フリッチクエスト 200億円投資詐欺事件を検証する

こんにちは。K2 Collegeの半野です。

今回は先日ニュースで話題になっていた投資詐欺事件を検証していきます。それにしても詐欺事件は、全くなくならないですね。こういう事件が起きると、ダマされるのが悪いという声をよく聞きますが、やはり悪いのはダマす側。私たちもダマされないように知識を蓄積し、理論武装をする必要があるというところでしょうか。

  • 今回の事件の概要
  • 投資スキームを検証する
  • 現実としてありえないリターンが設定

動画解説

今回の事件の概要

今回の事件ですが、このような内容です。※ネットのニュース記事から抜粋

投資ファンドへの出資を装い現金をだまし取ったとして、警視庁生活経済課は9日、東京都新宿区の投資コンサルティング会社「FRich Quest(フリッチクエスト)」社長のXXX容疑者と同社社員の計8人を詐欺容疑で逮捕したと発表。同社が実際に運用していたのは全体の1.5%程度で、残りは遊興費などに充てていたとみて調べる。同課によると、同社は2016年4月から6年間で、全国の約3,300人から約200億円を集めていたとみられる。出資者は20~30代が6割を占めていた。同社は「毎月4%の配当」などとうたって現金を集め、出資した会員に「(インド洋の)セーシェル諸島にある合同会社が運用している」などと説明していた。

起業を目指していた東京都の無職男性(27)は当時は社会人2年目で投資に回せる余裕はなかった。社員にそう伝えると、消費者金融から借り入れるよう提案された。14社を回り、計約500万円を借金することになった。借り入れた全額を社員に預けると、なぜか約90万円を「コンサル料」と称して回収された。19年6月から毎月15万円の配当が入ったものの、すべて借金の利子などの返済に消え、利益にはならなかった。22年1月以降は配当が止まり、手元には約400万円の借金だけが残った。

20代の女性会社員は、知人から紹介されたフリッチクエストの勧めで2021年夏、11カ所の金融機関を回り、計1,100万円を借り入れた。

愛知県の20代女性は、居酒屋で知り合った男性から勧められたのがきっかけだった。配当が止まった後も6社から借り入れた600万円の返済は続いている。

まとめると以下となります。
・集めた出資金は約200億円(!)
・6-7割が20-30代
・平均出資額は約700万円
・月利4%、元本保証を謳っている
・セーシェル諸島にある合同会社が運用
・原資がない場合は、消費者金融などから借金させる

まず驚きのなのが、人数と金額の大きさです。200億円は通常の詐欺事件と金額の桁が違います。そして20〜30代の若い層が多いというのも特徴です。そして彼らの多くは借金させられての出資。借金までさせて出資をさせるとは、かなり悪質と言えるでしょう。しかも1人あたりの出資が平均約700万円というのも、年齢層を考えると大きいと言えます。そもそも借金させて出資をさせる時点でおかしいと考えないといけないところです。借金をしての投資はあり得ません。集めた総額が200億円というかなり大きい金額なので、何も分からないままダマされたというところでしょうか。

投資スキームを検証する

次に出資者に説明していた投資スキームをチェックしてみます。こちらが事件概要から出てくる投資スキームとなります。

7割を国債や保険での元本保証、残りの3割を積極運用という形で出資者には説明をしていました。しかし実際には、暗号通貨やカジノなどに資金を注ぎ込んでいました。かなりリスクが大きいですね。そもそもカジノはギャンブルなので、投資とは言えませんし。仮に説明通りの投資をしていたとしたらどうでしょうか。このような運用方法は、実際にオフショアファンドにもある形と言えるので、投資のスキームとしては正しいと言っていいでしょう。ただしオフショアファンドの場合、このようなアセットアロケーションをするのは、元本確保型の運用を実行する場合です。つまりローリスク・ローリターン運用を狙う場合にありうる配分です。月利ではなく年利4%というところでしょうか。月利4%(つまり年利48%)というのは、ハイリスクハイリターン型のヘッジファンドが狙うリターンといったところ。そのためこの配分で、このリターンは現実的ではありません。

現実としてあり得ないリターンが設定

元本保証、月利4%、この時点で、かなり怪しいということが言えることが、お分かりいただけたでしょうか。以前も話したようにリスクとリターンは連動しています。月利4%はいいとしても、その場合元本保証はあり得ないと考えるのが自然です。安全を取るのか、リスクを取るのか、高いリターンを狙うには、それなりのリスクが投資にはあることを、再度確認してください。

まとめ

  • 投資スキームからも月利4%、元本保証は現実的ではない
  • 投資のリスクとリターンは連動していることを再確認する

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著者プロフィール

半野輝明
半野輝明
大学卒業後、予備校講師などを経験し、海外渡航。
その後外資系企業に勤務し、2005年より再度海外留学を実行。
帰国後、それまでのキャリアよりも、金融や投資に関わる仕事をしたいと考え、海外就職をしました。
海外投資というと、ハードルが高いと感じてしまうかもしれませんが、決してそんなことはなく新しい投資、資産運用という形で出会うことができます。
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