米利上げは「あと1回」?

こんにちは。K2 College大崎です。

米労働省が12日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回りました。

前年同月比の上昇率が3.0%と前月の4.0%から鈍化し、2021年3月以来、約2年ぶりの小幅な伸びとなり、また、変動の大きいエネルギー・食品を除くコア指数は4.8%上昇と前月の5.3%から伸びが縮小し、市場予想(5.0%)を下回りました。

  • 動画解説
  • 米利上げは「あと1回」?
  • FRBが重視している「PCEデフレーター」は横ばい状態
  • FOMC参加者の2023年末PCEコアデフレーターの予測は3.6%
  • 株価が影響を受けるのは金利だけではない

動画解説

米利上げは「あと1回」?

日本経済新聞の記事には、FRB(米連邦準備理事会)は7月を最後に利上げを打ち止めにするとの見方が再び浮上してきているとの見出しが出ておりましたが、どう思いますか?

確かに、市場は「あと1回」の利上げと考えているようですね。

しかしながら、伸びが鈍化してきているとはいえ、FRBはインフレ率を目標の2%まで戻すということにコミットメントしております。

コア指数はFRBの物価目標である2%の2倍以上でありますから、あと2回は追加利上げをするのではないでしょうか。

ちなみに、6月公表のドット・プロット(金利予測分布図)では、FOMC参加者のフェデラルファンド金利の目標水準は5.50-5.75で、年内に合計0.5ポイントの追加利上げが示唆されておりました。

ただ、パウエル議長は

「われわれのコミットメントは利上げの特定の回数に対するものではなく、インフレ率を2%に戻すのに十分に景気抑制的な政策スタンスへのものだ」

「さらなる利上げがあるとして、そのタイミングと程度は経済の進展次第だ」

と述べておりますので、今後の経済指標次第となるでしょう。

FRBが重視している「PCEデフレーター」は横ばい状態

米商務省が毎月末に発表している個人消費の物価動向を示す指標で、PCE(Personal Consumption Expenditure)デフレーターというものがありますが、

これは物価上昇圧力を測る尺度として用いられます。

同様の指標にCPI(消費者物価指数)がありますが、PCEデフレーターの方が調査対象が広く実際の物価動向を反映しているとされており、そのPCEデフレーターから価格変動が激しい食品とエネルギーを除いたものをPCEコアデフレーターと呼び、FRB(米連邦準備制度理事会)が最も重視している物価指標として知られています。

このPCEコアデフレーターの数値を見ると横ばい状態が続いており、ここから見てもまだ利上げをしなければならないのではないかと想像してしまいますね。

FOMC参加者の2023年末PCEコアデフレーターの予測は3.6%

そして、6月13-14日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合に合わせて、会合参加者はPCEコアデフレーターについて最も可能性の高い結果を予測しているのですが、その数値は3.6%なのですよね。

6月30日のPCEコアデフレーター結果は4.6%ですから、まだ1%も乖離があります。

本当に、米利上げは「あと1回」?

株価が影響を受けるのは金利だけではない

利上げが続きそうであれば、株価にとってはマイナス要因になりますでしょうか?

一般的にはそうですね。

今のような金利が高ければ、わざわざリスクが高い株式に投資しなくても良いですし、金融機関の貸出金利も高くなりますから、企業は設備投資を控え、個人は消費を抑制することになり、実体経済に悪影響を及ぼして行きます。

しかしながら、株価は景気や金利などの影響も受けますが、企業業績の影響を強く受けますよね。

これから4~6月期(第2四半期)の企業決算が本格化してきますが、企業業績をしっかり確認するようにしましょう。4~6月期は中間決算でもあります。

まとめ

  • FRBはインフレ目標2%にコミットしている
  • 株価は景気や金利だけでなく、企業業績の影響を受ける

短期投資、中・長期投資で取るべき戦術は異なります。
自分の目的に合った方法を取るようにしてくださいね。

ご相談はこちらからご連絡くださいませ。

著者プロフィール

大崎真嗣
大崎真嗣
投資アドバイザー

愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。

その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。

自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。

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