「エクスターの逆ピラミッド」最後はやはりGold(金)

こんにちは。K2 College大崎です。

今回は、「エクスターの逆ピラミッド」について解説します。

  • エクスターの逆ピラミッドとは?
  • 6つの層で「金融資産の流動性とリスクの関係」を表す
  • お金がピラミッドを下に流れる要因

エクスターの逆ピラミッドとは?

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エクスターの逆ピラミッドは、米国の経済学者ジョン・エクスターが提唱した金融資産の流動性とリスクの関係を示すモデルです。

このピラミッドは通常のピラミッドとは異なり、逆さまになっているのが特徴で、上部に行くほど資産の流動性が低く、リスクが高くなる構造になっています。

ピラミッドの最下層には「金(Gold)」が位置し、これは最も流動性が高く、信用リスクがほぼない資産とされています。逆に、ピラミッドの上部には「デリバティブ(Derivatives)」や「無担保政府負債(Unfunded Government Liabilities)」といった高リスクの資産が配置されます。

そして、このモデルは、金融危機・景気後退・信用不安の際には、資本の流れを理解するのに役立ちます。

市場が安定しているときはリスク資産への投資が活発になりますが、不安定になると投資家はリスクの低い資産へと資本を移動させます。特に危機時には、最も安全とされる金(Gold)や現金への資本逃避が起こります。

お金が逆ピラミッドの上層から下層へと流れるということですね。

資産の流動性と信用リスクの観点から、金融システム内の資産を分類したものですね。

はい、そうです。
資産の流動性と信用リスクを基にしたヒエラルキーとなってます。

6つの層で「金融資産の流動性とリスクの関係」を表す

エクスターの逆ピラミッドは6つの層に分かれています。
それぞれの層を下から順に見ていきましょう。

金(Gold)
価値の保全性が高い(インフレ耐性、無発行リスク)
流動性は高く、信用リスクはゼロ。
金融危機時に最も求められる。

紙幣(Paper Money)
政府が発行する法定通貨(価値は発行国の信用に依存)
流動性は高いが、インフレや信用リスクの影響を受ける。

国債・短期国債(Government Bonds, Treasury Bills)
安全資産とされるが、デフォルトリスクや金利変動リスクがある。
流動性は紙幣より低いが、信用リスクは政府の信用度に依存
債務不履行(デフォルト)のリスクは理論上存在する

株式・社債・証券化資産(Listed Stocks, Corporate Bonds, Securitized Debt)
価格変動が大きく、流動性は市場次第
企業破綻や市場クラッシュのリスクがある

不動産・未上場企業・コモディティ(Real Estate, Private Business, Non-Monetary Commodities)
価値のある資産だが、換金性が低い
不動産は流動性が低く、経済状況による影響が大きい
未上場企業は市場での売却が難しい

デリバティブ・無担保政府負債(Derivatives, Unfunded Government Liabilities)
レバレッジがかかった金融商品(先物・オプション・CDSなど)
実体資産に裏付けられていない信用取引が多い
金融危機時には最も影響を受ける

ビットコインはどこに位置しますでしょうか?
「デジタルゴールド」とも言われますので、金(Gold)と同じ層でしょうか?

現時点では、第2層(Non-Monetary Commodities)か第3層(Listed Stocksと同等)に位置すると考えられます。

ビットコインの価値の保全性は金(Gold)に似ておりますが、ボラティリティの高さと流動性の影響を受けるため、金(Gold)と同じ最下層にはならないということですね。

お金がピラミッドを下に流れる要因

金融市場では、状況によって資金の流れが変わりますが、特に、金融危機・景気後退・信用不安の際には、お金が逆ピラミッドの上層から下層へと流れます。

リスク資産から安全資産へと資本が逃避するということですね。

その要因として、以下のようなものがあります。

金融危機(リーマン・ショック、信用収縮)

  • 信用バブルが崩壊し、デリバティブ市場や株式市場が暴落
  • 投資家がリスク資産(株・社債・不動産)を売却し、国債や現金へ逃避
  • 例:2008年のリーマン・ショック時には、デリバティブや株が暴落し、資金は米ドル・米国債へと移動

銀行危機(預金封鎖・信用不安)

  • 銀行が破綻し、預金封鎖や取り付け騒ぎが発生
  • 預金者が銀行から現金を引き出し、紙幣や金に逃避
  • 例:1930年代の大恐慌、2023年のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻

政府債務危機(国債デフォルト・通貨危機)

  • 国の信用不安が高まり、国債が暴落し、通貨安が進行
  • 投資家が国債や通貨を売却し、ゴールドや米ドルへ避難
  • 例:1997年のアジア通貨危機、2023年のアルゼンチン・トルコの通貨暴落

ハイパーインフレ(法定通貨の信認喪失)

  • 政府の財政赤字拡大や過剰な金融緩和により、通貨価値が暴落
  • 市民が紙幣を金やビットコインなどの価値保存資産に交換
  • 例:ベネズエラ(2010年代)、ジンバブエ(2000年代)

地政学的リスク(戦争・政変)

  • 戦争やクーデターが発生し、投資家がリスク資産から撤退
  • 資金が流動性の高い通貨や金へと移動
  • 例:2022年のロシア・ウクライナ戦争によりルーブルが暴落し、資金がドル・ゴールドに避難

金融市場では、環境の変化に応じて資金の流れが変わりますが、特に危機的な局面では、リスク資産から安全資産へと資本が移動します。

例えば、金融危機では信用収縮により株式や社債が売られ、資金は国債や現金へと流れます。銀行危機では預金者が現金や金へ避難し、政府債務危機では国債や通貨が売られ、ゴールドやドルへ資本が移ります。

特に、現在のように各国の中央銀行が金融緩和によって貨幣供給量を増やし、市場に過剰な通貨が溢れている状況では、相対的に貨幣価値は下がり続け、Gold(金)やビットコインといった資産へ資本が移動しています。

やはり、Gold(金)やビットコインには投資しておいた方が良いですね。

そうですね。
Gold(金)やビットコインへも投資しておいた方が良いと思いますよ。

まとめ

  • お金は「金融危機・信用不安・インフレ・戦争」などの際に、リスク資産から安全資産へと流れ落ちる
  • デリバティブ・株式・不動産 → 銀行預金・国債 → 現金・金へと資本逃避が起こる
  • 「ゴールド」が最後の逃避先として機能する

資産の流動性は大切です。「エクスターの逆ピラミッド」を参考にして、ご自身の資産を見直してみてください。

投資のご相談は、こちらからご連絡くださいませ。

著者プロフィール

大崎真嗣
大崎真嗣
投資アドバイザー

愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。

その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。

自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。

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