コロナ給付金は危機対応として不可欠だったが、財源の大半は国債依存。不正受給・モラルハザード・将来世代への負担など、多くの問題も内包していた。

2020年の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、日本政府は飲食業・中小企業・個人事業主・フリーランス・生活困窮者などを対象とした給付金制度を緊急実施した。特に「持続化給付金」「家賃支援給付金」「時短協力金」などは、影響を受けた事業者の資金繰りを下支えした。しかし、これらの財源の大部分は国債(赤字財政)によって賄われており、加えて制度設計の甘さによる不正受給や過剰給付、格差助長の問題も表面化している。

コロナ給付金制度について詳しく教えてください。

以下に制度の概要、財源の構造、問題点を整理する。

  • ① コロナ給付金の主な種類と対象
  • ② 財源構造:圧倒的に国債(借金)依存
  • ③ 問題点①:制度設計の甘さによる不正受給・過剰支給
  • ④ 問題点②:モラルハザードと所得逆転現象
  • ⑤ 問題点③:将来への財政負担と増税圧力

① コロナ給付金の主な種類と対象

これらに加えて、自治体独自の給付金、低所得者向け特別給付金(10万円)なども支給された。合計で兆円単位の現金が事業者・個人に支給された。

② 財源構造:圧倒的に国債(借金)依存

• コロナ対策関連の財政支出は2020年度~2022年度にかけて約120兆円以上。
• そのうち約8割以上が特例国債による借金財源。
• 一般会計ベースでは、税収でまかなえる範囲を大幅に超えていた。
• 特に「地方創生臨時交付金」(時短協力金の財源)は、全額国が負担=都道府県に出す“見かけ上の自治体給付”も国の借金から。
• 国債残高は、コロナ前の約900兆円から2024年には1000兆円超えに到達。

③ 問題点①:制度設計の甘さによる不正受給・過剰支給

• 給付金の申請が「自己申告ベース」であるため、虚偽申請・架空事業・なりすまし申請が多発。
• 国会答弁によると、不正受給は少なくとも約3万件、返還請求額は300億円超(2024年時点)。
• 時短協力金については、「実際は営業していたのに申告上だけ休業した」ケースも散見。
• さらに、収益構造上コロナ特需のあった業種(例:宅配飲食、eコマース)にも給付が及んだ例も。

④ 問題点②:モラルハザードと所得逆転現象

• 給付金により、「働くより給付をもらった方が得」という現象が一部で発生。
• 飲食店の例:通常営業より「時短協力金」の方が利益率が高かった店も。
• 実際に営業を続けていた事業者が損をし、休業・時短した方が潤うという経済的逆転現象=モラルハザードが問題に。
• この構造は公平性の観点から社会的な分断を招いた。
• また、一部では受給金を高級車や投機に使ったという報道もあり、国民の信頼を損ねた。

⑤ 問題点③:将来への財政負担と増税圧力

• コロナ給付金は緊急性が高く、当時は必要不可欠だったが、財源はあくまで“未来からの前借り”。
• 今後、これらの国債の元利返済は将来世代の税負担として重くのしかかる。
• 財務省はすでに「防衛費や社会保障支出が増加する中、将来的な消費税率の引き上げや歳出削減が避けられない」と警告。
• コロナで加速した「財政のタガの緩み」が、日本の中長期的な財政健全性を脅かすリスク。

給付金は結局無駄だったのでしょうか?

当時は必要でしたが、今後の課題も残りますね。

まとめ

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

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