アメリカの軍需産業は「軍産複合体(Military-Industrial Complex)」と呼ばれ、政府・議会・企業の三位一体によって構成されています。とりわけ、ロッキード・マーティンやレイセオンといった巨大企業は国防総省(DoD)から数百億ドル規模の契約を受注しており、政治的な影響力も極めて強大です。トランプ政権下では「国防支出の大幅拡大」や「対中・対イラン強硬路線」などが追い風となり、防衛関連企業の業績と株価は好調を維持しました。
- 主な軍需企業とその役割
- トランプ政権との関係と軍需産業の優遇政策
- 米国政府との制度的な連携と構造
- 軍需企業の株式市場パフォーマンスと利益構造
- 今後の展望と懸念
主な軍需企業とその役割


トランプ政権との関係と軍需産業の優遇政策


米国政府との制度的な連携と構造

国防契約の構造
多年契約(multi-year contracts)が多く、政権交代の影響を受けにくいCost-plus方式(実費+利益マージン)で利益確保がしやすい構造
ロビー活動
ロッキード・マーティンは年間1,200万ドル超を議会や政府にロビー活動・退役軍人・元高官が企業顧問として出入りする「回転ドア(revolving door)」構造
議会との関係
軍需企業の工場・雇用を地元に持つ議員が多数、超党派で支援される
軍需企業の株式市場パフォーマンスと利益構造

トランプ政権期(2017〜2020)の軍需株パフォーマンス:ロッキード・マーティン:株価は約70%上昇(2017初〜2020初)
レイセオン:防衛部門分離後も堅調推移
利益源:国防総省からの契約が70〜90%を占め、景気や一般消費に影響されにくい技術革新(サイバー・宇宙防衛・無人機)による新規事業領域も拡大
今後の展望と懸念


まとめ
- 米国の軍需産業は、国家予算に直結し、経済・外交・雇用・技術開発に多大な影響を与える中核産業
- トランプ政権ではこの産業が大いに優遇され、特に武器輸出と国内製造の促進を通じて企業の利益が増加した
- その構造は制度的に堅牢で、政権交代にも耐性がある
- 一方、倫理的な問題やESG投資とのギャップ、AI・宇宙開発との競合など、新たな課題も浮上している
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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