こんにちは、K2 College 松本です。
今回はPGF生命の変額保険「変額終身保険PGF」を解説します。販売代理店によって名称が「変額終身保険PG」「変額終身保険PGF」と少し変わります。
銀行の方に勧められて加入しようかと考えています。
先に結論になりますが、加入しないほうがいいです。投資先やパフォーマンスについても確認してください。
- 動画解説
- PGF生命はプルデンシャルグループで銀行窓販専業の会社
- 変額保険という仕組みがダメだけど投資先もイマイチ
- 保障と貯蓄は分けよう!
- 契約はしない。既に契約している人は個別相談してください。
動画解説
PGF生命はプルデンシャルグループで銀行窓販専業の会社
会社概要
プルデンシャルジブラルタファイナンシャル生命は日本に本社を置く外資系生命保険会社で、親会社はジブラルタ生命です。アメリカ大手の金融機関プルデンシャル・ファイナンシャルのグループ会社であり、日本では同じグループ会社として、プルデンシャル生命とジブラルタ生命があります。
元々は「大和生命保険株式会社」でしたが、2008年10月に債務超過で会社更生手続を始め、2009年にジブラルタ生命が出資して完全子会社化しました。2010年8月から営業を開始しました。現在では全国57行の金融機関(銀行)がPGF生命の保険商品を窓口で販売しています。
営業開始:2010年8月2日
総資産:4,727億円(2021年3月末時点)
保有契約高:5兆3,959億円(2021年3月末時点)
格付情報
S&P:A+ (2021年6月末時点)
R&I:AA- (2021年6月末時点)
ソルベンシーマージン比率
814.1% (2021年6月末時点)
あまり聞き慣れない会社ですが大丈夫でしょうか?
CMなどをしないのが、プルデンシャルグループの方針なので知らない方も多いと思います。しかし、格付け、ソルベンシーマージン比率からも十分な信頼に値する会社と言えます。
変額保険という仕組みがダメだけど投資先もイマイチ
契約概要
商品名:変額終身保険PGF/変額終身保険PG
契約年齢:0〜75歳
保険期間:終身
払込期間:5年〜30年(5年刻み)、55歳〜85歳(5歳刻み)、終身払
払込頻度:月払、半年払、年払
基本保険金額:200万円〜7億円(10万円単位)
最低保険料:3,000円(月払)、18,000円(半年払)、36,000円(年払)
「変額終身保険PGF」はジブラルタ生命で販売している名称です。「変額終身保険PG」は南都銀行、ソナミラ、PGフレンドリーパートナーズで販売している名称です。
保障内容
- 死亡や高度障害になったときに、保険金を受取ることができます。
- 保険料の支払いが終わっても保障は一生涯継続します。
商品解説
変額保険とは、預かった保険料の一部を運用し、運用実績によって将来受け取る死亡保険金や解約返戻金が増減する保険の事です。ただし死亡保険金は最低保証があります。ざっくり言うと終身保険と投資信託を合体させた商品と思ってください。
保険料は「一般勘定」と「特別勘定」とわけて運用されます。「一般勘定」は主に国債などで運用しており、運用責任は保険会社にあるので死亡保険金の最低保証があります。「特別勘定」は株式や債券などを組み合わせて運用し、運用成果に応じて死亡保険金や解約返戻金が増減します。特別勘定の損益は全て契約者の責任となります。つまり保険料の一部は死亡保障のための経費となっており純粋に保険料全てが投資に回るわけではありません。
投資先
投資先を紹介するのですが、この商品は「世界8資産バランスファンド」一択しかありません。
過去のシミュレーションがこちら。
実際に運用が始まってから現在(2023年8月28日)までの運用成績は以下になります。
元々の基準値を100として現在の価値を表しています。どれだけ価値が増えたのかは騰落率で確認できます。6年9ヶ月で33%増えているので、年利で4.9%です。率直にショボいですね。直近の株式相場でしたら、年利10%超えが多いです。バランスファンドのポートフォリオを見ると51%が債券なので、仕方ないと言えばそれまでですが、それなら選択できるようにして上げればいいのにと思いますね。
普通に増えているから良いと思いましたが、もっと増えているところあるんですね!?
運用実績が低いのも欠点ですが、さらに残念なのは変額保険という箱ですね。
保障と貯蓄は分けよう!
契約例
契約年齢:50歳 女性
基本保険金額:1,000万円
保険期間:終身
払込期間:10年
払込頻度:月払
保険料:75,630円
総支払保険料:9,075,600円
<解約返戻金と返戻率の推移> *直近20年間のシミュレーションの場合
10年後(60歳):8,107,624(89%)
15年後(65歳):10,547,295(116%)
20年後(70歳):12,191,171(134%)
直近20年間のシミュレーションの場合は運用実績が3.7%/年くらいになります。仮に年利3.7%で10年間積立投資すると下記のようになります。
さらに3.7%で10年間運用できれば、、、
この商品の場合、20年後に1,219万円にしかならないのは何故でしょうか?
それは保険や運用にコストが掛かっているからです。商品解説でもお伝えしましたが、変額保険は生命保険と投資信託を合体させたものです。もちろん死亡保障がタダで付いているわけではなく、コストが掛かっています。つまり死亡保障が不要な方にとっては全く無駄な費用が掛かることになります。それぞれどのような費用(コスト)が掛かっているか確認しましょう。
保険関係費
お払込みいただく保険料のうち、その一部は保険契約の締結・維持・死亡保障等に係る費用等に充てられ、それらを除いた金額が特別勘定で運用されます。なお、これらの費用については、契約年齢等によって異なり、保険期間中も変動するため、その数値や計算方法を記載することができません。
特別勘定費
保険契約管理費:年率0.75%
運用関係費:年率0.297%程度
解約控除
契約日から10年未満かつ保険料払込期間中に解約・減額等をした場合、計算基準日の前日末における積立金額から、経過年数に応じた所定の金額(解約控除)を控除した金額が解約返戻金額となります。なお、解約控除の金額は契約年齢・性別・保険料払込期間・保険金額等により契約ごとに異なるため、その数値や計算方法を記載することができません。
年金管理費
年金開始日以後、受取年金額に対して1.0%(2023年7月現在)を年金支払日に年金原資より控除します。
色々ありますが、メインは保険関係費と特別勘定費です。ただ、保険関係費に関しては記載がないので、残念ながらブラックボックス状態(保険会社あるある)です。ザックリですが、保険料の15〜20%くらいが差し引かれ残った部分で特別勘定の買付が行われているイメージです。
では死亡保障も備えたい方には変額保険が適しているのでしょうか?
私なら別々に備えます。死亡保障は子どもが自立するまの期間だけあればいいので、保険料の安い収入保障保険で備えます。理由は、将来の状況はその時にならないと分からないからです。「何を今さら当たり前のことを…」と思われたかもしれませんね。
例えば、変額保険で貯まったお金を子どもの進学費用として使いたい場合は解約するしかありませんが、そうすると死亡保障もなくなります(まだ死亡保障は必要なのに)。逆に子どもが大学に進学せずに直ぐ社会人になった時は死亡保障が不要になりますが、死亡保障だけ外すことはできません。
それぞれ別々に備えていたら不要なものは解約すればいいし、引き出したい資金は自由に引出すことができますね。
たしかに別々に備えたほうが将来、柔軟に選択できますね。
その通りです。死亡保障が必要な人は収入保障保険に加入するか、貯蓄と死亡保障の両立が唯一できる海外終身保険を選択肢にいれてください。詳しくは下記の入門書をダウンロードして一読ください。
※【入門書】家族のために死亡保障を準備するための入門書
契約はしない。既に契約している人は個別相談してください。
変額保険は生命保険と投資信託が合体したものですが、日本のコスパの悪い生命保険にコストを払うのが勿体ないです。運用成果もイマイチですし、わざわざ変額保険という箱で投資をしなくても良いと思います。
また変額保険は運用成果によって解約返戻金が変動する投資性の強い商品なので、一概に他の商品と比べることができません。ただこの手の商品は投資先次第なのに、1種類しか投資先がない上に、ハイイールド債、ハイテク株、インフラ株、水関連株などのテーマ株もありませんから、長期で運用してくプラットフォームとして欠陥があります。
そしてアドバイザーがいなくて、投資先を自分で決められますか?
販売してる保険募集人も、投資とか運用なんてほとんど理解してないまま販売をしているのが現状です。
さらに、多くの方が貯蓄を目的に変額保険を契約されると思いますが、生命保険と投資信託を合体させた商品だと、死亡保障コストが掛かってしまうので「殖やす」という目標達成を遅くしてしまうだけです。死亡保障の付いていない金融商品で積立をしましょう。
既に契約している場合はどうしたらいいでしょうか?
契約内容によって「継続」「減額」「払済」「解約」と適切なアドバイスは変わるので、私に直接ご相談ください。
※直接相談(無料)
まとめ
- 加入するのはやめよう
- 今契約していたら、内容を見て個別に判断するので、お気軽にご相談ください(無料)
- 日本では保障と貯蓄は分けて契約しよう(終身保険や変額保険はしないで)
また教育資金準備や貯蓄だけが目的の方は、下記の入門書も一読ください。
※【入門書】公的年金に依存しない自分年金を準備するための入門書
※【入門書】子供のためにベストな学資保険に入るための入門書
著者プロフィール
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大学卒業後、東証1部上場の設備会社で現場監督として勤務。
外資系生命保険会社からスカウトされ、2013年1月から生命保険のライフプランコンサルタントとして6年3ヶ月勤務。
また同時期に個人で海外投資も始めましたが、海外投資の情報は少なく信頼できるか判断も難しいので、WEBや知人から沢山の情報を集めていました。 その1つの情報源としてK2のメルマガを購読しながら知識を深めていきました。
そして国内外の保険や投資についてメリット、デメリットを正直に伝えた上でアドバイスをする活動方針に共感し、弊社保険アドバイザーとして2019年4月よりK2 Holdingsに参画しました。
クライアントのマネーリテラシーの底上げをしつつ、日々顧客利益の為に活動しております。
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