人の人生、仕事、投資の結果は、能力差や環境差よりも、思考と言葉の選び方によって決定づけられることが多い。その象徴が「できない」という言葉である。できないことを口にすること自体が問題なのではない。問題は、その言葉を“思考停止”と“行動放棄”の免罪符として使う姿勢にある。
「一つでもできないことがあるなら、始めない」「リスクがあるからやらない」「完璧でないから動かない」。こうした態度は一見慎重に見えるが、実態は単なる回避行動であり、責任を負わないための言い訳に過ぎない。しかも「できない」という言葉は、自分の可能性を閉ざすだけでなく、周囲の人間の意欲や判断力すら奪っていく。結果として人は離れ、仕事は来なくなり、孤立が深まる。
一方で、できることとできないことを冷静に切り分け、「今の自分にできること」を差し出せる人間は、他者から信頼を得る。そしてその信頼が、次にできないことを乗り越えるための支援や機会を呼び込む。この差は、時間とともに指数関数的に拡大していく。
- 「できない」は分析ではなく逃避である
- 「できない」という言葉は他者の時間を奪う
- できることを差し出せる人間だけが信頼を得る
- 助けてもらえる人間と、助けてもらえない人間の差
- 投資における「できない思考」が生む致命的な差
「できない」は分析ではなく逃避である

本来、できないことを認識すること自体は健全である。しかし多くの場合、「できない」という言葉は分析の結論ではなく、行動を起こさないための出発点として使われている。
たとえば「知識が足りない」「経験がない」「前例がない」「失敗したら困る」。これらはすべて、行動を遅らせる理由としては都合がいいが、改善策を伴わない限り何の意味も持たない。分析とは、本来「ではどう補うか」「どこまでなら可能か」を考える行為であるはずだ。
しかし「できない」で思考を止める人間は、そこから一切進まない。結果、現状は固定化され、時間だけが過ぎていく。投資で言えば、リスクを理由に永遠にキャッシュのまま動かない状態と同じであり、実質的には「確実な機会損失」を選んでいるに等しい。
「できない」という言葉は他者の時間を奪う

「できない」は自分だけを縛る言葉ではない。チーム、組織、家族、パートナーに対しても強い負の影響を持つ。
仕事の場において、何かを提案した際に最初に返ってくる言葉が「それはできません」「無理です」「前例がありません」であった場合、次にその人に声をかけようと思うだろうか。多くの場合、答えは否である。人は前に進むために集団を作っているのであり、足を止める存在とは距離を取る。
これは冷酷な話ではなく、極めて合理的な行動だ。時間は有限であり、前に進めない人間と付き合うことは、他者の時間を浪費させる行為でもある。その結果、仕事が振られなくなり、情報も回ってこなくなり、最終的には「組織に不要な存在」へと追い込まれていく。
できることを差し出せる人間だけが信頼を得る

対照的に、できることとできないことを明確に分け、「これはできます」「ここまでは貢献できます」と言える人間は、必ず周囲から信頼される。
重要なのは、万能である必要は一切ないという点だ。むしろ、自分の限界を理解したうえで、確実に提供できる価値を提示できる人間の方が信頼される。なぜなら、期待値のコントロールができるからである。
仕事でも投資でも同じだが、信頼とは「約束を守ることの積み重ね」でしか生まれない。小さな貢献でも、確実にやり切る人間には次の仕事が回ってくる。その連鎖の中で、できないことに対しても「この部分は誰かに頼もう」「ここは支援を受けよう」という選択肢が自然と生まれる。
助けてもらえる人間と、助けてもらえない人間の差

人は、自分のためだけに努力しない人間を助けたいとは思わない。しかし、自分のできる範囲で最大限の努力をしている人間に対しては、自然と手を差し伸べたくなる。
「全部はできないが、ここまではやる」「足りない部分は正直に認める」。この姿勢があるからこそ、周囲も安心して力を貸すことができる。逆に、最初から「できない」「無理」と言い切る人間に対しては、関与する理由が存在しない。
これは人生全般にも言える。家庭、教育、投資、人間関係、すべてにおいて「自分がまず何を差し出しているか」が問われる。何も差し出さず、結果だけを求める姿勢は、長期的に見て必ず孤立を招く。
投資における「できない思考」が生む致命的な差

投資の世界では、この思考差が最も顕著に表れる。市場は常に不完全であり、情報も未来も完全には読めない。それでも成果を出す人間は、「今わかっている範囲で最善を尽くす」判断を積み重ねている。
一方で、「もっと勉強してから」「完璧なタイミングを待ってから」「リスクがゼロになったら」という人間は、永遠にスタートラインに立てない。これは慎重さではなく、責任回避である。
できる範囲で分散し、管理し、修正していく。このプロセスを受け入れられる人間だけが、複利や経験値の恩恵を受けることができる。人生も同じで、最初から完成形を求める人間に成長はない。
最初からできる人はいないし、全てが成功する人もいないません。なのでなるべく早く始めて経験を積むことが大事ですね。
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まとめ
「できない」と言う人間と、「できることからやる」と言える人間の差は、性格の違いではない。思考と姿勢の違いであり、その積み重ねが将来を決定づける。
前者は行動しない理由を探し、現状を正当化し続ける。結果として人は離れ、機会は失われ、孤立が進む。後者は限界を認めつつも、今できることを差し出し続ける。その姿勢が信頼を生み、支援を呼び込み、結果的にできなかったことすら乗り越えていく。
人生、仕事、投資の本質は共通している。完璧であることではなく、責任を引き受けて一歩を踏み出すこと。その一歩を踏み出せるかどうかは、「できない」という言葉をどう扱うかにかかっている。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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