コロナ関連株とは、パンデミック下でワクチン・治療薬の開発、遠隔サービス、Eコマース、ライフサイエンス関連製品に関わる企業の株を指します。2020〜2021年にかけて急騰したこれらの銘柄は、ワクチン配布の進行や経済正常化に伴い、多くが2022年以降に急落。特にワクチン依存型モデルの企業はその後の成長鈍化に苦しみました。
コロナ関連株のパンデミック特需について教えてください。
以下で解説していきます。
- 【各銘柄の動向】
- 【今後の展望】
- 【リスク要因】
【各銘柄の動向】

① モデルナ(MRNA)

• ピーク:2021年8月に$484付近(2020年初は$20台)
• 2025年8月時点:$100台前半まで下落
• 背景:
• mRNAワクチン(Spikevax)の成功により2021年に急騰
• 2022年以降、コロナ需要の縮小と共に売上・利益が急減
• 新たなパイプライン(がんワクチンなど)への期待はあるが、黒字化は遠のく
② ファイザー(PFE)

• ピーク:2021年12月に$60台
• 2025年8月時点:$30前後で推移(2019年と同水準)
• 背景:
• コロナ治療薬「パクスロビド」やワクチンで利益急増
• ただしその後は過剰在庫と売上急減で2023年に業績悪化
• 大型M&Aによる新成長領域(mRNA、がん、希少疾患)模索中
③ バイオンテック(BNTX)

• ピーク:2021年8月に$460超(現在は$90〜100)
• 2025年8月時点:時価総額・株価ともに約1/5
• 背景:
• PfizerとのmRNAワクチン開発で名を馳せたが、モデルナ同様、ワクチン依存が重荷に
• ヨーロッパ拠点のバイオ企業として、mRNA応用の新規治療領域へ投資中
• 配当政策も開始し、投資家への還元姿勢を示している
④ ZOOM Video Communications(ZM)

• ピーク:2020年10月に$559(現在$60〜70)
• 2025年8月時点:90%近くの下落
• 背景:
• 在宅勤務・リモート会議の象徴的銘柄として急騰
• しかし、TeamsやGoogle Meetなど競合の台頭、オフィス回帰が逆風に
• SaaS全体のバリュエーション見直しも痛手
• 2025年現在も利益は出ているが、成長力に陰り
⑤ テスラ(TSLA)※直接的なコロナ株ではないが

• ピーク:2021年11月に$400超(スプリット考慮後)
• 2025年8月時点:$220〜260
• 背景:
• コロナ禍ではサプライチェーン混乱にも関わらず高成長を実現
• EV需要と環境関連銘柄としての期待で高騰
• 2022〜2023年は金利上昇と中国市場の競争激化で減速
• コロナ特需後もビジネスモデルが持続的に強いため、他のコロナ銘柄より安定感あり
【今後の展望】

【リスク要因】

1. モデルナ/バイオンテック:依然として「ワクチン会社」として評価されがちで、パイプラインの成否が株価に大きく影響。
2. ファイザー:M&A失敗や新薬承認の遅れ、薬価規制。
3. Zoom:成長の天井感、Microsoftとの競合。
4. テスラ:中国勢(BYDなど)との価格競争、新型モデルの需要低迷リスク。
コロナ株は今後復活しますでしょうか?
一部は、技術進化次第で再評価される可能性はありますね。
まとめ
- コロナ関連株は、「短期特需で株価急騰 → 特需終息で下落」という典型的なバブルサイクルを辿りました。ただし、特需を通じて得た資金とブランドを将来の持続的成長に繋げられるかが今後の評価を左右します
- • モデルナやバイオンテックはmRNA技術のプラットフォーマーとしての進化が鍵
- • ファイザーは大型製薬のM&A戦略が裏目に出る可能性もあり要警戒
- • Zoomは単なるリモート会議ツールから、AI×業務最適化へのシフトが生き残り策
- • テスラはコロナとは直接関係ないものの、パンデミックで加速したEV転換の代表銘柄であり、コロナの影響を受けた“勝者”といえる

著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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