Permanent Portfolio(永久ポートフォリオ)〜どのような市場環境でも安定したリターンを目指す

こんにちは。K2 College大崎です。

今回は、インフレ、デフレ、不況など、どのような市場環境でも安定したリターンを目指す長期投資戦略ポートフォリオ、Portfolio Portfolio(パーマネントポートフォリオ)を紹介します。

日本語に訳すと「永久ポートフォリオ」ですね。
どのようなポートフォリオなのですか?

以下で詳しく解説しますね。

  • 動画解説
  • Permanent Portfolio(永久ポートフォリオ)とは
  • Permanent Portfolioのパフォーマンス
  • 全世界株式(オールカントリー)や米国株(S&P500)だけに投資していれば良いのか?

動画解説

Permanent Portfolio(永久ポートフォリオ)とは

このポートフォリオの特徴は、異なる資産クラスに均等に分散投資することで、どのような市場環境でも安定したリターンを確保しようとする点です。

アメリカの経済評論家ハリー・ブラウンによって提唱されました。

「残りの人生に必要なお金のために、シンプルでバランスのとれた、分散されたポートフォリオを設定してください。私はこれを「永久ポートフォリオ」と呼んでいます。なぜなら、一度設定してしまえば、将来の見通しが変わっても投資の組み合わせを変更する必要がないからです。ポートフォリオは、ポートフォリオ内の個々の要素に壊滅的な影響を与えるイベントを含め、あらゆるイベントで資産が生き残ることを保証するものでなければなりません...このような安全なポートフォリオを持つことは、難しくも複雑でもありません。驚くほどシンプルなポートフォリオで、大幅な分散化を実現できます。」

Permanent Portfolio(永久ポートフォリオ)は、次の 4 つの基本カテゴリで構成される経済サイクルに基づいており、

Prosperity(繁栄)
Inflation(インフレーション)
Deflation(デフレレーション)
Recession(不況)

それぞれ4つの資産クラスに25%ずつ投資することでポートフォリオを構成します。

株式(25%)
株式は、経済が好調な時期に最も良いパフォーマンスを発揮することが期待されます。経済成長によって企業の利益が増加し、株価が上昇するからです。
またインフレ低下期においても利益を得ることが見込めます。

金(25%)
金は、インフレーションや通貨価値の下落、経済危機の時に保護手段となります。これらの局面では、金の価格が上昇する傾向にあります。

長期国債(25%)
長期国債は、デフレや経済の減速、金利の低下時に効果を発揮します。金利が下がると国債の価格が上昇し、資産価値が増加します。

現金(短期国債)(25%)
不況時には、特定の資産クラスが好調になることはありません。
現金や短期国債は、ポートフォリオの安定性を確保し、リスクを抑える役割を果たします。金融市場の逼迫や不況期間を回避するために保有することで安心感をもたらします

4つの資産クラスの解説を読んでいると、確かにこのポートフォリオであれば、市場環境が変化しても安定したリターンを目指すことができそうですね。

そうですが、時代も変わってきており、環境も混在してきておりますね。
そのような難しい相場にも対応できますね。

現在で言えば、まさに金利の低下時ですから「長期国債」を保有していると良いでしょうし、通貨価値も下落し続けておりますから「金」も保有しておいた方が良いでしょう。

雇用市場も悪化しつつあり、信用収縮が発生し、景気後退に繋っています。
「現金(短期国債)」のひとつであるMMFへの資金回避が加速しているのも、投資家は不安を感じているからでしょう。

Permanent Portfolioのパフォーマンス

パフォーマンスはPermanent Portfolioをどの金融商品で構成するかによっても変わってきますが、Lazy Portfoliosで以下ETFをそれぞれ25%ずつ組み入れたところ、

過去30年間(1994年9月から2024年8月)の累積リターンは621.75%で、年平均リターンは6.81%年平均リスク(標準偏差)は6.63%になりました。

Permanent Portfolioは一つの資産クラスが下落しても、他の資産クラスが補うため、リスクが分散されます。

このような特徴を持ちながら、30 年間にわたって高いリターンを実現しているのも素敵なのですが、過去30年間における最大ドローダウンも-15.92%と魅力的です。

1994年9月から2024年8月の30年間は、ITバブル崩壊やリーマンショック、コロナショックなどの危機が生じているのですが、それにも関わらず、最大ドローダウンが-15.92%で収まっているとは凄いですよね。

また、年平均リスク(標準偏差)が6.63%というのも魅力的です。

VTIの年平均リターンは10.53%ですから、VTIだけに投資した方が良くないでしょうか?

VTIはITバブル崩壊やリーマンショックでそれぞれ🔻43.94%、🔻 50.84%と大きなドローダウンがありましたし、それぞれ下落し続けた期間が67ヶ月間、53ヶ月間もあります。

そういうことも理解した上でVTIだけに投資するのも一つの選択肢ですね。

全世界株式(オールカントリー)や米国株(S&P500)だけに投資していれば良いのか?

最近は、全世界株式(オールカントリー)や米国株(S&P500)だけに投資していれば良いというインフルエンサーもいるようですね。

中には、積立投資を利用して長期にわたって運用していけばリターンは安定し、20年くらい運用していれば元本割れはしないという方もおられます。

投資期間が長くなればなるほど、投資の収益率が安定する傾向があると言われていますので、長期投資のメリットは間違いなくあります。

しかしながら、20年くらい運用していれば元本割れはしないというのは株式だけで運用している場合であり、他の資産クラスにも分散して投資すればリスク(標準偏差)が小さくなり、より投資の収益率は安定します。

以下は、上で取り上げたPermanent Portfolioのリターンですが、1994年9月から2024年8月の30年間で見れば、20年どころかわずか5年でリターンの最小値もプラスになっております。

それに、資産運用の王道と言われる「長期・積立・分散」の3つの投資手法のうち、「分散」は1つの投資先ではなく、複数の異なる資産に投資を行なうことや(資産分散)、投資タイミングを分けて投資することなどを指します(時間分散)。

そして、ただ分散をするだけでなく、値動きの異なる複数の投資対象に投資をすることによって、リスクを抑えて安定したリターンを目指すことができるわけです。

全世界株式(オールカントリー)にしろ米国株(S&P500)にしろ、銘柄分散にはなっておりますが、株式100%であり基本的に値動きも同じですので、「他の資産クラスにも分散して投資をして、リスク(標準偏差)が小さくなり、より投資の収益率は安定する」という効果は極めて少ないでしょう。

20代、30代の方であれば、20年間株式だけで運用していくのも良いですが、50代以降の方にそれほど時間はありますでしょうか?

株価が大きく下落しているタイミングで資産を切り崩すことは、資産減少を加速させることになりますので、避けた方が良いでしょう。

Permanent Portfolio(永久ポートフォリオ)で運用するメリットが大きいのは理解できました。デメリットは何が考えられますか?

リスク(標準偏差)を抑えて安定したリターンを得られる分、より積極的な投資に比べてリターンは低くなる可能性があります。

インフルエンサーの意見を鵜呑みにせず、自分に適したポートフォリオを組んで運用するようにしてください。

まとめ

  • Permanent Portfolioはどのような市場環境でも安定したリターンを目指す
  • 4つの資産クラスに25%ずつ投資する
  • 年平均リターンは6.81%、年平均リスク(標準偏差)は6.63%

投資家それぞれに適したポートフォリオのアドバイスをいたします。
相談を希望される方は、こちらからお問合せください。

著者プロフィール

大崎真嗣
大崎真嗣
投資アドバイザー

愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。

その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。

自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。

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