「サラリーマン増税」は進む

こんにちは。K2 College大崎です。

6月30日、政府税制調査会が4年ぶりとなる中期答申をまとめ、その中にはサラリーマンの収入から差し引かれる「給与所得控除」が手厚すぎるという主旨の指摘が含まれていました。

  • 動画解説
  • 「給与所得控除」は引き下げられている。「サラリーマン増税」は進む
  • 給与所得控除とは
  • 物価上昇で損する人、得する人

動画解説

「給与所得控除」は引き下げられている。「サラリーマン増税」は進む

鈴木財務相は7日の記者会見で、「いわゆるサラリーマンの方々への増税を前提としたものではない」との見解を示しておりましたが、気にする必要はありますでしょうか。

気にしてください。

そのうち、サラリーマンへの増税を前提としたものではなかったが、中立的な税制の観点から「給与所得控除」を是正するに至ったということになりますよ。

実際に、同じ理屈で「給与所得控除」は段階的に引き下げられてきております。

2012年(平成24年)の税制改正では給与所得控除に245万円という上限が設けられ、その後、段階的に引き下げられて、現在の給与所得控除の上限は195万円まで下がって来ています。

確かに上の図「給与所得控除額の見直しイメージ」を見ると段階的に引き下げられているのはわかりますが、あまり実感がありません。

それには2つの理由があるのではないでしょうか。

ひとつは、現在の給与所得控除の上限は195万円まで下がっているとは言え、その対象となるのは給与等の収入金額が850万円以上の方です。

もうひとつは、サラリーマンは毎月の給与からの源泉徴収となっているために、給与明細をきちんと見ていない人は気づかないと思います。

実際、前回の税制改正で実質的に増税になった周りの人達に聞いても、気付いている方はほとんどいませんでした。

だからサラリーマンからは取りやすいのです。

ちなみに、同じ会社に長く勤め続けるほどより手厚い税優遇が受けられる「退職所得課税」も見直しをしようとしておりますので、退職金を当てにしている方は備えておいてくださいね。

給与所得控除とは

個人事業主などは、売上から必要経費を差し引いて事業所得を算出して所得税が決まりますが、サラリーマンは収入から必要経費を引くことができないために、その代わりとして必要経費に相当するとされる所定額の「給与所得控除」が差し引かれます。

給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて算出しますが、この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて、次のようになります。

なお、給与所得控除は、現状、給与等の収入金額のうち3割程度が「給与所得控除」として差し引かれ、そのぶん税金が安くなっているのですが、これが「手厚すぎる」と指摘されているわけです。

給与所得者の所得税額は、給与収入から給与所得控除を差し引き(給与所得)、さらに所得控除を差し引いた額(=課税所得)に税率をかけて算出します。

例えば、給与収入が500万円の方の場合、「給与所得控除額」、ならびに「給与所得」は以下のとおりです。

「給与所得控除額」 500万円×20%+440,000円=144万円
「給与所得額」 500万円−144万円=356万円

なお、給与収入から給与所得控除が差し引かれた金額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」に記載されているかと思いますので、この機会にご自身の「給与所得控除額」を計算の上、確認してみてください。

物価上昇で損する人、得する人

厚生労働省が7日発表した5月の毎月勤労統計調査によると、実質賃金は1.2%減少し、14カ月連続でマイナスとのことです。 

基本給にあたる所定内給与は28年3カ月ぶりの伸び幅となったようですが、物価上昇に給与の伸びが追いついておらず、実質賃金の減少が続いております。

毎日新聞の記事では、生活に困窮する人たちへの食料支援活動「フードバンク」を利用する人の中に正社員の割合が増えており、2022年秋以降では2割程度になっているようです。

物価上昇による実質賃金低下で、困窮する人が出ているのでしょうね。

また、総務省が7日発表した5月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は28万6443円と、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比4.0%減少した。マイナスは3カ月連続。

下落幅は4月の4.4%減から縮小しておりますが、消費支出を構成する10項目のうち7項目で前年同月を下回っているようです。

みなさん、物価上昇による実質賃金の低下で、消費支出を抑えているのでしょう。

4年前から自由に使えるお金は「物価上昇」によって、さらに減少していく (公開日2019/08/30)どのブログ記事で、物価が上昇すると、我々のお金は持っているだけだと目減りしていくから、運用して備えていきましょうとお伝えしてきましたが、きちんと実行してきた方は何よりですね。

しかも円安進行や、ドル資産で運用することを述べてきておりますので、かなり資産が増えているのではないでしょうか。

備えていなかった方は、この機会に「因果応報」を再確認し、今後に備えてくださいね。

まとめ

  • 「サラリーマン増税」は進む
  • 「因果応報」を再確認し、今後に備えよ

我々は消費支出を減らすのではなく、お金を増やして生活の質を高め、経済を回して行きましょう!

投資家それぞれに適した方法をアドバイスしますので、ご希望の方は、こちらからお声掛けください。

著者プロフィール

大崎真嗣
大崎真嗣
投資アドバイザー

愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。

その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。

自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。

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