こんにちは、K2 College河合です。
本日、スリランカがデフォルトをしたということで、日本で販売されているファンドの中にどれだけスリランカ債が入っていたかを調べていたところ、この『SBIスリランカ短期国債ファンド』が日本で唯一スリランカ100%に投資をしていたファンドということだったので、こちらの解説をしながら、スリランカという国について理解を深めてみようと思います。なおこのファンドは2021年8月に償還を迎えているため、今回のデフォルトの影響を全ての投資家が受けていません。
スリランカだけの債券ファンドってすごいリスク高そうですね。金利も高いんでしょうね。
そういうことになりますね。ただ当時は今よりもまだ情勢が安定していて、投資先としては可ということで、ファンドを作ったんだと思います。他社と差別化しないといけない証券会社、信託会社も大変です。
- 動画解説
- スリランカという国の魅力
- SBIスリランカ短期国債ファンドの運用成績(〜2021.8)
動画解説
スリランカという国の魅力
残っているデータが全て2016年時点のものですが、当時でどんな魅力があったのか見ていきましょう。
スリランカは地理的にASEAN、中国、インド、中東、アフリカの間に位置し、貿易面での強みがあります。更にそれらの国の中ではまだ経済発展していない方なので労働賃金が低いけれど、仏教国ということで識字率も高く、今後の成長が期待できると見られていました。
GDP成長率は大体5%。高いインフレ率を金利で抑えている状態です。経済がリンクしているのか、シンガポールのGDPと連動しています。
今回デフォルトでCという格付けまで落ちてしまいましたが、当時(2016年)でB+。金利は年11%ついていたので、ファンドを作ってみたというところでしょう。格付けが低くなるほど、高金利というのが分かりやすく見えますね。
スリランカの通貨はスリランカルピー。値動きが米ドルとほとんど同じくらい低く、安定しているとのことでした。その後がこちら。
対円レートです。ちょうど2016年くらいからずっと下がり続けており、今回のデフォルトでストンと更に安くなってしまいましたね。
格付けが低いことはありますが、データを見る限りそれほどリスクを感じませんでした。
そうですね、あくまで投資すると言っても株でなく債券なので、金利を取っていけばそれほど危ない投資ではないと思います。
SBIスリランカ短期国債ファンドの運用成績(〜2021.8)
とはいえ、デフォルトしない限りは確かに安定しており、金利も年11%も付くということで、ファンドも償還するまでなんだかんだリターンを出せていました。具体的な%は既に残っていませんが、分配金込みの基準価額が約5年間で12,500円(+25%)となっていたので、債券としては悪くない投資だったと思います。
資産残高が全然増えなかった(ピーク時でたった8億円)ため、コストに合わず償還するしかなかったのかもしれませんが、スリランカ情勢を見てもリターンが出ているうちに償還をしたというのは良い判断でしたね。
新しいのを作ってもなかなか投資されなかったんですね。
その間、ずっと株式相場が良かったということもあり、あまり債券投資に目を向けてもらえなかったのもあると思います。今年(2022年)から株は調整局面なので、むしろ格付けの低い債券(エマージング債、ハイイールド債)が注目され出すと思います。
まとめ
- 『SBIスリランカ短期国債ファンド』は結果的に良い投資だった
- 今年(2022年)からは格付けの低い債券(エマージング債、ハイイールド債)を投資対象としよう
- 新興国は特にインフレ対策である金利政策が難しい
見えないリスクの多い新興国の投資は世界情勢(コロナ、ウクライナ問題)が安定してから始めましょう。それまではやはり米国を中心とした投資をしていきましょう。株、債券、ファンド売買のご相談はいつでもどうぞ(無料)。
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著者プロフィール
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<経歴>
青山学院大学国際政治経済学部国際経営学科ファイナンスコース卒業
中国天津南開大学漢語語言学院留学
野村證券にて4年半勤務、2008年リーマン・ショックの前日に退社
プライベートバンクを経て、2009年K2 Investment設立
2014年ボストン留学、2018年Paris留学
現在、K2 Holdings会長
<趣味>
ダイビング、クルージング、自然
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