2025年現在、中国は不動産市場と株式市場で、全く異なる局面を迎えています。
• 不動産市場は、2020年以降の「三本の赤線」強制規制とバブル崩壊後の余波を受け、価格下落と取引沈滞が続いています。アナリスト予測では2025年に-4.8%、2026年は横ばい見通しとなっており 、弱含みが鮮明です。
• 一方、株式市場は、低位バリュエーションや政府主導の安定化策、AI関連を中心としたテクノロジー株の躍進により、2024年末から上昇が続いています。MSCI ChinaやCSI 300、香港ハンセンテック指数では年初来+15~30%と急反発し、海外投資家の資金も急回帰中です 。
このように、不動産が政府規制・需給構造転換により低迷する一方で、株価は政策支援と成長テーマの追い風を受けて底上げされる「二極展開」が進行中です。
もう少し中国の不動産市場と株式市場について教えてください。
以下で解説します。
- ① 中国不動産市場:価格下落と取引減少が継続
- ② 規制と支援の両輪:三本の赤線と政府融資
- ③ ティア別格差続く:一線都市と地方で「明暗分離」
- ④ 不動産依存から製造・AI重視への政策転換
- ⑤ 株価市場は「政策主導の復活」と「テーマ株主導」
① 中国不動産市場:価格下落と取引減少が継続

• Reuters調査によれば、平均住宅価格は2025年に前年比-4.8%、2026年は横ばいの可能性が高く 。
• 背景にはデベロッパーの過剰債務、在庫過剰、需要の急減、米中貿易摩擦があり、各地で価格下落圧力が継続しています 。
• 新規着工戸数は2025年初めで新規-24%、完工-15%と供給抑制が続いており 、今後は特殊融資(4兆元規模)などで一部回復は予想されるものの、需給改善には時間がかかる見通しです 。
② 規制と支援の両輪:三本の赤線と政府融資

• 2020年の「三本の赤線」以降、過剰債務開発企業に融資禁止や債務制限が課され、大手開発各社も財務再編を迫られました 。
• 2024年からは、中央銀行・財政当局が4兆元の支援融資を実施。地方政府も「不良在庫」の購入を進め、底打ち支援に本腰を入れています 。
• ただし、これらは価格下支えであり、早期回復とは異なる「下落鈍化」寄与にとどまっています 。
③ ティア別格差続く:一線都市と地方で「明暗分離」

• 上海・北京・深圳などの一線都市では在庫調整と政策支援で停滞緩和の兆し一方、二・三線都市や地方では引き続き需給悪化が続き、価格低迷が顕著です 。
• 先進各社も高品質プロジェクト・都市部物件に限り工事再開を進めており、「質による格差」が広がっています 。
• ロジスティクス、オフィス、商業用途は一線都市で底堅さを維持するものの、住宅用途は当面下落トレンドと見られます。
④ 不動産依存から製造・AI重視への政策転換

• 中国経済は「不動産依存」型から脱却を図り、“Made in China 2025”や半導体、AI優先の構造転換を加速中です 。
• 今後は製造業投資・先端技術育成・消費喚起の政策比重が強まり、不動産は“調整しながら支える”対象へシフトしています 。
• この構造転換は、中古住宅価格の低迷継続と、都市部商業不動産への選別的底支えにつながるでしょう。
⑤ 株価市場は「政策主導の復活」と「テーマ株主導」

• 中国株は2024年末以降、MSCI China 約+20%、香港ハンセンテック+30%、A/H株とも上昇中 。
• 背景には①政府(国家チーム)によるETF・直接買い支え、②規制緩和・資本政策の底割れ対策、③AI・半導体・EVといった「政策テーマ株への資金集中」などがあります 。
• 海外ヘッジファンドもポートフォリオに中国株を再組み入れており、米国のボラティリティ比較で相対値投資需要が増大中 。
中国の不動産と株式、どちらに注目すべきでしょうか?
成長を期待するなら株式、安値狙いなら不動産ですかね。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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