カナダのランドバンキング投資は、開発予定地を複数投資家が共同で購入し、将来的な都市開発やインフラ整備により地価が上昇することを狙う仕組みです。その代表的存在がWalton International Group(以下Walton)でした。Waltonは世界各国の富裕層や日本の投資家にも積極的に販売を行い、特に「数年で倍増」「大手デベロッパーに売却予定」などと強調して資金を集めました。しかし、現実には成功事例の報告はほとんどなく、むしろ長期の塩漬け、損失、資金回収不能といった苦い結果ばかりが目立ちます。ここでは、Waltonの投資手法と問題点、さらに成功例が見られない理由を多角的に整理します。
- Waltonの投資モデル ― 「土地を寝かせて高値売却」
- 投資家の現実 ― 出口不在と長期塩漬け
- 成功事例が聞こえてこない理由
- 規制当局・訴訟の動き
- 投資家が学ぶべき教訓
Waltonの投資モデル ― 「土地を寝かせて高値売却」

Waltonは未開発の郊外土地を取得し、将来的に都市が拡大する際にデベロッパーに高値で売却するというモデルを展開しました。
• 投資家は小口で組合に出資し、その土地の持分権を保有する形式。
• 広告では「都市計画に組み込まれる可能性が高い」「数年後に大手建設会社が買収予定」といった将来のストーリーを強調。
• 運用期間は当初5~10年と説明されるものの、実際には15年以上出口が見えない案件が多数。
つまり、「土地価格の値上がりを前提とした投機」であり、賃料収入などのインカムゲインは一切なく、出口戦略が成立しなければ資金が凍結される仕組みでした。
投資家の現実 ― 出口不在と長期塩漬け

実際に投資した日本人・アジア人投資家からは以下のような不満が多く聞かれます。
• 売却話が進展しない:都市計画やゾーニングの承認に時間がかかり、当初の説明よりも遥かに長期化。
• 資金の流動性がない:持分を第三者に売却する市場がなく、途中換金はほぼ不可能。
• 管理費や報酬が先取り:Walton側は投資初期で販売手数料や管理費を得ており、投資家が損失を被っても事業者は利益を確保。
• 配当もゼロ:土地のままなので賃料収入はなく、投資家には一切キャッシュフローが入らない。
こうした仕組みにより、「紙の上では土地を持っているが、実益は何もない」という状態が続きました。
成功事例が聞こえてこない理由

Waltonをはじめとするランドバンキングで「成功例がない」とされる理由は以下の通りです。
- 情報の非対称性
実際に土地が高値で売れた事例があったとしても、販売業者が公表するインセンティブは薄く、投資家同士で情報が共有されにくい。 - 出口の極端な偏り
仮に成功しても一部の区画のみで、大多数は未開発のまま残る。 - 為替と税制の影響
カナダドルの変動や売却時の課税により、実質的な利益が削がれるケースが多い。 - 本質的なハイリスク商品
都市の成長予測やゾーニング変更は政治的・社会的に不確実性が高く、事業者の思惑通りに進まないことが常態化していた。
規制当局・訴訟の動き

カナダ、シンガポール、香港など複数の国でWaltonは規制当局の調査や投資家との係争に直面しました。
• シンガポール金融管理局(MAS):販売方法に関する調査を行ったことがある。
• 日本国内:金融商品取引法上の適格性が疑問視され、販売代理店が行政指導を受けた例もある。
• 米国・カナダの投資家:説明と実態が異なるとして訴訟に発展。
こうした事例は「仕組みそのものが投資ではなく、販売業者の手数料ビジネスである」との批判を裏付けています。
投資家が学ぶべき教訓

Waltonのケースは、ランドバンキングに共通する以下の教訓を示しています。
• 流動性の確認:換金手段がなく、出口が完全に事業者依存である投資は極めて危険。
• 販売業者の利益構造:手数料先取り型であれば、投資家のリターンより販売数が重視される。
• 実績の検証:「成功例がない」という事実は最大のリスクシグナル。
• 地元事情の理解:都市計画やインフラ開発は政治・行政リスクが高く、海外投資家が直接把握するのは困難。
• 多様化投資の必要性:不透明な案件に集中投資するのではなく、リスクヘッジが不可欠。
まとめ
- Waltonをはじめとするカナダのランドバンキング投資は、華やかなパンフレットやセミナーで「近未来の大都市拡張」を描き、短期の高リターンを謳いました。
- しかし、実際には出口が存在せず、資金が長期にわたり塩漬けとなる事例が大多数です。
- 成功例が表に出てこないのは偶然ではなく、構造的に「投資家が勝ちにくい仕組み」だからです。
- 投資の世界で「うまい話に裏がある」という典型例であり、今後同様の商品に出会った際には、Waltonの教訓を強く意識すべきでしょう。
著者プロフィール

-
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
この投稿へのトラックバック: https://media.k2-assurance.com/archives/34237/trackback
























