ここ数年、「AI」という言葉は急速に一般社会へ浸透した。特にChatGPTの登場以降、AIは専門家のツールから、誰もが触れる日常のサービスへと変化している。SNSではAIに名前を付けて呼ぶ文化まで生まれ、「チャッピー」といった愛称で呼ばれることも珍しくなくなった。
しかし、この現象は単なる流行ではない。歴史的に見ると、新しい技術が社会に普及する直前には必ず似たような段階が存在する。多くの投資家や技術者が現在のAIを「1998年のインターネット」に例える理由もここにある。つまり、AIはまだ始まったばかりの技術革命の入り口にあり、同時に大衆化によるコモディティ化の段階にも入り始めているのである。
インターネット、スマートフォン、ビットコイン。これらの技術もすべて、最初は専門家しか理解できない技術だった。しかしUI(使いやすさ)が進化し、大衆が参加し始めると、技術は一気に文化へと変わる。そしてその段階で必ず起きるのが、流行とバブル、そして淘汰だ。AIも今まさにその入口に立っている。
以下では、AIブームの現在地を、インターネットの歴史と比較しながら整理してみたい。
① AIは今「1998年のインターネット」にいる

インターネットが社会に普及した過程を振り返ると、非常に明確な段階が存在する。
1990年代前半、インターネットは研究者やエンジニアだけの世界だった。電子メールやFTP、BBSなどの仕組みを理解できる人しか使えず、一般社会とはほぼ無縁の技術だったのである。
しかし1990年代半ば、ブラウザの登場によって状況は一変する。専門知識がなくてもインターネットにアクセスできるようになり、急速に一般ユーザーが増え始めた。そして1998年前後になると、インターネットという言葉そのものが社会に広まり、「インターネット企業」が次々と誕生する。
この時期にはすでにAmazonやGoogleのような企業が登場していたが、ビジネスモデルはまだ未成熟で、多くの企業は赤字だった。にもかかわらず「インターネット企業」というだけで巨額の資金が集まり、株価が急騰する。
そして2000年、いわゆるドットコムバブルが崩壊する。多くの企業が消滅した。しかしインターネットそのものは消えなかった。むしろその後20年かけて、世界経済の中心インフラへと成長していく。
現在のAIは、この「1998年前後」の段階に非常によく似ている。技術的ブレークスルーはすでに起きており、社会実装も始まっている。しかしビジネスモデルはまだ固まっておらず、どの企業が最終的に勝者になるかは誰にも分からない。
② AI産業は四つのレイヤーで構成されている

AIブームを理解するためには、AI産業の構造を分解して見る必要がある。現在のAIエコシステムは大きく四つのレイヤーで構成されている。
第一は半導体と計算インフラである。AIを動かすには膨大な計算能力が必要であり、その中心にあるのがGPUだ。AIブームで最も利益を上げている企業の一つがNVIDIAであるのは、このためである。AI企業が増えれば増えるほど、GPUの需要は増える。つまりAIの「道路」を作っている企業が最初に儲かる構造になっている。
第二はクラウドインフラである。AIモデルを実際に動かすためには巨大なデータセンターが必要になる。この環境を提供しているのがMicrosoft、Amazon、Googleといった巨大IT企業だ。AIの計算能力の多くは、これらのクラウド企業のデータセンターで処理されている。
第三はAIモデルそのものだ。大規模言語モデルを開発している企業であり、OpenAIやAnthropic、Google DeepMindなどがここに位置する。これらの企業はAIの「頭脳」を作っている存在である。ただし将来的には、このモデル自体がコモディティ化する可能性もある。つまり、複数の企業が似たようなAIモデルを提供する時代になる可能性がある。
第四がアプリケーションである。ユーザーが実際に触れるサービスだ。文章生成、画像生成、動画生成、AIエージェントなど、多くのスタートアップがこの領域に集中している。しかしこの層は参入障壁が比較的低く、競争が非常に激しい。
③ AIバブルが起きるとすれば「アプリ層」

もしAIバブルが起きるとすれば、最も可能性が高いのはアプリケーション層だろう。
現在、AIスタートアップは世界中で爆発的に増えている。しかしその多くは、既存のAIモデルの上にUIを乗せただけのサービスに過ぎない。つまり技術的な差別化が弱い。
これは1999年前後のドットコム企業と非常によく似ている。インターネット企業というだけで資金が集まり、ECサイト、検索サイト、ポータルサイトなどが乱立した。しかしそのほとんどは消えていった。
AIでも同じ現象が起きる可能性は高い。AIスタートアップの数はこれからさらに増え、その中で大規模な淘汰が起きるだろう。
④ バブルは技術革命の「終わり」ではない

ここで重要なのは、バブルが起きること自体は技術革命の終わりではないという点だ。
むしろ歴史的に見ると、大きな技術革命はほぼ必ずバブルを伴う。鉄道、自動車、電気、インターネット、すべて同じパターンを辿っている。
新しい技術が登場すると、まず資本が過剰に流れ込む。そして競争が激化し、多くの企業が淘汰される。しかしその過程でインフラが整備され、市場が形成される。
インターネットでも、ドットコムバブルの崩壊後にAmazonやGoogleといった企業が巨大化した。バブルによって消えた企業は多かったが、インターネットそのものはむしろ強固なインフラになったのである。
AIでも同じことが起きる可能性が高い。
⑤ AIは「知識のインフラ」になる可能性

インターネットが社会にもたらした最大の変化は、情報へのアクセスを根本から変えたことだった。
AIがもたらす可能性がある変化は、それよりさらに大きい。AIは単なる情報検索ツールではなく、知識の整理、分析、判断の補助まで行うからだ。
もしAIが社会の基盤として定着すれば、人間の仕事の多くはAIと協働する形に変わる。
文章を書く データを分析する 資料を作る プログラムを書く
こうした知識労働の多くは、AIによって大きく効率化される可能性がある。
つまりAIは、インターネットが「情報のインフラ」だったのに対し、「知識と判断のインフラ」になる可能性を持っているのである。
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まとめ
SNSでAIを「チャッピー」と呼ぶ文化が生まれていることは、単なる流行のように見えるかもしれない。しかし実際には、技術が専門家の世界から一般社会へ広がり始めたサインでもある。
歴史を振り返ると、この段階はむしろ革命の本番が始まる直前であることが多い。インターネットも、スマートフォンも、同じ道を辿った。
現在のAIは、まさにその入口に立っている。
これから数年の間に、AI企業の大規模な淘汰と再編が起きる可能性は高い。しかし、その過程でAIは社会のインフラとして定着していく可能性がある。
そしてもしこの流れが続くなら、将来振り返ったとき、今の時代は「AI革命の1998年」と呼ばれることになるのかもしれない。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マン、AIが記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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