イラン戦争で最も暴落する可能性がある資産 ― NISA投資家が集中している投資先の構造的リスク ―

総論:個人投資家は「一番下がる資産」に集中している

現在の日本では、新NISAの開始によって個人投資ブームが起きている。証券会社やSNSでは「長期・分散・積立」という言葉が繰り返され、S&P500や全世界株式といったインデックスファンドへの投資が、資産形成の王道であるかのように語られている。

しかし、このブームには大きな偏りがある。実際の資金の流れを見ると、日本の個人投資家の多くが ほぼ同じ資産に集中している。それが米国株指数、特にS&P500や全世界株式である。つまり、見かけ上は分散しているように見えても、実際には米国株という一つの市場に大きく依存している構造になっている。

問題は、地政学ショックや金融危機が起きたとき、こうした資産が真っ先に売られやすいという点である。特に中東戦争のようなエネルギーショックが起きると、インフレと金利上昇が同時に進むため、株式市場全体にとっては非常に厳しい環境になる。

以下では、イラン戦争のような地政学ショックが起きた場合、特に下落リスクが高い資産を整理する。

  • ① S&P500インデックス:最も資金が集中している市場
  • ② NASDAQ・ハイテク株:金利上昇に最も弱い
  • ③ 全世界株式(オルカン):分散の幻想
  • ④ 半導体・AIテーマ株:バブルの中心
  • ⑤ レバレッジETF・信用取引:最も危険な資産

① S&P500インデックス:最も資金が集中している市場

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日本のNISA投資家の多くが選んでいるのがS&P500連動型ファンドである。米国の代表的な株価指数であり、長期的に高いリターンを生んできたことから「最も合理的な投資先」として広く認識されている。

しかし、地政学ショックの局面では、世界中の投資資金が一斉に株式市場から引き上げられるため、指数そのものが大きく下落する可能性がある。特にS&P500は世界で最も資金が集まる市場であり、資金流出が起きるとその影響も大きい。

過去のショック時の動きを見ると、その振れ幅は決して小さくない。

主な下落例 ITバブル崩壊 約−49% リーマンショック 約−57% コロナショック 約−35%

つまり長期的には上昇してきた指数であっても、短期的には 30〜50%程度の下落 は十分に起こり得る。

もし中東戦争によって原油価格が急騰し、インフレと金利上昇が同時に進めば、米国株は大きな調整に入る可能性がある。

② NASDAQ・ハイテク株:金利上昇に最も弱い

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S&P500以上に下落しやすいのが、ハイテク株が多いNASDAQ市場である。AI、クラウド、半導体といった成長企業が多く含まれており、近年の株式市場の上昇を牽引してきた。

しかし成長株は、金利上昇に最も弱い資産でもある。将来の利益成長を前提に高い評価を受けているため、金利が上がるとその評価が一気に下がる。

実際に過去の調整局面では、NASDAQは他の指数よりも大きく下落してきた。

主な下落例 ITバブル崩壊 約−78% リーマンショック 約−55% 2022年金利ショック 約−35%

つまりハイテク株は、株式市場の中でも 最もボラティリティが高い。

もし中東戦争によって原油高インフレが起き、世界的に金利が上昇すれば、ハイテク株のバリュエーションは大きく調整される可能性がある。

③ 全世界株式(オルカン):分散の幻想

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日本の個人投資家の中で、もう一つ人気が高いのが「全世界株式」と呼ばれるファンドである。世界中の株式に分散投資することでリスクを抑えられると説明されている。

しかし実際には、この指数の構成は大きく米国に偏っている。現在の構成比を見ると、およそ 60%前後が米国株 で占められている。

つまり全世界株式と言っても、その実態は「米国株+その他」であり、米国市場が下落すれば指数全体も大きく影響を受ける。

さらに地政学ショックが起きると、世界中の株式市場が同時に下落することが多い。これは金融市場が高度に連動しているためであり、分散投資による効果が一時的に失われるからである。

その結果、全世界株式も短期的には大きな調整を受ける可能性がある。

④ 半導体・AIテーマ株:バブルの中心

AI半導体メーカー徹底比較:生成AIを支える技術革新と市場動向 | オルテディア

近年の株式市場の最大のテーマはAIである。半導体メーカーやAI関連企業の株価は、過去数年で急激に上昇してきた。

しかし、急激に上昇した資産ほど、ショック時には大きく下落する傾向がある。これは投資資金が集中しているため、売りが出ると一気に下げるからである。

実際、過去のテーマ株ブームでも同じ現象が起きている。

過去の例 ITバブル ハイテク株崩壊 EVブーム テスラ以外の多くが暴落 SPACブーム 多くが90%下落

つまり市場の中心にあるテーマ株は、上昇局面では最も強いが、調整局面では最も弱くなることがある。

もし地政学ショックによって資金がリスク資産から引き上げられれば、AI関連株も大きく調整する可能性がある。

⑤ レバレッジETF・信用取引:最も危険な資産

レバレッジ型ETFとは? 金融庁も注意をうながす投資時のリスクを解説 | ZUU online

最後に最も危険なのが、レバレッジ型ETFや信用取引である。これらは指数の2倍や3倍の値動きをする商品であり、短期トレードを目的に使われることが多い。

例えば指数が10%下落すると、レバレッジETFは20%〜30%下落する可能性がある。さらに下落が続くと、複利効果によって資産の減少はさらに大きくなる。

過去の暴落局面では、こうした商品は極端な値動きを見せてきた。短期間で資産の大半を失うケースも珍しくない。

特に個人投資家が信用取引でポジションを持っている場合、強制ロスカットが連鎖し、市場の下げを加速させる要因にもなる。

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まとめ:最大のリスクは「みんな同じ投資をしていること」

イラン戦争のような地政学ショックが起きた場合、金融市場は大きく動く可能性がある。その中でも特に影響を受けやすいのが、株式市場に集中している資産である。

現在の日本の個人投資家の資金は、主に次の資産に集中している。

主な投資先 S&P500インデックス NASDAQ 全世界株式 AI・半導体株

これらは長期的には成長してきた資産だが、ショック時には 同時に下落する可能性が高い。

そして最大の問題は、多くの投資家が同じ資産を持っていることだ。同じ資産に資金が集中していると、売りが出たときの下落も大きくなる。

つまり地政学ショックの局面では、資産の内容以上に 投資の偏り がリスクになる。

長期投資は有効な戦略ではあるが、それは下落局面を耐えられる場合に限られる。もし耐えられずに途中で売却してしまえば、長期投資のメリットは失われてしまう。

地政学リスクが高まる局面では、自分の資産がどの市場にどれだけ依存しているのかを冷静に見直すことが重要になるのである。

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マン、AIが記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

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