こんにちは。K2 College大崎です。
2000年代初頭、日本の株式市場や経済が不安定であったことから、伝統的な投資手法に代わるものとしてヘッジファンドへの関心が高まり、Man Groupのヘッジファンドは、日本の投資家の間で大きな注目を集め、一時的にブームにもなりました。
そこで今回は、SBIアセットマネジメントが 2024年8月16日(金)に設定しました「SBI-Manリキッド・トレンド・ファンド」について解説します。
- 動画解説
- Man Groupとは
- 「SBI-Manリキッド・トレンド・ファンド」概要
- 期待できるパフォーマンス
動画解説
Man Groupとは
Man Groupは、イギリスを拠点とする世界的な資産運用会社で、特にヘッジファンドやオルタナティブ投資戦略に強みを持っています。1783年に設立され、長い歴史を誇るMan Groupは、現在でも金融市場で重要な役割を果たしており、運用資産総額は 1,782 億米ドルに上ります。
Man Groupの主要な戦略には、AHL、GLG、FRM、Numericといったブランドがあり、それぞれ異なる投資スタイルや戦略に特化しており、Man Group全体の多様性を支えています。
1. AHL (Man AHL)
- 概要
AHLは、Man Groupのクオンツ(定量分析)に基づく運用戦略の中核をなすブランドであり、システマティックなトレンドフォロー戦略で知られています。1987年に設立され、Man Groupが取得しました。 - 主な戦略:
- トレンドフォロー: 過去の価格動向を分析し、株式、債券、通貨、商品などの市場において、トレンドが形成された際にポジションを取る戦略。
- システマティック運用: すべての取引決定がアルゴリズムに基づいて行われ、人間の感情やバイアスが介入しないことで、規律ある運用が行われます。
- グローバル・マクロ: 世界中の市場を対象に、経済指標や政策などのマクロ要因を分析し、さまざまな資産クラスに投資します。
- 代表的なファンド:
- Man AHL Diversified: グローバルに分散されたポートフォリオを持ち、株式、債券、通貨、コモディティ市場に投資することで、幅広い収益源を確保します。
2. GLG (Man GLG)
- 概要
GLGは、マルチストラテジー型ヘッジファンドに特化したブランドで、1995年に設立され、2010年にMan Groupが買収しました。主に伝統的なヘッジファンド運用戦略に従事しており、アクティブ運用が特徴です。 - 主な戦略:
- ロング/ショート株式: 株式市場での価格差を利用し、上昇が見込まれる株式を「ロング(買い)」、下落が見込まれる株式を「ショート(売り)」することで、相対的なリターンを狙います。
- イベントドリブン: M&Aやリストラクチャリングなど、特定の企業イベントに基づく投資戦略。
- クレジット戦略: 社債やその他の信用リスクを伴う投資対象に注力し、リターンを追求します。
- 代表的なファンド:
- Man GLG European Long-Short: 欧州株式市場を対象に、ロング/ショート戦略を展開し、マーケットの上昇局面と下落局面の両方でリターンを狙います。
3. FRM (Man FRM)
- 概要
FRMは、マネージド・フューチャーズやファンド・オブ・ヘッジファンズに特化したブランドであり、1991年に設立されました。2012年にMan Groupにより買収され、オルタナティブ投資ソリューションを提供しています - 主な戦略:
- ファンド・オブ・ヘッジファンズ: 複数のヘッジファンドに投資することで、分散効果を高め、リスクを軽減する戦略。
- カスタマイズされたソリューション: 機関投資家向けに特化した、リスクプロファイルに応じたカスタマイズされた投資ソリューションを提供します。
- 代表的なファンド:
- Man FRM Diversified: さまざまなヘッジファンドに分散投資し、安定したリターンを追求するファンド。
4. Numeric (Man Numeric)
- 概要
Numericは、因子分析に基づくクオンツ運用と株式投資に特化したブランドで、1989年に設立されました。Man Groupは2014年にNumericを買収しました。 - 主な戦略:
- 因子ベースの株式投資: さまざまな因子(バリュー、モメンタム、クオリティなど)に基づいて、株式のパフォーマンスを予測し、ポートフォリオを構築します。
- アクティブ・クオンツ運用: 定量的モデルを用いながらも、アクティブな投資判断を行い、ベンチマークを超えるリターンを目指します。
- 代表的なファンド:
- Man Numeric Global Equity: 世界中の株式市場に分散投資し、因子分析に基づくポートフォリオを構築するファンド。
様々な戦略やそれに基づくファンドがあるのですね。
そうですね。
日本ではMan AHL Diversifiedなどがよく知られておりますが、それでも一部の投資家の間だけです。
多くの日本人が、今まで非常に限られた商品の中で投資をしてきていたということで、勿体ないですね。
「SBI-Manリキッド・トレンド・ファンド」概要
・円建てのフィーダーファンド「Man AHL Trend Core」に投資するファンド・オブ・ファンズで、実質的に先進国および新興国の多様な資産に投資する。
・100%システム運用
上昇トレンドを捕捉すると「買い持ちポジション」を構築し、下落トレンドを捕捉すると「売り持ちポジ ション」を構築することから、理論的には市場が上がっても下がっても利益の追求が可能。
・伝統資産との低い相関
「リキッド・トレンド」はマンAHLが長い実績を誇るトレンド・フォローモデルをもとに開発した新しい戦略で、日本株式、世界株式、米国株式、REIT、債券などの伝統資産との相関性の低い運用を目指す。
マンAHLが長い運用実績を誇るトレンド・フォロー戦略のヘッジファンド「AHL Diversified」は日本でも人気がありましたが、このファンドをもとに新しい商品を開発したのですね。
過去のシミュレーションによれば、「リキッド・トレンド」は伝統資産との相関が低く、
これらの伝統資産と組み合わせることで、ポートフォリオ全体の運用効率(リターン/リスク)が改善することが期待できます。
これだけ多くの伝統資産との相関が低ければ、かなりリスク分散になりますね。
そうですね。
2022年には急激な利上げがあったために、株式と債券が同時に下落するということもありましたから、分散効果を得るためにこのファンドを加えておくと良いかも知れませんね。
期待できるパフォーマンス
このファンドは2024年8月16日(金)に設定されたばかりですから、まだ実績はありませんが、バックデータを見る限り、パフォーマンスは期待できそうです。
以下は、1998年6月末~2024年3月末までのリキッド・トレンドと世界株式のパフォーマンス推移ですが、リキッド・トレンドのパフォーマンスが世界株式を安定的に上回っていることが確認できます。
また、その他の資産クラスと比較しても、リキッド・トレンドの年率リターンと年率リスクから見た運用効率は優位な位置にあります。
米国株式や日本株式とほとんど同じ年率リスクにも関わらず、リターンは「リキッド・トレンド」の方が大きいですね。
やはり上げ相場からからだけでなく、下げ相場でも収益を追求するヘッジファンドには魅力がありますね。
先進国の株式と比べて、ほとんど同じ年率リスクでリターンは「リキッド・トレンド」の方が大きいならば、「リキッド・トレンド」に100%投資した方が良いのではないでしょうか?
不確実性が増しておりますから、集中は避けた方が良いと思いますよ。
それに、過去のシミュレーションでは「リキッド・トレンド」に100%投資するよりも、世界株式を例えば40%組み入れることで、年率リスクはかなり低下します。
リターンばかり気にしてリスクを気にしない投資家は少なくないですが、安定した運用をするためにはもっとリスクに目を向けるべきだと思います。
まとめ
- リキッド・トレンド・ファンド は市場が上がっても下がっても利益の追求が可能
- 伝統資産との相関性の低い運用ができる
- 先進国株式と同じリスクにも関わらず、リターンは「リキッド・トレンド」の方が大きい
米国株、グロース株、ハイテク株だけに集中投資していないでしょうか?
投資家それぞれの状況に合わせたアドバイスをいたします。
相談を希望される方は、こちらからご連絡くださいませ。
著者プロフィール
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投資アドバイザー
愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。
その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。
自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。
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