こんにちは、K2 College編集部です。
日本の事業法人が証券へ投資する場合、その会計処理は投資の目的、証券の種類、適用する会計基準によって異なります。特に、売却していない含み益(未実現利益)を毎年の決算で利益として計上するか否か、また簿価会計か時価会計のどちらを適用するかは、企業の財務状況や税務負担に大きな影響を与える重要な論点です。本稿では、事業法人が証券投資を行う際の会計処理について、主要なポイントを整理して解説します。
法人の資金を運用する場合にどうなるか気になります。
基本的には税理士に丸投げだと思いますが、大事なポイントだけでも押さえておきましょう。
- 投資の分類と目的に基づく会計処理
- 簿価会計と時価会計の適用条件
- 含み益の計上基準
- 日本基準と国際基準(IFRS)の違い
- 経営判断と財務戦略への影響
投資の分類と目的に基づく会計処理
日本の企業会計基準では、事業法人が保有する証券を以下のように分類し、それぞれ異なる会計処理を適用します。
1.売買目的有価証券
- 主に短期的な売買で利益を得ることを目的とする証券。
- 時価会計を適用し、未実現利益は毎期の損益計算書に計上されます。これにより、時価変動がそのまま法人の業績に反映されます。
2.満期保有目的の債券
- 満期まで保有する意図がある債券。
- 簿価会計(償却原価法)を適用し、未実現利益は計上されません。この場合、時価変動の影響を受けにくい特徴があります。
3.その他有価証券
- 売買目的でも満期保有目的でもない証券。例えば、長期的な投資を目的とする株式や債券。
- 時価会計を適用し、未実現利益は損益計算書ではなく、純資産の「その他有価証券評価差額金」として計上されます。これにより、損益計算書への影響を回避しつつ、財務諸表の透明性を確保します。
4.子会社株式・関連会社株式
- 支配や影響力行使を目的とする投資。
- 簿価会計を適用し、未実現利益は計上しません。この場合、時価変動は財務諸表に反映されません。
債券だと毎年の利益も見えているので計画がたてやすいですね。
短期売買目的の株式の場合は含み益も利益として計上されるので注意が必要です。
簿価会計と時価会計の適用条件
証券投資において、簿価会計と時価会計のどちらを適用するかは、証券の分類とその保有目的によって決まります。
簿価会計
簿価会計は、取得時の原価を基準に評価を行う方法です。満期保有目的の債券や子会社株式・関連会社株式に適用されます。簿価会計では、売却していない含み益は計上されないため、決算期ごとに時価変動を反映する必要はありません。
時価会計
時価会計は、決算期末の時価で証券を評価する方法です。売買目的有価証券やその他有価証券に適用されます。時価会計を適用する場合、売却していない含み益を財務諸表に反映するかどうかは、その分類に応じて決まります。
簿価会計の方が圧倒的に楽ですね。
ただ取引の目的にや種類によって決まっているので仕方ないですね。
含み益の計上基準
含み益を毎期の決算で計上するかどうかは、証券の分類によります。
売買目的有価証券
含み益を損益計算書に計上。時価変動が業績に直接影響します。
その他有価証券
含み益を損益計算書には計上せず、純資産の一部として計上。業績への影響はありません。
満期保有目的の債券・子会社株式・関連会社株式
含み益を計上しません。これにより、時価変動の影響を回避します。
業績に直結する有価証券はリスクが高そうです。
個人で投資する場合も同じですが、あくまでも余裕資金ということですね。
日本基準と国際基準(IFRS)の違い
日本の会計基準(JGAAP)では、証券の分類に応じた異なる会計処理が要求されます。一方、国際会計基準(IFRS)では、金融資産全般において時価評価を行い、未実現利益を積極的に計上する傾向があります。特に、IFRSでは「公正価値を通じた損益計上(FVTPL)」と「公正価値を通じたその他の包括利益(FVOCI)」という2つの評価基準が採用されており、日本基準と比較して含み益の計上基準が広範です。
この違いは、投資先の評価や経営戦略、株主への情報提供において重要な影響を与えます。国際基準を適用する日本企業が増えている現状では、IFRSに基づく時価評価の採用が進んでいます。
国際基準(IFRS)だと全般を時価評価なので面倒ですね。
まだ日本の基準の方が簿価会計できる分野があるのでマシです。
経営判断と財務戦略への影響
含み益を計上するかどうか、またどの評価基準を採用するかは、企業の財務戦略や経営判断に直接影響します。
利益変動のリスク
時価会計では、時価変動により利益が大きく変動するリスクがあります。短期的な市場変動が大きい場合、損益計算書が不安定になる可能性があります。
税務への影響
含み益を計上する場合、法人税の課税対象となる可能性があります。一方、計上しない場合は、含み益が税務上の負担として反映されないメリットがあります。
株主や投資家への情報開示
財務諸表の透明性や正確性を確保するためには、適切な会計基準に基づき、証券投資の評価方法を明確に開示する必要があります。
利益や税務に大きな影響があるものやりにくいですね。
『新海外固定金利商品』など安定して利益が見込めるものが安心ですね。
まとめ
- 売買目的有価証券:含み益を損益計算書に計上(時価会計)
- 満期保有目的の債券:含み益を計上しない(簿価会計)
- その他有価証券:含み益を純資産に計上(時価会計)
- 子会社株式・関連会社株式:含み益を計上しない(簿価会計)
企業は、自社の投資目的に応じた正確な会計処理を行うことが求められます。また、IFRSを採用する企業では、時価会計に基づく透明性の高い評価が進んでいます。適切な会計処理を選択することは、財務戦略や株主への説明責任を果たす上で重要な役割を果たします。
著者プロフィール
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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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