こんにちは。K2 College大崎です。
今回は、米国物価連動国債(TIP)について取り上げたいと思います。
- 物価連動債の仕組み
- しっかりパフォーマンスを確認しよう
- 米国物価連動国債(TIP)は実質金利に逆相関する
物価連動債の仕組み
通常の固定利付債は、発行時の元金額が償還時まで変わらず、利率も全ての利払いにおいて同一です。
そのため、償還時には最後の利子と発行時の元金額(=額面金額)が支払われます。
これに対して、物価連動債は、物価上昇(インフレ)に合わせて価格が増減する債券であり、物価上昇(インフレ)が起こったとき、通常の債券であれば価値が目減りしてしまうのに対し、物価連動債はその上昇率に応じて元金額も増加します。
物価連動債はインフレに強い債券だと言えますね。
なお、米国物価連動国債(TIP)は、米国政府が発行する物価連動国債のことを言います。
例えば、表面利率3%/年の10年物の物価連動国債に投資し、半年ごとに物価が1%ずつ上昇した場合のイメージは下図になります。
半年ごとに物価が1%上昇していきますので、それに合わせて元金額も1%上昇していき、10年後には元金額は20%増えております。
また半年ごとに受け取る利子に関しては、表面利率3%/年の物価連動国債でしたので、半年ごとに増えた元金額に対して1.5%の利子を受け取ることができるわけです。
しっかりパフォーマンスを確認しよう
このような仕組みであれば、インフレが進む現在のような環境においては、投資しない手はないですね。
現在の物価上昇率を確認してみると、伸びは鈍化してきておりますが、8月の米消費者物価指数(CPI)の総合CPIでは、前年同月比で8.26%も上昇しております。
物価連動国債は、物価上昇に合わせて元金額も増加する債券ですから、金融機関の方も勧めているようですし、物価連動国債への投資が増えているのは当然かも知れませんね。
そして、iシェアーズ 米国物価連動国債 ETF(TIP)の最新(2022/06/3現在)のファクトシートで確認してみても、パフォーマンスは上昇しているように感じます。
しかしながら、年初来でパフォーマンスを表示したものは以下のグラフになるのですが、年初来では右肩下がりに下落しており、年初来で約12%近くの下落となっているのが確認いただけるかと思います。
しっかりパフォーマンスを確認できていれば、どうして下落しているのか販売スタッフに確認することができたはずですし、投資しなかったかも知れませんよね。
米国物価連動国債(TIP)は実質金利に逆相関する
物価連動債は、物価上昇が上昇すれば価格も上昇する債券であることは間違いないのですが、米国物価連動国債(TIP)は、「実質金利」に逆相関するのです。
実質金利は、以下のように表すことができます。
実質金利=名目金利−期待インフレ率
「名目金利」は、よく目や耳にしたりする方もいるかと思いますが、米10年国債や米5年国債などの金利のことで、ちなみに現在の米10年国債の利回りは3.641%です。
「期待インフレ率」は、市場がどの程度の物価上昇を見込んでいるかを示すデータのことで、固定利付国債と物価連動国債の利回りの差で求められ、「ブレイクイーブンインフレ率(BEI)」とも言われます。
下図は米10年国債の実質金利のグラフですが、上図の物価連動国債のパフォーマンスと比較していただくと、逆相関となっているのがわかるかと思います。
下図の米10年国債の実質金利は3月9日に底を付けてから上昇に転じておりますが、上図の物価連動国債は3月9日に天井を付けてから下落に転じております。
物価連動国債は、物価上昇に合わせて元金額が増える物価連動債はインフレに強い債券なのは間違いなのですが、実質金利が低下すればキャピタル・ゲインを得られる一方で、実質金利が上昇すればキャピタル・ロスが発生するという特徴があることは理解した上で投資してください。
まとめ
- 物価連動債はインフレに強い債券
- だが、実質金利が上昇すればキャピタル・ロスが発生する
ご覧のとおり、物価連動債は物価上昇(インフレ)しても元金額が上昇するとは限りません。
金融機関の販売スタッフでもこの辺りの知識がない方も少なくないので、商品の提案を受けている方は、セカンドオピニオンとしてこちらからご相談ください。
著者プロフィール
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投資アドバイザー
愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。
その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。
自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。
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