■ 背景:パンデミックが生んだ“最後のフロンティア”幻想
コロナ禍の移住ブームは、アメリカの不動産市場を大きく塗り替えた。
カリフォルニアやニューヨークの高税・高コストを嫌い、多くの企業と富裕層が向かった先――それがテキサスだった。
州所得税がなく、広大な土地、急成長するテック企業群、相対的に安価な住宅価格。
「テキサスはアメリカで最後の成長フロンティア」とまで言われ、
ダラス、ヒューストン、オースティンには外資・投資家・起業家が次々と流れ込んだ。
だが2025年、その熱狂は静かに終焉を迎えつつある。
テキサスは今、“儲かる不動産”ではなく、“高コストで売れない不動産”へと姿を変えている。
そして、その象徴が――オープンハウスで買って損をする投資家たちだ。
- 「勢いで買った投資家」たちの苦い現実
- 価格上昇神話の終焉と「維持コストの罠」
- 在庫過多と金利上昇がつくる「売れない市場」
- 「オープンハウスで買ったら常に損だけど」
- 「買える」ことがリスクになる時代
「勢いで買った投資家」たちの苦い現実

パンデミック期、テキサスの住宅市場は文字通りの狂乱状態だった。
週末のオープンハウスには数十組の見学者が押し寄せ、
「いま申し込まないと他の人に取られる」と煽られ、
即日オファー・即契約が常態化していた。
当時はどんな家を買っても価格が上がるという“万能感”が市場を覆っていた。
しかし、あの時の購入者の多くが今、静かに後悔している。
金利上昇、税負担増、保険料高騰、賃貸利回り低下――
すべてが逆回転し、**「オープンハウスで買ったら常に損」**という言葉が現実になっている。
価格上昇神話の終焉と「維持コストの罠」

テキサスの住宅中間価格は現在33万9,000ドル前後。
ここ2年で上昇は止まり、地域によっては下落も見られる。
それでも固定資産税と保険料は上昇を続けており、
州平均で評価額の2%前後、保険料も年4,000ドルを超えるケースが珍しくない。
つまり、資産価値が横ばいでも持つだけでマイナスが積み上がる構造だ。
かつて「テキサスは税金が安い」と言われたが、実際には所得税がない代わりに不動産税が重い。
加えて、気候災害による保険引受制限で火災保険も高騰。
「ローンを完済すれば安泰」という時代は終わり、
今は“持っているだけで損を積み上げる州”になりつつある。
在庫過多と金利上昇がつくる「売れない市場」

全米的な金利上昇(30年住宅ローン7%台)が、テキサスの市場を急速に冷やした。
販売在庫は前年比11%増、オースティンでは供給過剰が顕著。
開発ラッシュで建ちすぎた新築住宅は、値引き合戦に突入している。
一方で中古住宅の流通も増え、“とりあえず買っておいた”投資家が出口を探して右往左往している。
だが、需要は鈍化。賃貸需要も冷え込み、賃料上昇はストップ。
「買って貸せば回る」というモデルは崩壊し、
持て余した投資物件が市場を埋め尽くしている。
テキサスは今や、“成長神話の残骸”を抱える州になってしまった。
「オープンハウスで買ったら常に損だけど」

オープンハウスは本来、販売促進イベントにすぎない。
しかし人間心理は「他人が見ている=人気物件」と錯覚し、購買意欲を刺激される。
その場で即決すれば、値引き交渉の余地もなく、
さらに販売側は「限定感」や「即完売」を演出する。
つまり、価格が最も高く設定された瞬間に最も感情的な買い手が群がる場所がオープンハウスなのだ。
テキサスでは、パンデミック期にこの手法で大量の新築が売れた。
しかし、現在はその“即決購入層”が最も大きな含み損を抱えている。
数年で価値が10〜15%下がった物件も多く、
しかも税・保険・修繕で持ち出しが続く。
要するに、「オープンハウスで買った瞬間、負けは確定していた」のである。
「買える」ことがリスクになる時代

テキサス市場の構造的問題は、**“誰でも買える”**という点にある。
低頭金ローン、投資家向けファイナンス、短期レンタル需要の過大評価――
参入障壁が低いことが魅力とされたが、
裏を返せば「素人でも勢いで買えてしまう市場」だった。
そこにパンデミックマネーが流れ込み、バブル的な層の厚みを生んだ。
そして今、その層がいっせいに出口を探している。
利回りを理解せずに“好きな場所だから”で買った者ほど苦しみ、
「売るに売れない、貸すに貸せない」状態に陥っている。
もはや市場は、投資家の自己正当化の墓場となりつつある。
富裕層も例外ではない、「見える損」を隠す人々

興味深いのは、損失を出してもそれを公言しない層の存在だ。
特に日米の富裕層投資家は、「テキサスで持っている」と言えば響きが良いと考え、
実際には稼働もなく、赤字でも**“ステータス維持”のために保有し続ける**。
しかし、その裏では税・保険・修繕・管理コストが積み上がり、
いわば「自己満足の固定費」を払い続けている。
表面的には資産、実質的には負債――。
テキサス不動産は、いまや**“資産のふりをしたコストセンター”**になっている。
資産性はなく見栄のために保有する負債ですね。
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結論:オープンハウスの熱気は「出口なき幻想」
テキサス不動産の現状を一言で表すなら、**“冷めきった熱狂”**だ。
上がると思われたものが上がらず、
持てば安定すると信じられたものが重荷になり、
勢いで買った投資家たちは今、静かに沈黙している。
「オープンハウスで買ったら常に損」とは誇張ではなく、
今の市場ではむしろ経済的な必然だ。
売り手が作る熱狂に乗った瞬間、投資は投機に変わる。
そして投機は、出口を見失った瞬間に浪費へと変質する。
テキサス不動産は、かつて“自由の象徴”とされた。
だが今、その自由を信じて買った人ほど、
税・保険・維持費という名の**“束縛”**に囚われている。
本当に自由なのは、持たずに行ける人であり、
最も不自由なのは、持つことで逃げられなくなった人だ。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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