税金はきちんと払いましょう。CRS(Common Reporting Standard)って何?

こんにちは。K2 Collegeの半野です。

突然ですがCRSという言葉をご存じでしょうか。あまりなじみがないので知らない人の方が多いと思います。しかし海外に銀行口座を保有している人や、海外投資をしている人は知っておいたほうがいいと思いますので、今回解説していきます。

CRSって聞いたことないです。

海外投資やファンドの世界では非常に重要なので、知っておくと便利ですよ。

  • CRSの目的と狙い
  • CRSのメリットとデメリット
  • CRSの今後の展望

CRSの目的と狙い

CRS(Common Reporting Standard)は、共同申告規格とも呼ばれており、国際的な税務情報交換の基準です。経済協力開発機構(OECD)によって策定、2014年に公表され2022年現在で参加している国は100カ国以上の国と地域です。

※国税庁HPから

日本も2018年10月から参加しています。個人や企業の金融資産や所得に関する金融口座情報を国境を越えて、税務当局間で共有することを目的としています。国境を越えた金融資産や所得に関する情報を税務当局間で共有することで、税務逃避や脱税を防止し、税務透明性を向上させることが目指しているものです。加盟国の金融機関は、顧客の口座情報(口座残高、利益、利息など)を収集し、顧客が居住する国の税務当局に報告する義務が生じます。

簡単な例です。香港に銀行口座を開設し、保有しているとしましょう。しかし香港はCRSに加盟していますから、その口座情報は日本の税務当局にも情報共有されることになるのです。一方参加していない国ですがOECDのHPから見ることができます。参加が決まっていない国と地域は44あるようです。

※OECDサイトから

参加していると伝えられている国と一部ダブっていますが、まだまだこれからということなのでしょう。経済大国アメリカは参加していません。それと日本人におなじみのところでは、ベトナム、フィリピンカンボジアでしょうか。あとはアフリカ諸国が多いですね。(ケニヤ、カメルーン、エジプトなど)

知っている国はほとんど参加しているようですが、アメリカが参加していないのは意外でした。

それでもアメリカは、国民や外国人のマネーロンダリングや税逃れに厳しい目を光らせています。

CRSのメリットとデメリット

メリットとデメリットを挙げてみましょう。メリットはやはり税務面での透明性が高まることです。

・税務面の透明性向上: 参加国は国境を越えた金融情報の自動交換を行うので、国際的な税務透明性が向上し、脱税や租税回避の防止に役立つと考えられます。

・オフショア地域への対応: オフショア(タックス・ヘイブン)として知られる地域における税務逃避を防止するための効果的な手段として考えられます。金融情報の自動交換により、オフショアでの資産隠しや租税回避が困難になると考えられます。
( K2College お金の基礎: オフショアとはなにか

・公正な課税: 国際的な課税の公正さが向上します。所得や資産が国境を越えて移動する際にも、それに対応する税金が課されるため、富裕層や企業の税務負担の均衡が促進されることが期待されます。

・金融システムの安定性: 税務逃避や租税回避が抑制されることで、金融システムにおける不正や不安定要因が減少し、信頼性が高まることが考えられます。

これらのメリットにより、CRSは国際的な税務透明性の向上と税務回避の防止に役立つ重要な枠組みとなっています。

そしてそれに伴うデメリットがこちら。

・プライバシーの問題: CRSにより、金融機関は顧客の口座情報を報告する義務があります。そのため個人のプライバシーに対する懸念が生じる可能性があります。また情報漏洩や不正アクセスのリスクもあるため、十分なデータ保護が課題になります。

・システムコストと複雑性: CRSに参加するために、金融機関が新しいシステムを確立する必要があり、参加するためにはそのコストと手間がかかることになります。また各国それぞれ言語や法律が異なるため、情報収集、共有のプロセスが複雑化する恐れがあります。

・不公平感の発生: この枠組に全ての国が参加しているわけではありません。特に経済大国アメリカは参加していません。そのため参加国と非参加国の間に不均衡が生じる可能性があり、税金逃れのために非参加国に資産を移そうとする富裕層や法人が多く出てくることが考えられます。

税金を公平に徴収するためのシステムということは分かるのですが、抜け道を利用する人も出てきそうです。

そうですね。CRSに参加していない国に資産を移すというのはその典型的なパターンですね。

CRSの今後の展望

数年前にパナマ文書が話題になったように、税逃れに対しての世界の目は厳しくなっています。そのため今後CRSがどのような展望になるのか、以下の点が考えられます。

・参加国の拡大: CRSへの参加国は徐々に増加しており、今後もさらなる参加国の拡大が期待されます。特にオフショア地域やその金融センターが参加することで、税務透明性が向上するでしょう。

・データ共有のための技術の進化と効率化: 技術の進歩により、デジタル化、ブロックチェーン、人工知能などの技術が活用され、CRSの運用がより効果的になる可能性があります。それによるデータの収集、管理、共有が効率化されることが期待されます。

・協力関係、監査・取り締まりの強化: 参加国間の協力関係の強化や、税務当局や金融機関の間での協力が強化されることが考えられます。

CRSは今後も進化していくと予想されます。そのため税務透明性の向上と税務回避の防止の流れに拍車がかかることになります。また、国際的な税務ルールや規制の変化により、CRSの要件や運用方法も変更やアップデートをしながら利用されることになりそうです。

参加国も増えて、さらに強化されるのでしょうか。

大企業の節税に対しても厳しい目がいくようになっているので、ますます強化される流れになるでしょうね。

まとめ

  • CRS(Common Reporting Standard)は脱税防止のための国際的システム。
  • 参加していない国もあるが、今後より一層強化されると考えられる。

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著者プロフィール

半野輝明
半野輝明
大学卒業後、予備校講師などを経験し、海外渡航。
その後外資系企業に勤務し、2005年より再度海外留学を実行。
帰国後、それまでのキャリアよりも、金融や投資に関わる仕事をしたいと考え、海外就職をしました。
海外投資というと、ハードルが高いと感じてしまうかもしれませんが、決してそんなことはなく新しい投資、資産運用という形で出会うことができます。
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