総論:同じ「Hansard」でも中身は別物である
かつてオフショア投資の世界で高い評価を得ていたHansard Internationalは、富裕層・国際投資家向けの「本格派ラップ型保険会社」として知られてきた。
マン島・ガーンジーを拠点に、IFAネットワークを通じて世界中の富裕層資産を預かり、柔軟な投資設計と高度な資産防衛機能を提供してきた存在である。
しかし近年、日本市場向けに金融庁登録を行い、「日本版Hansard」とも言える商品展開を始めたことで、その性質は大きく変化した。
表面上は「同じHansard」だが、実態は設計思想・機能・価値のすべてが別物に近い。
本稿では、オフショア版と日本登録版の違いを整理しながら、「なぜ日本版は本来の魅力を失ったのか」「それでも選ぶ意味はあるのか」を実務視点で掘り下げていく。
- Hansardの本質は「オフショア専用設計」にあった
- 日本登録によって生まれた「制度的変質」
- 投資自由度の決定的な差
- 税務・資産防衛機能の消失
- コスト構造の歪みと割高感
Hansardの本質は「オフショア専用設計」にあった

本来のHansardは、典型的なオフショア型投資保険会社である。
その最大の特徴は、以下の三点に集約される。
第一に、規制の柔軟性である。
マン島などのオフショア金融センターでは、投資家保護を前提としつつも、商品設計の自由度が高い。そのため、Hansardは顧客の属性や目的に応じて、極めて柔軟なポートフォリオ設計を行えた。
第二に、国際富裕層向け設計である。
対象顧客は、日本の一般投資家ではなく、複数国に資産を持つグローバル富裕層であった。税務・相続・資産移転を含めた「総合設計」が前提である。
第三に、「器」としての機能性である。
Hansardは自ら運用するのではなく、世界中のファンド・私募案件・ストラクチャード商品を収納できる“箱”として機能していた。
つまり本来のHansardは、「商品」ではなく「インフラ」に近い存在だったのである。
日本登録によって生まれた「制度的変質」

日本市場に参入するためには、金融庁の厳格な規制をクリアしなければならない。
この規制対応の過程で、Hansardの商品は大きく変質した。
まず、投資対象の制限である。
日本登録商品では、私募ファンドや独自案件の組み込みが事実上不可能となり、公募投信・UCITSファンド中心の構成に限定される。
次に、説明義務・書類規制の肥大化である。
日本の金融規制では、商品設計そのものよりも「説明可能性」が重視される。その結果、複雑な設計ほど排除され、単純化が進む。
さらに、監督体制の影響である。
金融庁の監督下に入ることで、リスクを取らない方向への圧力が常にかかる。
結果として、日本版Hansardは「オフショア型ラップ」から「投信ラップ型保険」へと姿を変えた。
自由度を犠牲にして規制適合を優先したのである。
投資自由度の決定的な差

両者の違いが最も顕著に現れるのが、投資対象の自由度である。
オフショア版では、以下のような資産が普通に組み込まれてきた。
・ヘッジファンド
・プライベートエクイティ
・未公開債権
・私募クレジット
・独自ストラクチャード商品
顧客の目的に応じて、ほぼ無制限に設計できるのが強みだった。
一方、日本版では、
・公募投信中心
・私募ほぼ不可
・独自案件不可
という制限がかかる。
これは事実上、「海外ブランド付き投信ラップ」に過ぎない。
投資自由度という観点では、本来のHansardの価値は大きく損なわれている。
税務・資産防衛機能の消失

オフショア保険の本質的価値は、単なる運用商品ではない。
最大の強みは、以下にあった。
・課税繰延
・相続設計
・受益者指定
・国際分散
・資産隔離機能
これらは、日本の制度内では実現が難しい機能である。
しかし、日本登録商品になることで、これらの多くは事実上消滅する。
日本居住者向け商品は、日本税制の完全適用対象となるため、オフショア特有の優位性がほぼ失われるからである。
結果として、日本版Hansardは「税務的に特別な意味を持たない金融商品」になってしまった。
これは構造的な問題であり、商品設計で解決できるものではない。
コスト構造の歪みと割高感

もう一つ見逃せないのがコスト構造である。
オフショア版は、確かに安い商品ではなかった。しかし、そのコストには合理性があった。
・カスタム管理
・個別対応
・国際管理コスト
・高度な法務体制
これらを含めた「総合サービス料」だったのである。
一方、日本版では、
・登録維持費
・監査コスト
・書類対応コスト
・代理店管理費
などが上乗せされる。
しかし、中身は単純化されている。
つまり、
「中身は普通、価格は高い」
という最も不利な状態に陥りやすい。
結果として、NISAや投信直買いと比較して、明確な優位性を示しにくくなっている。
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まとめ:Hansardは「どこで使うか」で価値が決まる
結論として、Hansardの評価は明確である。
オフショア版は、今なお戦略的価値を持つ。
・海外居住者
・国際富裕層
・私募投資家
・相続設計重視層
にとっては、依然として有効なツールである。
一方、日本登録版は、制度的制約によって本来の強みを失っている。
・自由度が低い
・税務優位性がない
・コストが高い
・差別化が弱い
という構造的問題を抱えている。
同じ「Hansard」という名前であっても、
オフショア版は「戦略商品」、
日本版は「営業商品」
と言って差し支えない。
重要なのは、ブランドではなく「構造」である。
商品名に惑わされず、
・どの規制下で
・どの自由度で
・どの税務環境で
・どのコスト構造で
運用されるのかを見極めなければならない。
Hansardは、日本で使うと平凡になるが、オフショアで使えば今なお強力である。
その違いを理解せずに選ぶことこそが、最大のリスクなのである。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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