カンボジア不動産市場の現状と投資リスク ― 高成長の裏に潜む落とし穴

カンボジアは東南アジアの中でも急成長を遂げてきた国の一つで、2010年代には「アジア最後のフロンティア市場」と呼ばれるほど投資マネーを集めました。首都プノンペンを中心に高層コンドミニアムやホテル、ショッピングモールが乱立し、一時期は中国資本を中心とする海外投資が爆発的に流入しました。しかし、2020年以降のパンデミック、地政学的リスク、規制変更などにより状況は急変。「成長期待」から「需給不均衡・過剰供給」へとシフトしているのが実情です。ここではカンボジア不動産市場を5つの視点から整理します。

最近よく耳にするので気になっていました。

いい面だけではなく、注意する部分もあるのでしっかり確認していきましょう。

  • 外国人投資規制とコンドミニアム市場の実態
  • 中国マネー依存のリスク
  • レンタル市場とキャッシュフローの課題
  • 法制度・権利関係の脆弱性
  • 将来展望と投資家への教訓

外国人投資規制とコンドミニアム市場の実態

カンボジアは比較的外資規制が緩く、外国人も2階以上のコンドミニアムであれば所有権を取得可能です(ただし土地の直接所有は不可)。この制度が投資資金の流入を後押ししました。
しかし、需要に比して供給が過剰に増加し、プノンペン中心部の新築コンドは空室率30〜40%ともいわれます。投資用として販売された物件は、居住実需を欠いたまま「販売価格が値上がる」という前提で売買されてきたため、足元では値崩れや賃料下落が顕著になっています。

中国マネー依存のリスク

2010年代後半のカンボジア不動産ブームは、中国人投資家と中国系デベロッパーに大きく依存していました。特にシアヌークビルでは中国資本によるカジノ・ホテル開発が乱立しましたが、2019年以降のオンラインカジノ禁止措置やコロナ禍でプロジェクトの多くがストップ。
プノンペンのコンド市場も、中国資金の引き揚げで急激に冷え込み、未完成プロジェクトや建設中断案件が目立つようになっています。これはタイやマレーシアの一部リゾート不動産バブルの構図と似ています。

レンタル市場とキャッシュフローの課題

カンボジアにおける駐在員需要は限定的で、日系企業を含む外資系企業の赴任者は数千人規模にとどまります。従って、賃貸需要は極めて薄く、表面利回り8〜10%をうたう物件も実際には空室が続くことが多い。
さらに、賃貸管理を行う不動産業者の信頼性にばらつきがあり、賃料未払い・管理不全・リース契約の曖昧さなどがトラブルにつながっています。短期的な賃貸収益モデルはほぼ成立しづらい状況です。

法制度・権利関係の脆弱性

カンボジアでは不動産登記制度が整備途上であり、権利書が二重に発行されるトラブルや、販売代理店が誇張広告で販売する事例が後を絶ちません。
また、デベロッパーの破綻リスクが高く、建設途中で資金ショート → 工事停止 → 投資家泣き寝入りという構図が多発しています。日本国内の販売代理店を通じて販売されることもあり、日本人投資家が巻き込まれた事例も報告されています。

将来展望と投資家への教訓

カンボジア経済自体は長期的に人口増加やインフラ開発の追い風を受け、成長ポテンシャルを持っています。日系企業の進出や、ASEANの地域経済連携により中長期的な実需拡大はあり得ます。
しかし現状では、短期的な値上がり益狙いの不動産投資はリスクが極めて高いのが実情です。購入する際には以下のチェックが不可欠です:
・デベロッパーの財務状況・実績の確認
・登記・権利書の真正性確認
・実際の賃貸需要の調査(大使館員・駐在員へのヒアリングなど)
・日本国内販売代理店の信頼性と販売実態の精査

デベロッパーや販売代理店の選び方が特に重要ですね。

その通りです。カンボジアでの不動産投資を検討している方はこちらからお問い合わせください。

まとめ

  • カンボジア不動産は「フロンティア市場」として注目を浴びたものの、実態は供給過剰・中国依存・法制度不備というリスクに覆われている
  • 短期的な投機は破綻リスクが高く、実需が乏しいため賃貸収益も見込みにくいのが現状
  • 長期的には経済成長やインフラ整備による需要拡大も期待できる
  • 投資家にとって重要なのは「夢物語ではなく、現地の需要と制度に即した慎重な判断」を行うこと

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

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