こんにちは、K2 College河合です。
楽天の起債が続いていますね。楽天銀行IPOも控え、資金調達が火の車という印象を受ける楽天グループ。今回の新発債券の解説をしようと思います。
確か去年も12%の債券を出したばかりですよね。そんなに高い金利で調達してしまっていいのでしょうか。
日本円で低い金利でも調達しているのですが、海外投資家マネーを取り込みたのでしょう。ただ年12%もあるからか、結構資金調達は好調なようです。
- 動画解説
- 今回の債券は表面金利10.25%でディスカウント後実質11.76%
- 一つ格下げで現在BBという格付け(ジャンク債)
- 2024年に償還を迎える債権だけで3324億円
動画解説
今回の債券は表面金利10.25%でディスカウント後実質11.76%
前回(2022.11)と同様、今回の債券の条件も・・・
満期:2年
金利:10.25%
通貨:USD
種類:ディスカウント債
となっていますが、ディスカウントの兼ね合いで実質利回りが前回は12%でしたが、今回は11.76%となっています。
金利が高いこともあり、当初2億ドルの起債予定だったのが、2.5億ドル追加で合計4.5億ドル(約600億円)の起債となりました。
額が多くて感覚が掴めません。
去年(2022年)11月が5億ドルなので、同じくらいの額を2ヶ月でもう調達しないといけないという状態です。ただ今回は米ドル建てなので金利が高いですが、円建てでも年間数千億円単位で調達しているので、今回の額がそこまで多いというわけではありません。
一つ格下げで現在BBという格付け(ジャンク債)
そんな中、昨年(2022年)12月S&P社が楽天の格付けをBB+からBBへ一つ格下げしました。格下げということは、更に高い金利でしか起債できないということになりますね。
BBって既に危険な印象を受けますね。
2024年に償還を迎える債権だけで3324億円
日本国の自転車操業と同じで、債券を発行して調達すればいいというものでもありません。調達した債券には満期があり、今回の2年のように、2年後には借りたお金は返さないといけません(それをしないとデフォルト)。もちろん金利を上乗せして返すのですが、そのためにまた起債をしないといけないんです。はい、自転車操業ですね。個人でも消費者金融を梯子する人、たまにいますよね。
楽天の場合、2024年(来年)に満期を迎える額だけでも3324億円あります。つまりまた来年必ず3324億円+は起債しないといけません。その時に今のモバイル事業を始めとした業績がどうなっているかわかりませんし、格付けがまた下がっているかもしれませんね。
楽天と言えば、野球チームも持ってるし、日本のamazonだしで勝ち組のイメージがありましたが、楽天社債、購入するのやめようと思います。
デフォルトリスクが高いので楽天社債に投資するのやめましょう、とも言えますが、そもそも同じデフォルトリスクがある会社の社債なのに日本円だと1%前後、ドル建てだと12%というのは馬鹿げた話です。これは楽天の問題ではなくて、日本国、日銀に問題があるんですけど、これだけの金利差があるのにまだ日本円を持ち続けている、日本円資産に投資する日本の個人投資家も考えを改めた方がいいですね。
まとめ
- 楽天債券には投資するな
- 円建てでなくドル建てで運用しよう
- 今後の格付けに注目
証券会社で楽天債券を勧められている、という時にはいつでもこちらからご相談ください(無料)。
著者プロフィール
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<経歴>
青山学院大学国際政治経済学部国際経営学科ファイナンスコース卒業
中国天津南開大学漢語語言学院留学
野村證券にて4年半勤務、2008年リーマン・ショックの前日に退社
プライベートバンクを経て、2009年K2 Investment設立
2014年ボストン留学、2018年Paris留学
現在、K2 Holdings会長
<趣味>
ダイビング、クルージング、自然
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