カンボジアの不動産市場は、過去10年以上にわたり「新興国の成長ストーリー」として注目を集めてきた。特にプノンペンやシアヌークビルを中心に、外国人投資家が高級コンドミニアムや商業施設に資金を投じ、急速な都市化とインフラ整備を背景に市場は拡大を続けた。しかし、2020年以降のパンデミック、世界的な金利上昇、地政学的な不確実性はその勢いを鈍化させ、2025年現在、市場は明確な「調整局面」にあると言える。それでも、需要構造の変化やインフラ開発、観光回復などにより、一定の投資機会が残されている。本稿では、最新のデータを基に、カンボジア不動産の現状と投資環境、そして成果を多面的に整理する。
- マクロ経済と不動産市場の背景
- 住宅セクター ― 中価格帯が牽引
- 商業用不動産とオフィス市場の苦戦
- 土地とインフラ開発 ― 長期投資の妙味
- 投資リスクと成果の分岐点
マクロ経済と不動産市場の背景

カンボジア経済は2025年も成長を続けているが、そのスピードは鈍化している。世界銀行の予測によればGDP成長率は約4%前後にとどまり、かつての7%成長を誇った時期と比べると力強さは失われた。輸出産業は欧米の需要減速や米国の高関税に直面しており、製造業の雇用や所得に影響を与えている。一方で観光産業は回復基調にあり、2025年上半期にはすでに290万人以上の国際訪問者が入国、プノンペンやシェムリアップのホテル稼働率は改善傾向にある。
不動産投資の規模を見ると、2025年上半期だけでプノンペンや近郊州に総額58億ドルの新規投資が流入しており、建築許認可も約30億ドルに達した。数字の上では依然として旺盛な資本が流れ込んでいるが、その内訳を見ると、供給過剰気味の高級コンドミニアムよりも、中価格帯住宅やインフラ関連開発にシフトしている点が特徴的である。
住宅セクター ― 中価格帯が牽引

住宅市場は明暗が分かれている。ハイエンドコンドミニアムは供給過多により価格が下落しており、1㎡あたり2,700ドル前後と数年前に比べて調整が進んでいる。外国人投資家の一部は撤退や保有物件の値引き売却に動き、賃料水準も弱含みとなった。
しかしながら、地場の中間層や外国人駐在員をターゲットにした「ミッドレンジ」コンドミニアムやサービスアパートメントには堅調な需要がある。特に2ベッドルーム以上で生活利便性の高い物件は入居率が上昇しており、キャッシュフロー型投資を志向する投資家にとっては魅力的だ。また、低価格帯の分譲住宅や郊外タウンハウスも地場需要が厚く、金融機関による住宅ローンの普及も追い風となっている。
つまり、カンボジア住宅市場は「二極化」しており、高級志向から実需志向への移行が鮮明になっている。
商業用不動産とオフィス市場の苦戦

商業用不動産は依然として厳しい状況にある。プライムオフィスの賃料は1㎡あたり24ドル程度と横ばいまたは下落基調にあり、占有率も64%程度にとどまっている。新築オフィスビルの供給が続く一方で、企業需要は追いつかず、空室率の高さが課題だ。小売施設も購買力の伸び悩みやeコマース拡大の影響を受けてテナント確保に苦戦している。
ただし、物流施設や倉庫など「eコマース時代に適合する不動産」には需要があり、プノンペン周辺の物流拠点や工業団地には新たな開発計画が進む。また、観光回復によってホテル需要は改善しつつあり、シェムリアップでは高級ホテルの稼働率がパンデミック前の水準に近づいている。
土地とインフラ開発 ― 長期投資の妙味
![カンボジア] 新しい土地管理法、来年までに準備 | プロパティアクセス](https://propertyaccess-uploads.s3.ap-southeast-1.amazonaws.com/7ecd655608073eeff2962279bb9510ae_800_600.jpg)
カンボジアの不動産投資において土地(Land Banking)の重要性は増している。都市中心部では価格がすでに高騰しているが、郊外や新空港周辺の土地は依然として割安で、将来的な値上がり余地が大きい。プノンペン南部で建設中のテチョ国際空港はその象徴であり、完成後は周辺一帯の不動産需要を押し上げると期待される。
インフラ投資も積極的に進められており、道路網の整備や電力供給の安定化は、物流・住宅開発の基盤を強化する。投資家にとっては、完成までに時間を要するものの、インフラとリンクした土地保有は「中長期で確実に成果を生む投資戦略」として再評価されている。
投資リスクと成果の分岐点

リスク要因も見逃せない。まず、過剰供給は依然として最大の課題である。特に高級コンドミニアム市場は需要不足に直面しており、価格調整が長期化する可能性がある。また、輸出産業の停滞や為替変動、建設コストの上昇も投資収益を圧迫する要素だ。
一方で、成果を上げている投資家も存在する。ミッドレンジ住宅を賃貸に回すことで安定した利回り(年6~8%程度)を得たり、郊外の土地を数年単位で保有して大幅なキャピタルゲインを実現した例が報告されている。さらに観光回復を先取りしてホテルや短期滞在型物件に資金を投じた投資家は、需要増加の恩恵を享受している。つまり、セグメントと立地を正しく選べば、成果は依然として十分に狙える環境にある。
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まとめ ― 調整期だからこその選別が鍵
カンボジア不動産市場は、2025年現在「調整期」と言える。過剰供給の高級住宅や商業施設は苦戦しているが、中価格帯住宅、物流・工業施設、観光関連不動産、そしてインフラと結びついた土地には投資妙味が残っている。市場全体が成熟化する中で、投資家は「短期の値上がり期待」から「長期の安定収益・インフラ連動型の成長」へと戦略を切り替える必要がある。
成果を出すための鍵は、①ミッドレンジ以上の実需を重視する、②立地選定を徹底する、③キャッシュフローとキャピタルゲインの両面を見極める、④リスク分散を図る、⑤時間軸を長めに取る、の5点に集約される。
総じて言えば、カンボジア不動産は依然として高リスク・高リターンの新興市場だが、「質の良い物件」「将来性ある立地」を選ぶ投資家にとっては、中長期で確実に果実を得られる可能性が残されている。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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