金融庁は守ってくれない?!10年前のMRI社詐欺事件を検証(MARS投資)

こんにちは。K2 Collegeの半野です。

日本で販売されている投資金融商品は、金融庁が認可したものだけというのが基本です。オフショア投資や海外投資は各個人の責任で行うのが建前。しかしだからといって安心ではないという例があります。それが今回の話。金融庁が認可したから大丈夫ではなく、自分で判断する金融リテラシーを身につける必要があるというのが今回のテーマとなります。

金融庁が認めた投資商品なのに詐欺があったんですか?

はい。いざという時、自分のお金は自分で守らないといけないという典型的な例です。検証していきましょう。

  • 事件の概要
  • MARS投資の中身は?
  • この事件の結末と学べること

動画解説

事件の概要

この事件は米国の資産運用会社が10年前に起こしたものです。事件の概要は以下の通り。

・米国の資産運用会社MRI社が運用
・MARS(マース)投資という医療保険請求債券を運用対象とした商品
・日本だけで1300億円以上の運用資金を集める。
・自転車操業状態となり、破綻

日本では耳慣れない医療保険請求債権を運用対象としています。米国ではよく知られている投資で、MRI社は米国法人として、日本の金融庁にも第二種金融事業者として登録されていました。約8,700人の顧客から約1,365億円の資金を集め、投資していると公表していたのですが、この資金はほとんど運用されず関東財務局にも嘘の事業報告書を提出していたことが発覚。この状態を約5年間!も見抜けなかったことが被害が大きくなった一因と言われています。そして最後は自転車操業状態となる・・・今でも横行する詐欺事件の典型的なパターンです。『金融庁、何やってんだ』といわれても仕方ないですし、当時かなり批判を受けていたようです。

8700人から1300億円ですか!金融庁が監視していたにもかかわらず、だまされた人数と金額の大きさに驚きです。

米国の会社なので、もっと目を光らせておくべきでした。報告書が提出されていたから問題ないとはならないですね。

MARS投資の中身は?

多くの人が詐欺にあってしまった投資はどのようなスキームだったのか?このケースでは円建てとドル建ての2つのコースがあり投資金額によりリターンが異なる仕組みです。また元本保証を目玉としていました。セールストークとして宣伝されていたのは以下の通り。

・投資信託
・元本保証


・円建てコース: 投資金額 年利 投資期間
150万円 6.0% 2-5年
750万円 7.0% 2-5年
1,500万円 8.0% 2-5年


・ドル建てコース: 投資金額 年利 投資期間
1万ドル 6.5% 2-5年
5万ドル 7.5% 2-5年
10万ドル 8.5% 2-5年


・日本のみの販売

これを見れば確かに投資したくなりそう・・・。リターンが6%以上で元本保証ですからね。しかも金融庁のお墨付きとなればなおさらです。しかしよくよく見るとツッコミどころが多いのです。

・投資信託:そもそも元本保証の投資信託はあり得ない
・元本保証:金融庁が投資商品として認可するはずがない
・円もドルも元本保証の上、リターンがほぼ同じ:為替ヘッジはどうしているのかが不明
・販売が日本だけ:米国の会社なのになぜ?

後になって投資信託の文言は削られ、元本保証は元本確保に変更されましたが、そもそも米国の会社なのに日本だけの販売というのが何よりも不信感を抱くのに十分でした。米国では一般的な投資として知られているスキームをなぜ米国で販売しないのか?『元本保証で年間リターンが6%以上』こんな文言は米国では騙せないけど、日本なら騙しやすいと考えた可能が大きいと思います。

これだけのリターンに元本保証といわれてしまうと、投資してしまいそうです・・。

元本保証の投資商品はないと考えておきましょう。うまい話には裏があると考えて慎重にならないといけません。

この事件の結末と学べること

この会社の社員や幹部の中にも同様に投資をして資金をだまし取られた人がいたようです。つまり自転車操業に関わっていたのはこの会社の社長と一部の幹部だけ。その資金でプライベートジェット機や豪華マンション、高級車購入など贅沢な暮らしをしていたことも判明しています。この詐欺事件の結末ですが、2018年に、集めた金額1300億円以上に対し約50億円を被害者に分配されるという形で和解が成立しました。また、2019年には社長に対しラスベガスの連邦地裁から懲役50年の刑が言い渡されています。この事件から学ばなければならないのは『金融庁が認可しているから安心』ではないということ。金融リテラシーがあれば、投資をせずに済んだかもしれません。和解したとはいえ戻ってくるお金も約4%程度です。皆さんも自分で投資詐欺を見抜くリテラシーを身につけましょう

いくら訴訟を起こしたところでお金が全額戻ることはないんですね。

お金を失うことは非常にダメージが残ります。そうならないように詐欺を見抜く金融リテラシーを身につけるようにしましょう

まとめ

  • 金融庁認可を鵜呑みにしてはいけない
  • 自分のお金は自分で守ること
  • そのためにも金融リテラシーを身につけよう

お金を増やす方法は様々です。ご自身のニーズに合った方法を選択して効率的に資産を増やして行きましょう。ご相談は、こちら(無料相談)から連絡ください。

著者プロフィール

半野輝明
半野輝明
大学卒業後、予備校講師などを経験し、海外渡航。
その後外資系企業に勤務し、2005年より再度海外留学を実行。
帰国後、それまでのキャリアよりも、金融や投資に関わる仕事をしたいと考え、海外就職をしました。
海外投資というと、ハードルが高いと感じてしまうかもしれませんが、決してそんなことはなく新しい投資、資産運用という形で出会うことができます。
皆様のお金の増やし方のバリュエーションもより深くなってくるはずです。
そんな新しい出会いの場をお客様に提供し、様々な情報を発信させていただき、皆様の資産を増やしていくサポーターとして、貢献できればと考えております。

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