こんにちは。K2 College大崎です。
シルバー(銀)は、金と並ぶ貴金属として長い歴史を持ち、投資対象としても注目されています。特に、成長ポテンシャルを重視する投資家にとって、シルバー(銀)は魅力的な選択肢となるでしょう。
金や銀、ビットコインをポートフォリオに加えておくのが良いと、過去の記事で述べておりますが、シルバー(銀)については記事を書いていなかったかと思いますので、今回は、シルバー(銀)を保有しておいた方が良い理由を解説します。
- 動画解説
- シルバー投資の魅力と将来性
- シルバー市場における価格上昇が限定的となっている要因
- 大手金融機関による価格操作
- シルバー価格は暴騰する可能性がある
動画解説
シルバー投資の魅力と将来性

産業需要の拡大
シルバーは、工業用途が非常に多い金属です。特に、太陽光発電パネル、電気自動車(EV)、半導体、5G通信といった成長産業で欠かせない存在です。
たとえば、太陽光パネルの製造では、銀の高い導電性が活用され、EVではバッテリーや配線に使用されます。これらの産業は今後も拡大が期待され、シルバーの需要は中長期的に増加する可能性が高いです。
供給不足の懸念
近年、シルバーの供給は需要に追いついていない状況が続いています。特に、新規鉱山の開発が停滞しており、採掘コストも上昇しています。
また、シルバーは金と異なり、工業用として消費される割合が高いため、一度消費されると再利用が難しい特性があります。こうした供給が制約される点において、将来的に価格上昇の要因となる可能性があります。

金よりも価格上昇の余地が大きい
歴史的に、金と銀の価格比率(金銀比価)は平均40〜60倍とされていますが、近年は80〜100倍と、銀の価格が割安に推移しています。
仮に、この比率が歴史的平均に戻る場合、シルバーには大きな価格上昇の余地があり、投資家が割安な資産に目を向け始めると、シルバーへの資金流入が進む可能性があります。
インフレヘッジとしての役割
シルバーは金と同様に実物資産であり、インフレが進行する局面では価値の保存手段として注目されます。特に、貨幣価値が下がっている現状においては、実物資産への需要が高まり、シルバー価格が上昇する傾向があります。
投資手段の多様性
シルバー投資は、現物の地金やコイン、ETF、先物取引など多様な方法がありますが、特に、現物保有は長期的な価値保存に適しており、ETFは手軽に売買できるため流動性があります。
投資スタイルに応じた柔軟な選択ができるのもシルバーの魅力ですね。
需要に供給が追いついていない状況が続いているにも関わらず、どうして銀価格が上昇していないのでしょうか?
価格が大きく上昇しない理由はいくつか考えられますが、主な3つの要因について、以下で解説しますね。
シルバー市場における価格上昇が限定的となっている要因

金融機関による空売り(ショートポジション)
大手金融機関が銀市場で大量のショートポジション(空売り)を保有していることが、価格上昇を抑制する一因とされています。
空売りは、将来の価格下落を見越して行われる取引で、市場に売り圧力をもたらします。これにより、需要が供給を上回っていても、価格が上昇しにくい状況が生まれるわけです。
価格が上昇しないように、ショートポジション(空売り)を増やし続けていると考えることもできますよね。
例えば、2021年には、個人投資家の集団が銀市場での空売りを標的に買い攻勢を仕掛けて、価格が急騰する場面がありましたが、一時的には価格上昇したものの、長期的な価格上昇にはつながりませんでした。
買い攻勢を仕掛ける以上に、売りポジションの方が大きかったということですね。
集団といえども個人投資家が大手金融機関連合軍に勝つのは、そう容易くはないです。
ペーパーマーケットの影響
シルバー市場では、現物の取引だけでなく、先物取引やデリバティブ取引といった「ペーパーマーケット」が価格形成に大きな影響を及ぼしています。これらの取引は、実際のシルバーの受け渡しを伴わない契約で行われることが多く、市場全体の取引量を膨らませています。
このようなペーパーマーケットの存在により、実際の供給不足が価格に反映されにくい状況が生まれます。
大量のデリバティブ取引が市場に流入することで、需給バランスが見えにくくなり、価格の上昇が抑制されることがあります。
価格上昇に対する抑制圧力
シルバーはインフレーションの指標として注目されやすく、その価格動向は経済全体に影響を及ぼす可能性があります。
価格が急騰すると、インフレ懸念が高まり、経済政策に影響を与えることから、一部の金融機関や政策当局が価格上昇を抑制しようとする動きがあると指摘されています。
また、シルバーは工業用途でも広く使用されており、価格の急激な上昇は製造業などのコスト増加を招く可能性があるため、これを避けようと、価格上昇を抑える圧力が働くことも考えられます。
金融機関や政策当局が価格上昇を抑制しようとする動きがあるようですね。
シルバーの価格を抑えておきたい理由は他にもあるかも知れませんが、市場が操作されていると考えることもできますね。
ちなみに、過去にも大手金融機関が価格操作を行っていたことが確認されています。
大手金融機関による価格操作

シルバー市場において、大手金融機関による価格操作の疑惑は長年にわたり議論されてきておりますが、実際に、摘発された事例はいくつか存在します。
今回は、代表的な事例を2つ紹介します。
ドイツ銀行の事例(2014年)
2014年、ドイツ銀行は、金と銀の価格操作に関与していたとして訴訟を受け、調査が行われましたが、その結果、ドイツ銀行は貴金属の価格を不正に操作し、市場を歪めていたことが判明しました。
なお、その際に提出された資料からは、バンク・オブ・アメリカやスタンダードチャータード、BNPパリバ、バークレイズといった他の大手金融機関も価格操作に関与していた事実も明るみに出ました。
特に問題とされたのは、価格決定プロセスにおける不正で、これは、数社の銀行が集まり、金や銀の基準価格を決定する過程で、不正に価格を誘導していたとされています。
JPモルガンの事例(2020年)
2020年には、アメリカの大手金融機関であるJPモルガン・チェースが、貴金属市場における価格操作で約9億2,000万ドルの罰金を科されました。
この事例では、同社のトレーダーがスプーフィング(見せかけの注文による市場誘導)という手法を用い、シルバーなどの価格を不正に操作していたことが問題となりました。
スプーフィングは、市場に大量の注文を出して価格を誘導し、実際にはその注文を取り消して利益を得る行為です。この手法により、JPモルガンは約8年間にわたり不正な利益を上げていたとされ、市場に大きな影響を与えました。
ドイツ銀行が価格操作に関与していた事件は、価格を抑えていたのでしょうか?
価格をどのように操作していたのか、具体的に断定するのは困難です。
シルバー価格は暴騰する可能性がある

2月のロンドン市場における銀保有量は、前月比4.5%減少の2万2462.17トンとなり、4ヶ月連続で減少となっております。1月の減少幅は、2016年7月以降で最大でしたが、減少幅は縮小しておりますね。
しかしながら、ロンドン市場における銀保有量は、2022以降、大きく減少してきており、その減少幅は金よりも大きいです。

先般の記事、米国政府による戦略的「金」備蓄!?において、金塊を米国に移送する動きが加速していると解説しましたし、
「現物金の椅子取りゲームが行われている」という記事においては、ロンドン市場の現物不足の原因を解説しましたが、ロンドン市場から運び出されているのは、何も金だけでなく銀もなんですね。
ロンドン市場から銀の流出が加速している現状は、金融市場に大きな影響を与える可能性があります。
ただし、これが単に米国市場など、他の市場への移動だけであれば、直ちに価格上昇にはつながりません。しかしながら、ロンドン市場の在庫が継続的に減少し、供給の逼迫が表面化すれば、価格において重要な影響を与えるでしょう。
「ペーパーマーケットの存在」については、前述しましたが、特にペーパー取引による価格操作を行う市場関係者にとって、現物在庫の減少は深刻な問題となり、操作の維持が難しくなる可能性があります。
現物の供給が逼迫し、価格が実際の需給に基づくものに近づくと、銀の価格は最終的に本来の市場価値に近づいていくでしょう。
本来の市場価値とはいくらなのですか?
そのタイミングにおいて市場が決めますから、操作されていない市場価値は分かりません。
ただ、「US Debt Clock」に記載されている「DOLLAR TO SILVER RATIO」は、通常の市場価格(スポット価格)とは異なり、実質的な銀の価値を示していますが、現在の価値は1,097ドル/オンスとなってますので、参考にしてください。
ちなみに、現在の市場価格は33ドル/オンスです。

まとめ
- シルバーの供給は需要に追いついていない状況が続いている
- 価格上昇を抑制しようとする動きがある
- 貨幣価値が下がっている現状においては、シルバー価格が上昇する傾向がある
- シルバー(銀)価格は暴騰する可能性がある
著者プロフィール

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投資アドバイザー
愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。
その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。
自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。
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