアムETFは単なる投資商品にとどまらず、次世代のデジタル経済への「入り口」としての役割を担っていくことになるだろう。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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