「Asian Bank」を名乗る無認可金融スキームの実像 ― 米国籍を装う高利回り・紹介型“疑似銀行”の構造

asianbank.us」および関連する「i-v-affiliate.com/abct」は、米国ワシントンD.C.やハワイを拠点と称し「Asian Bank & Capital Trust(ABCT)」の名で運営されている。しかし、公的登録機関(FDIC・OCC・州銀行局など)には該当する銀行・信託会社の記録がなく、表示内容・勧誘形態から見て無認可の金融スキーム、あるいは詐欺性の強い疑似銀行ビジネスと判断される。
表向きは「オフショア信託」や「デジタルバンク」を装うが、実態は高利回りと紹介報酬を組み合わせたアフィリエイト型集金構造であり、典型的な投資詐欺の要件を満たしている。

  • 公式サイトの実態と不自然な表示
  • 公的データベースでの確認結果
  • アフィリエイトサイトの構造と危険信号
  • レッドフラッグの具体例
  • 被害防止と実務的対応策

公式サイトの実態と不自然な表示

Asian Bank

asianbank.us のトップでは、ABCTを「Offshore Financial Trust Incorporated & Certified in Washington D.C.」と称している。しかし、米国では「オフショア金融」は法的概念として存在せず、監督権限はワシントンD.C.金融機関局(DISB)が持つ。ところが同局の登録データには当該名称は見当たらない。
所在地はハワイ州ホノルルの高級コンドミニアム住所が記載され、支店案内にはデラウェアLLCの登録情報を並べるなど、典型的な“住所借り”構造が見られる。さらに、デビットカード発行元が「Myanmar Joint Development Bank」と明記されており、米国法人を装いつつ東南アジア金融を介在させる極めて不自然な体裁となっている。

公的データベースでの確認結果

金融当局の脱炭素枠組み、FDICも脱退 米政権交代で - 日本経済新聞

米連邦預金保険公社(FDIC)の「BankFind」データベースでは、“Asian Bank”という名称の正規銀行はペンシルベニア州フィラデルフィアに存在する(Cert #34759)。しかし「Asian Bank & Capital Trust」および「ABCT」を名乗る法人はヒットしない。
同様に通貨監督庁(OCC)・州銀行局・SECの登録一覧にも該当はなく、金融機関としての法的地位は確認されない。つまり、ABCTは米国のどの監督機関からも免許を受けていない“名義上の銀行”に過ぎない。

アフィリエイトサイトの構造と危険信号

Multilevel Marketing (MLM) - Overview, How it Works

関連する「i-v-affiliate.com/abct」では、ABCTを「正規申請代行パートナー」と称し、年5〜8%のドル建て定期預金、暗号資産からのUSDデポジット、そして「紹介報酬制度」を謳っている。SWIFTコードは「取得準備中」とされ、国際送金インフラが未整備のまま資金受入を促す点も典型的な“未認可集金”パターンである。
このサイトの設計は、MLM(マルチレベルマーケティング)型勧誘と酷似しており、実際の資金運用先や保全方法の説明は一切ない。
高利回り・紹介報酬・暗号資産経由という三要素が揃うとき、投資詐欺の確率は極めて高い。

レッドフラッグの具体例

レッドフラッグ / 赤旗とは? | 初心者でも分かるF1用語集 | Formula1-Data

ABCTおよび周辺勧誘の中で確認できる典型的警告要素は次の通りである。
1. 監督・保険の裏付けが皆無:FDIC保険番号、OCC免許、州登録がいずれも非掲載。
2. 「オフショア信託」表記の悪用:米国内では違法性回避に使われる常套句。
3. 高利回り・暗号資産・紹介報酬:リスク説明なしに5〜8%を保証。
4. 送金先が発展途上国銀行:ミャンマーの銀行を経由させる異常な構造。
5. 所在地の不整合:ハワイ住所が実際には住宅物件、法人登記情報との整合がない。
これらは世界的に摘発が進む「デジタルバンク型投資詐欺」案件の特徴と完全に一致する。

被害防止と実務的対応策

サイバー警察局「統一窓口」を設置 サイバー犯罪やセキュリティ意識向上に期待 - 株式会社アクト

もし勧誘を受けている、あるいは入金済みの場合は以下の行動を取ることが望ましい。
• 即時の追加入金停止:追加資金を要求されても一切応じない。
• 証拠保全:送金履歴、相手との通信記録、サイト画面、契約書などをスクリーンショットで保存。
• 送金元機関への連絡:利用した銀行・カード会社・取引所に調査依頼を行い、必要に応じてチャージバックや送金停止を申請。
• 当局への報告:日本では警察庁サイバー犯罪相談窓口、金融庁、消費者庁。米国の場合はFTC(Federal Trade Commission)やD.C. Department of Insurance and Banking (DISB)。
• 再発防止策:今後「銀行」を名乗る事業体は、必ずFDIC BankFindで名称・所在地・保険有無を照合し、**同名別法人(誤認誘導型)**に注意する。

聞いたことを鵜呑みにするのではなく、しっかりと調べることが大事ですね。

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結論

Asian Bank & Capital Trust(ABCT)は、米国の公的金融機関リストに存在せず、FDIC保険も取得していない。サイト構成・所在地・勧誘内容・アフィリエイト手法のいずれも、実在銀行を装った無認可投資スキームの特徴を備えている。
「米国の銀行」を名乗るだけで信頼してしまう利用者心理を突いた、きわめて巧妙なマーケティング型詐欺であり、現時点で関与・送金・紹介のいずれも極めて危険である。

もし過去に資金を預けた場合でも、被害届の提出と送金経路の追跡で一部回収の可能性は残る。重要なのは、**“公式サイトの見た目ではなく、監督当局の登録記録を確認する”**という基本に立ち返ることである。ABCTはその点で何一つ裏付けがなく、「多分詐欺だった」という直感は、論理的にも正しかったと言える。

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

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