投資家の楽観ムードに陰りが見え始める

こんにちは。K2 College大崎です。

16日の米株式市場では、主要株価指数が軒並み1%を超える下落をしましたね。

予想外に強い経済指標からFRB(米連邦準備制度理事会)は物価高を抑制するために利上げを継続するのではないかとの懸念が高まり、株価は売られました。

米金融当局者2人が0.5ポイントの利上げを検討していると発言したことも響きましたね。

  • 市場は年内利下げを断念
  • 1月の生産者物価指数は、2022年6月以来の高い上昇率
  • 投資家の楽観ムードに陰りが見え始める

市場は年内利下げを断念

つい先日までは、市場では2023年の後半に利下げ(合計0.5%引き下げられる)との予想が半数を超えておりましたしが、現在の市場予想を見てみますと、年内に利下げするとの予想は30%以下であり、ターミナルレートは5.25%-5.50%になるとの予想も出てきております。

またファクトセットによると、デリバティブ(金融派生商品)市場では、FF金利(フェデラルファンド金利)は8月に5.25%程度となり、年末時点の水準は5.1%超と想定されているようです。

わたくしは、過去のコラムでもインフレは高止まりするのではないかと考えていると述べて来ておりますが、果たしてインフレの行方はどうなりますでしょうか。

1月の生産者物価指数は、2022年6月以来の高い上昇率

米労働省が発表した1月の生産者物価指数は、予想(0.4%上昇)を上回る前月比0.7%上昇し、2022年6月以来の高い上昇率を示しました。

振れの大きい食品・エネルギー、貿易サービスを除くPPIも前月比で0.6%上昇しております。

生産者物価指数は数ヶ月後の消費者物価指数に影響してきますから、インフレの高止まりが心配ですね。

投資家の楽観ムードに陰りが見え始める

米国労働省が2月3日に発表した米雇用統計では、1月の非農業部門雇用者数は前月から51万7,000人増と市場予想の18万7,000人増を大幅に上回り、失業率は前月から0.1ポイント低下の3.4%(市場予想は3.6%)でした。

労働市場の逼迫は継続しておりますね。

また、その後に発表された1月の米消費者物価指数(CPI)では、総合CPIは前月比0.5%上昇、コアCPIは前月比0.4%上昇と、ともに市場予想と一致しましたが、

前年同月比では、総合CPIは6.4%上昇(市場予想6.2%上昇)、コアCPI は5.6%上昇(予想5.5%上昇)と、ともに市場予想を上回りました。

インフレ率は下がってきておりますが、前年比の伸びの減速スピードは落ちてきており、利上げペースが加速する可能性が高まったのではないでしょうか。

CPIの最大の構成要素のひとつは住宅費(シェルター)であり、34%を占めています。
1月のデータによると前月比で0.7%上昇、前年同月比で7.9%上昇しており、上昇カーブも強くなっている感じがします。

ただ、住宅費(シェルター)は遅行指数ですから、このデータを鵜呑みにしてはいけません。

とは言え、物価上昇圧力は続いており、FRBが追加利上げと金利を高く維持する必要があることを強調していることは忘れてはいけません。

まとめ

  • 市場は年内利下げを断念
  • 投資家の楽観ムードに陰りが見え始める
  • FRBが追加利上げと金利を高く維持する必要があることを強調している

市場では、FRBは年内に利下げに転じるとの楽観ムードで株価は上昇しておりましたが、2月に入ってからは横ばいですね。

最新の経済指標では物価上昇圧力が続いていることが確認され、利上げペースが加速する可能性が高まりました。株価にとっては向かい風です。

株価の上げ下げに一喜一憂しても仕方ないので、積立投資をしている方は淡々と積立を続けてください。

また、【積立投資の出口戦略】これまで積立した分は下がる前に売って、リスクが低い資産へ移管するで述べたように、安定した運用を希望される方や、定年退職などで勤労収入が減る、もしくは無くなる方で纏まった資金のある方は、ヘッジファンドオルタナティブのようなリスクの低い資産クラスでの運用をお考えください。

投資戦略の相談は、こちらから「投資戦略相談」とご連絡ください。

著者プロフィール

大崎真嗣
大崎真嗣
投資アドバイザー

愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。

その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。

自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。

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