こんにちは、K2 College河合です。
本日は野村證券で新しく新規設定、募集されている『ドナルド・スミス 米国ディープバリュー株式ファンド』を解説します。すっかり新規設定が少なくなった野村證券ですが、新規設定するとしたら、こうしたこれまで国内にはない海外の優秀なファンドのフィーダーファンド設定が多いですね。良いことだと思います。
海外のヘッジファンドですね。
一応、今回の場合、ショート(空売り)は行わないので、ヘッジファンドではなく、通常のミューチュアルファンドですが、これまで国内での募集はなかったというものです。世界には日本人がこれまで見たことないようなファンドがたくさんありますね。
- ドナルド・スミスとは?
- ディープバリュー投資とは?
- これまでのパフォーマンス
- 銘柄例
ドナルド・スミスとは?
バリュー株投資の代表、ウォーレン・バフェット氏と同じ師匠の元で学んでいたようです。
どうでもいいですが、私が生まれた年(1980年)に設立。現在(2023年)、43年の歴史があります。
資産残高が29.5億ドル(約4500億円)なので、大きい方ではありますが、40年の歴史の割には少ないなという印象です。
米国内でバリュー投資をするファンドのうちPBRが1以下に投資をするディープバリュー戦略が全部で6つしかなく、そのうち4つをこのドナルド・スミスが運用しているそうです。
最近はPBRが1倍割れが多いそうですね。
特に日本株で多かったようですね。ただ今回は米国株への投資となります。米国はS&P500で見ても入れ替わりの激しい世界ですから、そこでPBR1倍割れというのは、かなり古い産業の企業になるんじゃないでしょうか。
ディープバリュー投資とは?
ディープバリュー戦略とは、通常のバリュー投資よりももっと割安の銘柄のみに投資する戦略のことです。
「有形純資産」に注目し、これと比べて株価が割安になっている銘柄を選びます。有形=目に見える資産をちゃんと持っているわけですから、すぐに会社を売っても、確実に価値が投資額以上になっている銘柄へ投資するということですね。
その有形純資産をもって株価が割安な銘柄ほど過去リターンが高かったというデータが出ています。
ただしプラスリターン172銘柄、マイナスリターン104銘柄なので、勝率6割。なかなかシビアな数字に見えますね。
ディープバリュー銘柄、確かに我々では見つけるの大変ですし、投資するのもいい気がしますね。
そうですね、なんとなく知っている銘柄へ投資するよりはいいと思いますが、正直、勝率は決して高くないと思います。更にそのリターンがどのくらいの期間かけて得られるか?も大事です。上図では5年かけてやっと勝率6割ですから、もっと短い期間では勝率は更に下がると思われますし、じゃあ更に長期で投資するのか?です。株式ファンドでそこまで長期投資する投資家が、日本にどれほどいるのでしょうか。
これまでのパフォーマンス
こちら1992年からこれまでのパフォーマンス推移。グロース株、米株インデックス、バリュー株指数よりも高いリターンを挙げているという例ですが、よく見ると、つい最近(2020年ごろ)まではそれ以外の指数と変わらない、むしろ負けていたことがわかります。直近、たまたま上昇が大きかったので、このファンドを設定したというところでしょう。
ポートフォリオを見てみると、中型株で3割。小型株が6割となってます。
PBRが0.67%、PERが6.64%というのがすごいですね。すごい割安なのは間違いありません。
特徴がめちゃくちゃ割安な銘柄に投資をしている、というだけですね。
ですね。それで投資をしたら、長く持つ、という単純なものではないでしょうか。
銘柄例
正直、私も知っている銘柄がひとつもありません(笑)。そういう銘柄が多のでしょう。皆さんはどうでしょうか?
組入銘柄がたったの34銘柄というのもビックリですよね。長期投資するんでしょうし、リサーチャーほとんど必要ありません。
良かった例だけ挙げているんでしょうけれど、買ったタイミングを見てください。こんなイメージで投資しています。これまで売った銘柄の売りタイミングも見てみたいですよね。
結果論なように見えてきました。
どんな特徴を立てようと、結局ミューチュアルファンドなので、ヘッジファンドほどの魅力は感じませんよね。
まとめ
- ディープバリュー投資は勝率が悪く、時間がかかる
- もっと魅力的なミューチュアルファンドは他にもある
- ヘッジファンドへ投資しよう
期待したほどの魅力は感じませんでしたね。ヘッジファンドとの比較チャートがなかったのも恣意的ですね。ヘッジファンドの方が魅力があると感じられるようであれば、海外には日本にはないヘッジファンドがたくさんあるので、直接海外(オフショア)投資しましょうね。
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著者プロフィール
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<経歴>
青山学院大学国際政治経済学部国際経営学科ファイナンスコース卒業
中国天津南開大学漢語語言学院留学
野村證券にて4年半勤務、2008年リーマン・ショックの前日に退社
プライベートバンクを経て、2009年K2 Investment設立
2014年ボストン留学、2018年Paris留学
現在、K2 Holdings会長
<趣味>
ダイビング、クルージング、自然
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