Investors Trust(以下ITA)はケイマン諸島籍のオフショア保険会社で、アジアや中南米を中心にユニットリンク型の積立保険を展開している。その中でも特に注目すべきは、「若い保険営業マンが副業としてInvestors Trustの商品を販売している」という現象 である。国内生保や損保の正社員として働きながら、あるいはIFAやFP見習いの立場で、通常業務の傍ら「高コミッション商品」としてITAの積立保険を副業的に売り歩くケースが増えている。表面的には「資産形成のアドバイス」として顧客に提示されるが、その実態は販売者自身も十分に理解していない複雑な商品を「副収入源」として扱う危うい構造である。
保険営業マンが副業としてInvestors Trustの商品を販売するのは、投資家にリスクはあるのでしょうか?
以下では、この「副業販売」の実情と投資家に及ぼすリスクを5つの観点から検証します。
- 高額コミッションが副業販売を誘発
- 商品理解不足のまま販売される危険性
- コミュニティ内拡散と「副業仲間」ネットワーク
- 投資家保護と法的グレーゾーン
- 投資家に及ぶ長期的被害
高額コミッションが副業販売を誘発

ITAの商品は契約初期に高額のコミッションが支払われる。通常の国内生保商品の販売報酬よりもはるかに高く、契約初年度の保険料の50〜70%が販売手数料として支払われる場合もある。若い保険営業マンにとって、給与や歩合だけでは十分でない生活費を補う手段として「副業でIT商品を販売する」ことは極めて魅力的に映る。この構造こそが「副業販売」の温床であり、販売者が顧客本位ではなく「短期の収入」を目的に動くインセンティブを生み出している。
商品理解不足のまま販売される危険性

若手の保険営業マンが副業的に扱う場合、商品の複雑性を十分に理解せずに販売するケースが多い。ITAの積立商品は「ボーナス」「外貨建て」「国際分散」といった言葉で魅力的に見えるが、実際には長期のサレンダーチャージや高コストのファンド構造を伴う。ところが、販売者自身がそれを理解せず、パンフレットの文言をそのまま顧客に伝えるにとどまることが多い。結果として顧客は「若くて親しみやすい営業マンの言葉」を信じて契約し、後になって不利な条件に気づくという構図が頻発している。
コミュニティ内拡散と「副業仲間」ネットワーク

副業販売は一人で行われるだけではなく、若手営業マン同士のネットワークやコミュニティ内で拡散している。具体的には、国内保険会社に勤める新人同士が「副業としてやると稼げる」と口コミで広げたり、外資系保険会社の研修仲間が「ITの代理店と繋がる」形で参入するケースが目立つ。さらに、SNSやLINEグループを通じて「副業仲間」を募り、紹介料をシェアする構造が形成されている。これは一種の「マルチ的な拡散構造」に近く、販売倫理よりも「誰がいくら稼いだか」が中心話題になっているのが実情である。
投資家保護と法的グレーゾーン

日本の金融商品取引法では、海外保険会社の商品を日本居住者に直接販売することは基本的に登録が必要であり、無登録での勧誘は違法行為に該当する可能性がある。しかし、副業販売を行う若手営業マンはこの点を理解していない、あるいは意図的に無視しているケースが多い。「自分はIFAの紹介をしているだけ」「契約は海外で行うから大丈夫」という理屈で販売が行われるが、実際には投資家保護の枠組み外に置かれるため、トラブル発生時に救済を受けることは極めて困難である。つまり、顧客は「副業営業マン」と「規制外商品」の二重リスクを背負わされる。
投資家に及ぶ長期的被害

このような副業販売の犠牲となるのは、多くが投資知識に乏しい一般の個人投資家である。若い営業マンに「将来の教育資金になる」「老後資産形成に最適」と説明され契約するが、実際には10年以上の拘束と高額手数料によって元本回復すら難しい状況に陥る。さらに、販売者が副業として短期的に稼ぐことしか念頭にないため、アフターフォローはほとんど期待できない。数年後、投資家が解約を希望した時には「サレンダーチャージで大幅な元本割れ」という現実に直面する。つまり、副業販売は販売者にとって「一時的な収入源」だが、投資家にとっては「長期的な負債」となるのだ。
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副業販売も多く、長期リスクも高いです。
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まとめ
- まとめ Investors Trustの商品が若い保険営業マンの副業として広がっている背景には、高額コミッションという強烈なインセンティブ が存在する
- だが、その副業販売の実態は、商品理解不足、法的グレーゾーン、投資家保護欠如、コミュニティ的な拡散、そして顧客への長期的被害 という深刻な問題を孕んでいる
- 特に「親しみやすい若手営業マンだから信用できる」という心理を逆手に取った販売は、投資家を不利な立場に追い込む典型的な構造である
- 国内制度下のNISAやiDeCo、あるいは透明性の高い低コスト投信と比べれば、そのリスクは明白だ。副業として販売する側だけでなく、契約を検討する側も、「副収入欲しさの商品拡散」に巻き込まれない冷静な判断が求められる
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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