ドル建て保険「ドルスマート(メットライフ生命)」の実態から読み解く、インフレ時代における“見かけの利回り”の罠

「積立利率3%」という言葉だけを見ると、多くの人は「銀行より高いし安心」と感じる。しかし実際に中身を分解すると、その認識がいかに危ういかがはっきりする。

メットライフ生命のドル建て終身保険「ドルスマート」は、最低保証として年3%の積立利率が設定されている商品であり、「ドルの金利を活用した資産形成」として販売されている。

しかし、実際の返戻率と実質利回りを見てみると、その本質はまったく異なる。

・15年後:返戻率99%(元本割れ)
・25年後:126%
・35年後:157%

これを実質利回りに直すと
・15年:-0.12%
・25年:1.30%
・35年:1.63%

となる。

つまり、「3%で回っている」という認識とは裏腹に、実際にはほぼ増えていない、もしくは減っているというのが現実だ。

  • 「積立利率3%」という言葉のトリック
  • 20年・30年という時間を使ってこのリターン
  • インフレ3.3%との致命的なミスマッチ
  • 「安全」の正体=機会損失
  • 本質は「商品」ではなく「思考停止」

「積立利率3%」という言葉のトリック

保険の先生

まず押さえるべきは、積立利率=利回りではないという点だ。

ドルスマートは
・保険コスト
・販売手数料
・解約控除
などを内部で差し引いた上で、最終的な返戻金が決まる構造になっている。

そのため、いくら積立利率が3%あっても、実際に手元に残る利回りは大きく削られる。

実際に
15年運用して99%(元本割れ)
という事実が、それを端的に示している。

これはつまり、最初の15年間は
ほぼ全てがコスト回収期間
であることを意味する。

「3%で運用しているから安心」というのは完全に表面的な話であり、投資として見れば極めて非効率な構造だ。

20年・30年という時間を使ってこのリターン

生命保険の一斉値上げ|2017年4月に保険料が上がる理由と対応策 | くらしのお金ニアエル

さらに深刻なのは、「時間効率」の悪さである。

35年という長期で見ても
・返戻率157%
・実質利回り1.63%

これは何を意味するか。

例えば同じ期間で
・年7% → 約10倍
・年5% → 約5倍

になる世界において、
1.57倍にしかならないということだ。

しかもこれは「名目」であり、インフレを考慮すればさらに価値は削られる。

時間を味方につけるどころか、
時間を使って機会損失を積み上げている
のがこの構造だ。

インフレ3.3%との致命的なミスマッチ

生命保険の予定利率は高ければお得? [生命保険] All About

OECD平均インフレ率は約3.3%。

この前提に立つと、さらに構造は明確になる。

・15年:実質マイナス
・25年:実質ほぼゼロ
・35年:やっと1.6%

つまりこれは
「増えている」のではなく、ほぼインフレに追いついていない
状態だ。

特に15年の元本割れは致命的で、
最も資産形成に重要な時間帯を
完全に失っていることになる。

この15年間で
・株式
・不動産
・ゴールド

などに投資していた場合との差は、取り返しがつかないレベルに広がる。

「安全」の正体=機会損失

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この商品が選ばれる理由は明確だ。

・元本が大きく減らない
・ドル建てで安心
・保険機能がある

しかし、この「安心」の正体は何か。

それは
価格変動が見えないだけの低成長資産
である。

株は下がることがある。
だから怖い。

しかし、この商品は下がらない代わりに
上がらない。

そして最も重要なのは
「下がっていないように見えるだけで、実質では下がっている」
という点だ。

インフレ環境においては、
何もしないこと=リスクであり、
低利回りで固定すること=確定的な機会損失になる。

本質は「商品」ではなく「思考停止」

思考停止」とは? そんな状態が当てはまる人の特徴や原因、解消方法を解説 | Oggi.jp

ここまでの話をまとめると、問題の本質は一つに集約される。

それは
利回りの中身を見ていないことだ。

・積立利率3% → 高そう
・ドル建て → なんとなく安心
・保険 → 安全そう

この3つの印象で判断してしまうと、
実際のリターン構造には一切目が向かない。

しかし現実は
・15年元本割れ
・35年で1.57倍
・実質利回り1%台

という極めて厳しいものだ。

そしてこれは、円建て預金と同じく
「見えない目減り」
の典型例である。

何となくで保険を契約している人がほとんどですよね。改めて計算すると恐ろしいです。

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まとめ

ドルスマートのような商品は、「3%で運用」という表面的な魅力とは裏腹に、実際のリターンは極めて低い。

15年で元本割れ、35年で1.57倍という数字は、インフレ環境下ではほぼ資産を守れていないことを意味する。

さらに、長期拘束により投資機会を奪われることで、機会損失は加速度的に拡大する。

資産運用の本質は、「増えたかどうか」ではなく
購買力が維持・拡大しているかである。

その視点に立てば、このような商品が本当に資産形成に適しているのかは明白だ。

そして何より重要なのは、
この構造に気づけるかどうか。

気づいた瞬間から、資産運用は初めて“戦略”になる。

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
K2グループは海外投資・海外保険を専門とするIFAです。
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