こんにちは。K2 College大崎です。
金価格が上昇しています。2024年に入ってからその動きは顕著で、2025年4月現在、金価格は1オンス=3,000ドルを超えております。
この上昇について、「金が買われているから」「投資家の関心が高まっているから」と見る声も多くありますが、果たして本当にそうでしょうか? 金の価値が上がったのでしょうか?
実は、金が上昇しているのではなく、通貨の価値が下がっているという視点が重要です。金は数千年にわたってほとんど変わらない価値を保ってきました。
その一方で、私たちが日々使っている通貨、例えばドル、円、ユーロなどは、国家の政策によって発行量が調整され、時には大量に供給されることもあります。その結果、通貨の価値は減少し、購買力も低下するのです。
この記事では、金価格の上昇を通貨の価値低下という観点から捉え、なぜ金を持つべきなのか、どの程度持つべきなのかについて解説します。
- 金は上がっていない。下がっているのは通貨のほう
- 金は価値を生まないが、価値を“守る”存在
- 「通貨を信用する前提」が崩れるなら、金はもっと持つべきかもしれない
金は上がっていない。下がっているのは通貨のほう

金価格の上昇が話題になることが増えていますが、金そのものの価値が高まったのでしょうか? 実は、金の価値が上がっているわけではなく、より本質的な見方として「通貨の価値が下がっている」という認識を持つことが重要です。
金は数千年にわたって、価値の保存手段として機能してきました。
変わったのは、私たちが日常的に使う通貨の方です。法定通貨、例えばドルや円、ユーロは、国家の政策によって発行され、その供給量はしばしば増加します。通貨の供給量が増えれば、その希少性は失われ、購買力も低下します。
つまり、金の価格が上がっているのではなく、金という「基準」に対して、各国の通貨が価値を失っているという方が、現実的な見方です。
2025年4月7日現在、金価格は1オンス=3,025.86ドルに達しており、急激な上昇は通貨不安や金融政策への疑念を反映しています。この上昇は、実際には通貨側の問題です。

ドルは金に対して約1/88に下落している
1971年、ニクソン大統領が金とドルの兌換停止を宣言し、世界は金本位制から完全な管理通貨制度へ移行しました。それ以来、各国は自由に通貨を発行できるようになり、紙幣の価値は年々下がり続けています。
ニクソン・ショック以前、金1オンスは35ドルで取引されていました。しかし、現在では3,025.86ドルにまで上昇しています。この差は、ドルの購買力が金に対して約1/88に減少したことを意味しており、金の価値が88倍になったわけではなく、むしろドルが価値を失ったことが原因です。

ドルだけではなく、円やユーロ、ポンドなど、ほぼすべての法定通貨において同様の現象が起きています。つまり、法定通貨に依存する限り、私たちの資産は知らず知らずのうちに「目減り」しているのです。この現象が金価格の上昇という形で表面化しているだけだという認識は、多くの人が持つべき視点です。
日常的に通貨を基準に物事を判断しているので、金が上昇しているのではなく、通貨の価値が下がっていると考えるのが難しいです。
金はそれ自体の価値は変わりません。
でも、ドルや円のような通貨は政府が発行量を増やせるので、その価値が下がることがあります。
結果として、「金の価格が上がっている」ように見えるけど、実際は「通貨の価値が下がっている」という側面があるんです。
金は価値を生まないが、価値を“守る”存在

金は利息や配当を生むことはありません。したがって、株式や債券と比べると、魅力を感じにくいかもしれません。しかし、金融危機やインフレ、通貨不安といった局面において、金は「保険」として機能します。法定通貨は中央銀行の政策次第で価値が揺らぐリスクがある資産です。
一方で、金は、誰の信用も必要とせず、物理的に存在し、世界中で価値が認められている「非負債の資産」として、長年にわたり価値を保ってきました。
特に注目すべきは、近年多くの中央銀行が金を積極的に買い増していることです。
これは、通貨の信頼が揺らぐ将来を見越しての動きと言えるでしょう。私たち個人も同様に、通貨への過度な依存を避けるため、資産の一部を金に振り分けることが重要です。
金を持つことは、単なる投資ではなく、「保全」の戦略として考えるべきです。不確実な未来に対する備えとして、金は資産全体の安定を支える「価値の錨」となります。
資産防衛として、資産全体の10~15%くらいは、現物で所有することをお勧めしていますね。
以下は2020年4月のブログ記事ですが、以降、言い続けてます。
「通貨を信用する前提」が崩れるなら、金はもっと持つべきかもしれない

従来、金の保有比率として「10%程度」が推奨されることが多いのは、「法定通貨がある程度信頼できる」という前提に基づいています。通貨が安定しており、金は「保険」としての役割を果たせば十分という考え方です。
しかし、もし「通貨が今後も価値を失っていく」という見通しに立つなら、この前提そのものが揺らぎます。
通貨が長期的に信用を失い、購買力が下がるとすれば、金の位置づけは「補完資産」から「主要資産」に変わるべきではないでしょうか。
実際、法定通貨で持つ資産が多いほど、そのリスクヘッジとして金の比率を高めることは理にかなっています。20〜30%を金で保有するという考え方も、もはや極端ではなくなっています。
もちろん、金は流動性や価格変動といった特性を持つため、全資産を置くわけにはいきませんが、法定通貨の将来に対する冷静な見極めを行うなら、金の比率を高める選択肢は自然と言えるでしょう。
通貨の購買力が下がってきているのは、感じ始めていました。
あとは、価値の土台をどこに置いて考えるかですね。
まとめ
- 通貨を基準に物事を判断しているが、その通貨が本当に安定しているのか、一歩引いて見直す必要がある
- 金は利息や配当を生まないが、どの時代でも「価値の基準点」として機能してきた
- 金を持つことは「通貨のリスク」への備えとして位置づけるべき
投資戦略は人それぞれです。
ぜひご自身の目的に合った投資戦略で、お金を得てください。
投資のご相談は、こちらからご連絡くださいませ。
著者プロフィール

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投資アドバイザー
愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。
その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。
自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。
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