MDRT(Million Dollar Round Table)は、生命保険および金融サービス業界における高い業績を上げたプロフェッショナルたちが集まる国際的な組織です。MDRTのメンバーシップは、業績と顧客サービスの卓越性の証とされ、保険業界では非常に名誉なものとされています。しかしながら、MDRTのメンバーになるためには高いコミッション(手数料)収入が求められることから、その達成に伴う様々な問題が指摘されています。以下に、MDRTのコミッション依存問題について詳細にまとめます。
MDRTになるにはどうすればいいのですか?
2024年度MDRT入会基準では手数料ベースで¥7,547,000となっています。
- MDRTのコミッション依存問題とは
- 問題をなくすために
MDRTのコミッション依存問題とは
MDRTのメンバーシップは高いコミッション収入を基準としており、このため一部の保険代理店や営業担当者は、MDRTの資格を得るためにコミッションを重視した営業活動を行うことがあります。これは、顧客のニーズや利益を考慮せずに高額な保険商品を売り込むことを促す可能性があり、結果として顧客の利益を損なうリスクがあります。
顧客との信頼関係の損失
コミッション重視の販売は、顧客との信頼関係に悪影響を及ぼすことがあります。顧客は、自分の利益よりも営業担当者の収入を優先する姿勢を感じ取ると、信頼を失う可能性があります。これは、長期的な顧客関係の構築において重大な障害となります。
倫理的問題の発生
MDRTの基準を満たすために、営業担当者が無理な販売を行うことは倫理的な問題を引き起こします。保険業界においては、顧客の利益を第一に考えることが重要ですが、コミッションを優先するあまり、顧客の利益が二の次にされるケースが発生します。これにより、業界全体の信頼性が損なわれるリスクもあります。
営業担当者のプレッシャー
営業担当者にとって、MDRTのメンバーシップを目指すことは大きなプレッシャーとなります。高いコミッション目標を達成するためには、激しい競争と高い業績が求められ、これがストレスの原因となることがあります。営業担当者の過度なプレッシャーは、モチベーションの低下やバーンアウト(燃え尽き症候群)を引き起こすリスクがあります。
市場の健全性の低下
コミッション重視の販売が広まると、市場全体の健全性が損なわれる可能性があります。顧客にとって最適な商品が提供されず、無駄な保険契約が増えることで、市場の透明性や公正性が低下します。これは、長期的には保険業界全体の成長を阻害する要因となります。
数字目標はいいですが、それが顧客のデメリットになるのはよくないですね。
はい、目先のことだけ考える人だとそうなりかねませんね。
問題をなくすために
教育とトレーニングの強化
営業担当者の教育とトレーニングを強化することも重要です。倫理的な販売手法や顧客のニーズに基づいた提案を行うためのスキルを磨くことで、コミッション重視の問題を解決する一助となります。MDRTメンバーシップを目指すプロフェッショナルには、高い倫理基準と顧客サービスの重要性を強調する教育が求められます。
代替手数料モデルの必要性
これらの問題に対処するためには、代替手数料モデルの導入が検討されています。例えば、フィーベース(固定報酬型)のモデルや、パフォーマンスに基づく報酬体系を導入することで、コミッション依存を減らし、顧客の利益を最優先するインセンティブを提供することが可能です。
固定報酬型というのはどういったものですか?
米国のファイナンシャルプランナーなどではクライアントの資産残高の◯%といった報酬形態になっています。このことをフィーベース(固定報酬型)といいます。資産が増えれば報酬が増えるので顧客と同じ目線で考えられると言われています。
まとめ
- コミッションだけを重視してしまうと弊害が起きる
- 数字目標は重要だがそれ以外での評価も必要
MDRTのコミッション依存問題は、保険業界における複雑な課題の一つです。高い業績を上げることが求められる中で、顧客の利益を最優先に考えることは容易ではありません。しかし、長期的な視点での顧客関係の構築や、業界全体の健全性を維持するためには、これらの問題に真摯に取り組むことが不可欠です。代替手数料モデルの導入や教育の強化を通じて、コミッション依存から脱却し、より倫理的かつ顧客志向のビジネスモデルを確立することが求められます。
著者プロフィール
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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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