こんにちは、K2 Collegeの松本です。
今回は、「金融庁がエヌエヌ生命に業務改善命令を出す方針を固めた」ことについてお伝えします。
- 動画解説
- NN生命とは?
- 今回の行政処分の発端は?
- エヌエヌ生命で行われてた現場の実態
- 今後、行政処分される保険会社が増える?
動画解説
聞いたことないけど、格付けはしっかりしている会社
会社概要
エヌエヌ生命の親会社は、NNグループ(NN Group N.V.)というオランダ・ハーグに本拠を置く保険・金融サービス企業で、いわゆる外資系保険会社のひとつです。最近の会社かと思いきや意外に歴史はあり1985年10月1日「ナショナーレ・ネーデルランデン生命保険会社N.V.日本支店」として設立されました。1986年4月1日より営業開始。1995年1月24日「ナショナーレ・ネーデルランデン生命保険株式会社」設立し日本法人としての生命保険事業免許を取得。1997年1月1日に商号を「アイエヌジー生命保険株式会社」に変更。2015年4月1日に商号を「エヌエヌ生命保険株式会社」に変更し、現在に至っています。
1つ目の特徴は、『中小企業サポーター』と謳っているだけあってメイン商品は法人保険になります。
2つ目の特徴は、販売経路です。多くの保険会社が自社で営業職員を抱えて販売をしていますが、エヌエヌ生命では代理店販売方式にしており、全国約5,500店の保険代理店を通じて販売しています。
営業開始:1986年4月1日
総資産:2兆6,025億円(2021年3月31日時点)
保有契約高:11兆797億円(2021年3月31日時点)
格付情報
S&P:A- (2021年7月1日時点)
ソルベンシーマージン比率
803.5% (2021年3月末時点)
今回の行政処分の発端は?
本日(2023年2月10日)、オランダに本拠を置く外資系生保のエヌエヌ生命保険に業務改善命令を出す方針を固めたようです。理由は、保険本来の趣旨から逸脱した「節税保険」と呼ばれる商品を組織的に顧客に販売していたからです。
発端は皆さんご存知の「名変プラン」ですね。この保険は、低解約返戻金型逓増定期保険と呼ばれる保険のタイプで租税回避行為の疑いのあるケースが多い商品です。同商品は契約からおおむね5年が経過すると、契約者が受け取る解約返戻金が大きく跳ね上がる仕組みになっています。
その仕組みを利用して、契約者は5年目になる直前に契約者名義を、法人から役員個人に変更し契約を譲渡。そうすると、返戻金は税制上は個人の一時所得として扱われることになり、役員報酬などとして金銭を支払う場合と比べて、所得税の負担を大きく軽減できる、というカラクリになっている。
しかし、この手法そのものが脱税に近いとして2021年3月に「ホワイトデーショック」により税制改定が行われました。その後もいくつかの会社では販売手法に問題があったとして、金融庁が目を光らせていました。
そして節税効果を過度に強調する営業を組織的に展開していたことは不適切とみて、22年秋ごろからエヌエヌに立ち入り検査に入っていた。エヌエヌの経営陣が黙認していたうえ、こうした商品に頼ったビジネスモデルを変えない限り、自浄作用は働かないと判断したもようです。
エヌエヌ生命で行われてた現場の実態
一体、エヌエヌ生命はどのような営業活動をしていたのだろうか?
節税効果を出すには、法人から個人への名義変更手続きをピンポイントのタイミングでおこなう必要がある。ですので、営業職員が何らの資料もなしにそのからくりを口頭だけで説明し契約者に理解してもらうのは容易ではないと想像できる。そのためNN生命は、名義変更による節税のからくりを記した「指南書」を内々に作成し、販売代理店などに配布しながら拡販に汗を流しているのではないでしょうか。
そうした租税回避指南ともいうべき不適切営業は、明治安田生命保険、マニュライフ生命保険、SOMPOひまわり生命保険、FWD生命保険でも露見しているようです。おそらく、経営陣をはじめとして組織ぐるみで不適切営業を展開していた可能性が高いとみているのでしょう。節税保険自体は違法ではないが、万一の事態に備える保険本来の趣旨を逸脱した募集行為を金融庁は問題視してきた。
金融庁はエヌエヌに対して商品開発や募集の管理におけるガバナンス(企業統治)の抜本的な強化を求める。事業部門、コンプライアンス(法令順守)部門、監査部門による3重のリスク管理体制を構築するように促す方針です。
今後も、行政処分される保険会社が増える?
生保会社への行政処分としては、2019年のかんぽ生命保険、2022年のマニュライフ生命保険、そして今回のエヌエヌ生命保険とここ最近は立て続けに起こっています。
2019年のかんぽ生命の不正販売に対する行政処分もインパクトがあったが、同じ2019年2月14日のバレンタインショック(法人向け節税保険の販売停止)以降は節税保険の販売に対する処分が続いています。この件でなくても不正契約などここ数年問題の多い生命保険業界です。
とはいえ、個人的には保険会社だけが悪いとは思わない。なぜならば、保険商品は金融庁の認可がないと販売できない。という事は、この逓増定期保険がリリースされる前に金融庁が認可したわけでその点については金融庁は黙ったままである。
深読みすると、最初からこういうシナリオを考えていたのではないだろうか?つまりは最初から保険会社を潰す目的があったかもしれない。そう考えると、違った意味で金融業界の闇が深いなと感じざるを得ない。
生命保険業界は何かと暗いマイナスの話しばかりが持ち上がっていますね。誰か明るいニュースを作ってくれないかなぁ。。。
まとめ
- エヌエヌ生命はオランダに本社がある外資系保険会社
- 名変プランをきっかけに問題が肥大化
- 名義変更による節税のからくりを記した「指南書」を内々に作成し、販売代理店などに配布しながら拡販していた
- もともとこうなる事は金融庁は想定範囲内だったかもしれない!
今回は「エヌエヌ生命保険の業務改善命令」についてお話ししましたがいかがでしたでしょうか?不正契約など未だに問題の多い生命保険業界。今後もこの『名変プラン』をきっかけに行政処分される保険会社が多くなりそうですね。これまでも「節税保険」に関してはいたちごっこの繰り返しでしたが、2019年7月の税制改定以降、完全にそういった商品は無くなりました。とは言っても、私も周りでは未だに魅力のない法人保険を販売している営業マンもいます。そろそろ、クライアントにとってベストな商品を一緒にアドバイスしませんか?
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著者プロフィール
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大学卒業後、東証1部上場の設備会社で現場監督として勤務。
外資系生命保険会社からスカウトされ、2013年1月から生命保険のライフプランコンサルタントとして6年3ヶ月勤務。
また同時期に個人で海外投資も始めましたが、海外投資の情報は少なく信頼できるか判断も難しいので、WEBや知人から沢山の情報を集めていました。 その1つの情報源としてK2のメルマガを購読しながら知識を深めていきました。
そして国内外の保険や投資についてメリット、デメリットを正直に伝えた上でアドバイスをする活動方針に共感し、弊社保険アドバイザーとして2019年4月よりK2 Holdingsに参画しました。
クライアントのマネーリテラシーの底上げをしつつ、日々顧客利益の為に活動しております。
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