こんにちは、K2 College河合です。
先月破綻したクレディ・スイスを同じスイスのプライベートバンクUBSが買収しましたね。その際、無価値となったAT1債が日本国内でも三菱UFJモルガン・スタンレー証券で950億円分販売されていたということだったので、こちらを解説しようと思います。
人ごとに思っていました。。日本でもそんなに販売されていたんですね。
一種の劣後債ですが、個人向けに販売されていたのかどうかなど、見ていこうと思います。
- 動画解説
- クレディ・スイス破綻とUBS買収
- AT1債とは
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の販売状況
動画解説
クレディ・スイス破綻とUBS買収
スイスチューリッヒにある二つの最も大きな銀行の統合は、我々金融業界にとって歴史の転換点となることでしょう。買収は30億スイス・フラン(約4300億円)規模の株式交換になり、スイス政府による90億フランの保証とスイス国立銀行(中央銀行)による1000億フランの流動性支援が条件となりました。
クレディ・スイスの株式時価総額は3/17終値時点で約74億フランで、買収額はこの半分未満となる。1株当たりの買収価格は、2007年のクレディ・スイス株のピーク時をなんと99%下回ります。
たった4300億円での買収なんですね。UBSはお得な買い物をしましたね!
値段としては安いですが、それでも倒産するほどの負の遺産も抱えていますから、この先どうなるかはまだまだわかりません。またスイス政府やスイス中央銀行の保証がなければ、この買収は成り立っていなかったでしょう。
AT1債とは
AT1債とは償還期限のない永久債です。破綻時の返済優先順位が普通債よりも後で、株式よりも前となっていました。しかしクレディ・スイス破綻の際にはなんと株式よりも先に無価値とされてしまったのです。資本市場では意味不明な話でしたが、そのまま株主総会も通さず決まってしまいました。
今回のクレディ・スイス破綻では、無価値になったAT1債が約160億スイス・フラン(約2兆2800億円)。一方、UBSによる買収に伴い、クレディ・スイスの株主は計30億フラン相当のUBS株を受け取るというのだから、債券保有者は納得いかないことでしょう。
なお欧州AT1債市場は2750億ドル(約36兆円)規模ですが、その中で過去最大のデフォルトとなりました。2017年に破綻回避でスペインのサンタンデール銀行に買収された同国ポプラール・エスパニョール銀行のジュニア債保有者が被った際の損失が13億5000万ユーロ(現在の為替レートで約1900億円)でした。この時は株式も無価値となっています。
私はこの債券持っていませんが、そんなんだったら、株持っておけばよかったということになりますよね。
私にもなんでこうなるのか理解できませんが、そうでもしなければ誰も買収先がなくなるため、クレディ・スイス、UBS、スイス当局ともにこれで良しとしたということでしょうね。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の販売状況
今回、発覚した三菱UFJモルガン・スタンレー証券による同AT1債の販売額が950億円。1550の顧客口座の内、富裕層などの個人が1300、法人が250だったそうです。
950億円が無価値になるという事態もなかなか起こるものではありません。他社にどれほどの販売実績があるかわかりませんが、三菱も大変でしたね(悪いのはクレディ・スイス、UBS、スイス政府です)。
普通の債券ではないので、やはり投資をよく知ってる人しか投資していなかったんじゃないでしょうか。
表向きはそうですが、実際には条件が良かったり、クレディスイスという当時は聞こえのいい名前だったので、手広く個人投資家にも案内してしまっていたということはあるでしょうね。
まとめ
- AT1債を無価値にしたのはクレディ・スイス、UBS、スイス政府
- よく聞いたことがある銀行、企業でも安心してはいけない
- 投資で大事なのは見切りどころ
AT1債投資家は災難でしたね。こういうことがもう起こらないことを祈りますが、定期的に起こってしまうものですね。引き際というのを見極めたいものです。
著者プロフィール
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<経歴>
青山学院大学国際政治経済学部国際経営学科ファイナンスコース卒業
中国天津南開大学漢語語言学院留学
野村證券にて4年半勤務、2008年リーマン・ショックの前日に退社
プライベートバンクを経て、2009年K2 Investment設立
2014年ボストン留学、2018年Paris留学
現在、K2 Holdings会長
<趣味>
ダイビング、クルージング、自然
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