こんにちは、K2 College編集部です。
2024年、日本におけるアクティビスト投資家の活動は一層活発化し、多くの企業がその影響を受けています。以下に、総論と5つの具体的な事例を挙げ、最後にまとめを記します。
アクティビスト投資家とは、企業の株式を一定以上保有し、経営に積極的に関与して株主価値の向上を目指す投資家を指します。
近年、日本でもその活動が注目を集めており、企業のガバナンス改革や資本効率の改善、ESG(環境・社会・ガバナンス)への対応など、多岐にわたる提案が行われています。2024年には、特に海外のアクティビスト投資家による日本企業への関与が増加し、その影響力が強まっています。
アクティビスト投資家は必要なのでしょうか?
アクティビスト投資家が必要かどうかは、立場や市場の状況によって見解が異なりますが、日本においては株主に対する利益還元やコーポレートガバナンスが欧米に比べて弱いとされてきたため、アクティビスト投資家の存在が改善の契機になることがあります。
- 花王に対するオアシス・マネジメントの提案
- 京成電鉄に対するパリサー・キャピタルの影響
- ダイドーリミテッドに対するストラテジックキャピタルの提案
- ソニーに対するサード・ポイントの活動
- 東芝に対するエフィッシモの株主提案
花王に対するオアシス・マネジメントの提案

香港系投資会社である「オアシス・マネジメント」は、花王の業績低迷を受け、マーケティング戦略の改善や業務効率の向上を求める提案を行いました。これにより、花王は経営戦略の見直しを迫られ、株主価値の向上に向けた取り組みを強化しています。
日本企業へのアクティビスト投資家の介入の典型例ですね。
その後どうなりましたでしょうか?
現時点で花王がオアシスの提案をどこまで受け入れるかは不明ですが、株主総会に向けた動きが注目されています。
京成電鉄に対するパリサー・キャピタルの影響

イギリスの投資ファンドの「パリサー・キャピタル」は京成電鉄の本源的価値と市場評価の乖離、いわゆるバリュー・ギャップを解消することを目的として、資本配分計画の策定やオリエンタルランド株式の保有比率削減を求める株主提案を、株主総会において提出したりしております。
定時株主総会で否決されましたよね。
ディズニーランドは京成電鉄当時の社長らの提案で設立した経緯がありますし、京成電鉄が60年以上にわたり筆頭株主として同社株を保有してきた経緯もありますので、京成電鉄の株主には、今なおオリエンタルランドに親近感を持つ人が多いと言われております。
とは言え、今回パリサー・キャピタルが京成電鉄に突きつけた提案は、成長戦略や株主還元策に対する再評価が進みましたので、その意義は小さくないですね。
ダイドーリミテッドに対するストラテジックキャピタルの提案

紳士服アパレル企業であるダイドーリミテッドに対し、ストラテジックキャピタルは取締役選任議案を提出しました。2024年6月の株主総会で、提案された6名中3名が可決され、同社の経営陣に変化が生じました。その後、同社は株主還元策を発表し、企業価値の向上に努めています。 
ストラテジックキャピタルはすぐに保有していた株式をすべて売却しましたよね。
株価が急騰したからですね。
ストラテジックキャピタルも投資家からお金を預かって運用しておりますから、投資家に対する受託者責任があり、売らざる負えないという理由もあります。
ソニーに対するサード・ポイントの活動

米国の有力なアクティビストであるサード・ポイントは、ソニーの株式を大量に取得し、エンターテインメント事業や半導体事業の分離・独立を要求するなど、複数回にわたって経営に圧力をかけました。これにより、ソニーは事業構造の見直しやガバナンス改革を進めることとなりました。 
日本企業に対するアクティビスト投資の代表例として注目されましたね。
サード・ポイントの介入は、ソニーに対して直接的に提案が受け入れられる結果にはなりませんでしたが、経営陣に対する外部からの圧力として機能し、結果的にソニーの企業価値向上に寄与しました。
東芝に対するエフィッシモの株主提案

旧村上ファンドの幹部により設立されたエフィッシモは、東芝の定時株主総会の運営の適正性について独立調査を求める株主提案を提出しました。2021年3月の臨時株主総会でこの提案が可決され、日本企業のコーポレートガバナンスにとって画期的な出来事と評価されました。 
画期的な出来事と評価されたとのことですが、どのような影響を与えましたでしょうか?
東芝のガバナンスに重大な影響を及ぼし、企業統治の透明性と公正性を向上させる重要な役割を果たしました。
まとめ
- アクティビスト投資家が必要かどうかは、立場や市場の状況によって見解が異なる
- 日本においては株主に対する利益還元やコーポレートガバナンスが欧米に比べて弱いとされてきたため、アクティビスト投資家の存在が改善の契機になることがある
- 企業価値向上や企業統治の透明性と公正性を向上させる役割を果たした事例もある
2024年、日本におけるアクティビスト投資家の活動は多様化し、企業のガバナンス改革や資本効率の改善、ESG対応など、さまざまな側面で企業に影響を与えています。企業側は、これらの提案に対してオープンな姿勢を持ち、建設的な対話を重ねることで、持続的な成長を実現していくことが求められます。また、株主とのコミュニケーションを強化し、透明性の高い経営を実現することが、アクティビストからの過度な介入を防ぐためにも重要です。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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