Investors Trust(IT)の海外積立商品は、香港やシンガポール経由で日本居住者にも販売されてきたが、特に問題なのは「若い保険営業マンによる副業販売」によって契約した投資家が被害を受けている点だ。投資家は「親しみやすい営業マンだから安心」「副業で勧めてくれるのは儲かる証拠」といった心理から契約に踏み切るが、数年後には高額のサレンダーチャージや低パフォーマンス、税務リスクに直面する。以下では、代表的な5つの事例を整理し、実際の被害構造を明らかにする。
- 教育資金が拘束された30代夫婦のケース
- 老後資金のつもりが元本割れ ― 50代会社員の失望
- LINEグループで広がった副業仲間からの勧誘
- 税務トラブルに直面した40代自営業者
- 解約できず「塩漬け」となった帰国者の苦悩
教育資金が拘束された30代夫婦のケース

東京在住の30代夫婦は、知人の若い保険営業マンに「子どもの大学資金を効率的に準備できる」と勧められ、ITの15年積立プランに加入。月額5万円を支払い始めたが、3年後に住宅ローン負担が増し積立を停止しようとしたところ、解約控除が大きく、払込総額200万円に対し解約返戻金はわずか70万円程度だった。販売者は「長く続ければ必ずプラスになる」と言っていたが、実際は教育資金に回すどころか大きな損失を抱える結果となった。副業営業マンは契約後に連絡が途絶え、夫婦は孤立無援で解約を迫られた。
老後資金のつもりが元本割れ ― 50代会社員の失望

地方在住の50代男性は、同僚の紹介で知り合った若手IFA見習いから「老後資産形成に最適」として契約。20年プランで月10万円を拠出したが、7年経過した時点でも評価額は元本を大きく下回っていた。理由は初期手数料と高コストのファンド構造であり、運用実績が多少プラスでも手数料に吸収されていた。本人は退職を控え「老後資金が思うように増えない」と焦りを感じたが、紹介者の若手営業マンはすでに別会社に転職しており連絡がつかなかった。「副業販売者が途中で姿を消す」という典型的な問題が顕在化した事例である。
LINEグループで広がった副業仲間からの勧誘

20代女性はSNSを通じて知り合った「副業仲間」のLINEグループで「ITの積立は今やっておくと将来安泰」と勧められた。友人感覚での勧誘に安心し、月3万円の契約を結んだが、数年後にファンド評価額がほとんど増えていないことに気づいた。説明された「ボーナス」も条件が厳しく実際にはほぼ無意味であった。女性が不安を相談するとグループの仲間は「続けないと損する」「自分はもっとやってる」と心理的圧力をかけるだけで、冷静なアドバイスは得られなかった。副業コミュニティが半ばマルチ的に拡散している典型的な例といえる。
税務トラブルに直面した40代自営業者

40代の自営業者は「節税になる」と説明されてIT商品に加入した。だが実際には日本の税法において一時所得課税が適用され、外貨建てでの為替差益も課税対象となった。確定申告時に顧問税理士から「想定以上の課税が生じる」と指摘され、契約を後悔することになった。販売した副業営業マンは「税金のことは自分も詳しくないが大丈夫」と曖昧な説明をしていたに過ぎず、結果として投資家本人が税務リスクを全て背負う形になった。副業販売の浅い知識が投資家に直接的な不利益をもたらした典型例である。
解約できず「塩漬け」となった帰国者の苦悩

海外駐在経験のある日本人男性は、香港IFA経由で契約したIT積立を帰国後も継続していた。しかし数年後に生活状況が変わり解約を希望したところ、サレンダーチャージで大幅な損失が出るため動けなくなった。相談相手だった若手IFAはすでに業界から退き、現地IFA事務所に問い合わせてもサポートは限定的だった。結果として「払うに払えず、解約もできない」状態で放置され、資金が塩漬けになっている。制度外商品を副業販売で契約したリスクがそのまま顕在化したケースである。
Investors Trustの商品が副業営業マンによって販売された事例を見ていくと、共通して浮かぶのは次の5点である。
1. 教育資金や老後資金が意図せず元本割れする
2. 販売者が途中で転職・退職し、顧客が孤立する
3. 副業仲間ネットワークを介した心理的圧力販売
4. 税務上の誤解や不利益をそのまま顧客に押し付ける
5. 高額解約控除により「塩漬け資産化」する
私も10年前くらいに勧められて、積立を継続はしていますが、紹介者と連絡が取れなくなって困っています。
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まとめ
- いずれも「副業で短期収入を得たい販売者」 と 「ブランドやコミュニティを信じてしまう顧客心理」 が結びつくことで生じている。
- 結果として、顧客は長期にわたり資産形成の失敗とトラブルに苦しむ。
- 今後も同様の副業販売はSNSやIFA経由で続くと予想される。
- 投資家は「誰から勧められたか」ではなく「商品設計そのもの」を見極める冷静さを持たなければならない。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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