政策株(政策保有株)とは?

こんにちは、K2 College編集部です。

政策株(政策保有株)は、企業が単なる利益追求のためではなく、特定の戦略的な目的を達成するために他の企業の株式を保有することを指します。この概念は特に日本において重要であり、企業間の関係や経済の安定に大きな影響を与えてきました。以下では、政策株の定義、歴史的背景、主要な目的、メリットとデメリット、そして現在の状況と今後の展望について詳しく解説します。

持ち合い株のことですか?

主にはそうですね。政府が2015年から成長戦略の一環として企業統治の改善や資本効率の向上を企業に要請したことで、解消が進んでいます。また最近では損保会社の企業向けの保険料を各社が事前に調整していた問題で、金融庁は損保各社が保有する政策保有株の存在が適正な競争をゆがめていた一因とされて解消するよう指摘されています。

  • 政策株の定義
  • 歴史的背景
  • 政策株のメリットとデメリット
  • 政策株の現在の状況

政策株の定義

政策株とは、企業が取引先や関連企業の株式を保有し、企業間の関係を強化するための株式保有を指します。これには、以下のような具体的な目的が含まれます:

  • 取引関係の強化:取引先企業との長期的な関係を築き、取引の安定化を図るため。
  • 経営の安定:企業間の株式持ち合いによって経営権の安定化を図り、敵対的買収を防ぐため。
  • 協力関係の強化:業務提携や技術開発などで協力関係を強化するため。

取引継続するために株式を保有するのはあまりいいことではなさそうですね。

企業であれ株式投資はその会社が成長し、価値が高まることを期待して投資するものなので、元々の目的から離れてしまいます。

歴史的背景

政策株の概念は日本の戦後経済に深く根ざしています。第二次世界大戦後、日本は経済復興と成長を目指して企業間の協力を推進しました。この過程で政策株は重要な役割を果たしました。

  • 戦後の経済復興:日本の企業は相互に株式を持ち合うことで、経営の安定と協力関係の強化を図りました。
  • 高度経済成長期:1960年代から70年代にかけて、日本経済が急速に成長する中で、政策株は企業間の結束を強化し、競争力を高める手段として利用されました。
  • バブル経済期:1980年代後半のバブル経済期には、企業間の株式持ち合いがさらに進み、経営の安定化が図られました。

経営の安定化、という意味では重要な方法だったんですね。

そうですね。持ち合いが企業間での繋がりになっていたそうです。

政策株のメリットとデメリット

政策株にはいくつかのメリットとデメリットがあります:

メリット

  • 経営の安定:政策株を通じて企業間の結束が強まり、経営の安定化が図られる。
  • 長期的な取引関係:取引先企業との長期的な関係が築かれ、取引の安定性が増す。
  • 協力関係の強化:業務提携や技術開発において企業間の協力が強化される。

デメリット

  • 経営の非効率化:株式持ち合いが過剰になると、経営の柔軟性が失われ、非効率化が進む可能性がある。
  • 市場の流動性低下:政策株の保有が進むと、市場の株式流動性が低下し、株価形成に悪影響を及ぼすことがある。
  • 株主価値の希薄化:政策株の保有によって、株主価値が希薄化するリスクがある。

デメリットも多いですね。

そうですね。市場に出回っていても特殊な株主なので、株式の流動性も低くなりますし、保有する側も経済的合理性がなければ意味がありません。

政策株の現在の状況

近年、日本では政策株の見直しが進んでいます。特に、グローバル化やコーポレートガバナンスの強化に伴い、政策株の保有に対する批判が高まっています。

  • コーポレートガバナンスの強化:政府や市場からの圧力により、企業は政策株の保有を減らし、経営の透明性と効率性を向上させるよう求められています。
  • 株式持ち合いの解消:多くの企業が政策株の保有を減らし、株式持ち合いを解消する動きを見せています。
  • 外国人投資家の影響:外国人投資家の存在感が増す中で、政策株の保有が減少し、企業は株主価値の向上を重視するようになっています。

現在は批判が高まっているんですね。

企業の持つ資産は設備投資に回されるなど、企業価値の向上に使われるべき、という当たり前の方向に議論が進んでいます。

まとめ

  • 株式の持ち合いは企業間の関係や経済の安定に大きな影響を与えてきた
  • バブル経済時期には経営の安定化のためその比率が高まる
  • 損害保険4社が金融庁に提出した業務改善計画書で、保有する政策保有株のすべてを売却する方針
  • ガバナンスの観点からも解消することが進んでいる

政策株は日本の経済と企業経営において重要な役割を果たしてきましたが、近年の経済環境の変化やガバナンス強化の動きに伴い、その役割が見直されています。企業は政策株の保有を減らし、より透明性と効率性の高い経営を目指すことが求められています。これにより、日本企業はグローバルな競争力を高め、持続可能な成長を実現することが期待されます。

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

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