エマージング・ソブリン・オープン 〜三菱 UFJ アセットマネジメント

こんにちは、K2 College河合です。

本日は野村證券でも11月から販売開始されたエマージング・ソブリン・オープンの解説をしようと思います。この商品、2003年からもうなんと20年も運用されていて、色々な証券会社、銀行で販売されています。

野村證券もどうして今更このファンドを取り扱い出したのでしょうか。

定かではありませんが、新興国債券で良いファンドがなかったからでしょうか。と言っても、今回のファンドが決して良いわけではないので、そこをまとめていきます。

  • 新興国債券という投資先
  • これまでのパフォーマンス
  • 基準価額が下がり続けても毎月分配型が人気

新興国債券という投資先

新興国と言っても先進国と違い、世界のほとんどが新興国ですよね。地域別に見ると・・・

ラテンアメリカ:32%
ロシア・東欧:22%
アジア:4%
アフリカ:14%
中東:19%

という割合で投資しているようです。これを格付け別に見ると・・・

A:11%
BBB:32%
BB:24%
B:15%

という格付けに集中しているようですね。BBB以上(投資適格債)で約半分。残り半分をBB以下の投機的な債券で持っています。

地域と国別に利回り、格付け別を見てみましょう。

国ごとに上位順にするとこちら。

ハンガリー、サウジアラビア、コロンビア、ドミニカなど、日本人には馴染みの薄い国が多いですね。

こちらが新興国債券と米国債券の利回り比較です。

常に新興国の方が格付けが低く、破綻リスクが高いことから、利回りが高いことがわかりますよね。なので、先進国が低金利のような景気の悪い時期でも、新興国債券は利回りを取り続けることができます。

正直、知らない国ばかりで投資するのには不安になります。

そうですね、実際新興国で破綻事例というのはありますから、心配もあると思います。ただその分、金利が高いですし、破綻リスクを回避するために分散投資しています。後はリスクに見合った金利がついているのか?ですよね。

これまでのパフォーマンス

設定来の数字を見てみると、分配金込み(再投資)であれば、20年で3倍以上になっていますから、悪くはありませんよね。

ただし毎月分配型の場合、金利以上の分配金を出し続けたことで、基準価額は10,000円を下回っています。つまり投資家からすれば、特別分配(自分の元本を返してもらっただけ)だったこともあった、ということですね。

また再投資型も上がっているとはいえ、ベンチマークは20年で約4倍ですから、決してこのファンドが良いファンドだったわけではなく、新興国債券全般が(むしろこのファンドよりも)良かったということになります。

騰落率で見てみると、短期的には同じでも、長く運用するとその差がどんどん開いていきますね。これはファンドには高いコスト(購入手数料、信託報酬)がかかっているからという理由もあるでしょう。

それでは結論としては、新興国債券へ投資するのはいいけれど、このファンドではなくインデックス(ETF)へ投資した方がいいということですね。

はい、そういうことになります。このファンドもインデックスに負けているアクティブファンドのうちの一つでしたね。

基準価額が下がり続けても毎月分配型が人気

このファンドには4つのクラスがあり、投資家は最初に選択しなければいけません。ポイントは・・・

・毎月分配型か再投資か?
・為替ヘッジをするかどうか?

結果、毎月分配型(為替ヘッジなし)が最も人気のようです。

<毎月分配型>
上述の通り、投資効率の悪い特別分配(蛸足)にも関わらず、毎月分配型が売れています。おそらくそれは銀行や中堅証券での販売が多いため、単に「分配金」の金額だけで勧誘しているからではないでしょうか。

<為替ヘッジ>
このファンド自体、新興国通貨ではなく、米ドルで運用されています。つまりドルへの為替ヘッジは自動的に付いてきます。では投資家が何を選ばないといけないかというと、日本円にヘッジするかどうか。円は基本的には安くなっていくことが考えられますから、わざわざ日本円にする必要はありませんよね。またそのためにヘッジコストを払い続けると、皆さん大好き分配金が減ってしまうため、為替ヘッジありは好まれていないんだと思います。

私もどれを選んだらいいか迷いました。では投資効率を考えると、一番売れている「毎月分配型・為替ヘッジなし」ではなく、「再投資・為替ヘッジなし」にするといいということですね。

はい、そうなります。ただしインデックスであれば、自動的にそのようになっていますし、ファンドとしてのコストもかかりませんから、やはりインデックスで投資をした方がいいですね。

まとめ

  • 新興国債券への投資はOK
  • ただしインデックスへ投資しよう
  • 毎月分配型、為替ヘッジは不要

このようにアクティブファンドよりもインデックスの方が良いことが8割です。今投資されているファンドがあれば、勧誘されているファンドがあれば、まずはベンチマークに勝っているかどうか?をチェックしましょうね。

チェックの仕方がわからない、このファンドに投資してもいいか?などいつでも遠慮なくこちらから弊社投資アドバイザーまでご相談ください(無料)。

LINEでのご連絡もお待ちしてます(無料)。

著者プロフィール

河合 圭
河合 圭
<経歴>
青山学院大学国際政治経済学部国際経営学科ファイナンスコース卒業
中国天津南開大学漢語語言学院留学
野村證券にて4年半勤務、2008年リーマン・ショックの前日に退社
プライベートバンクを経て、2009年K2 Investment設立
2014年ボストン留学、2018年Paris留学
現在、K2 Holdings会長

<趣味>
ダイビング、クルージング、自然

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