米国政府による戦略的「金」備蓄!?

こんにちは。K2 College大崎です。

トランプ大統領は2月1日にカナダとメキシコからの輸入品に25%、中国に10%の追加関税を課す大統領令に署名しましたね。4日に発動されます。

トランプ政権は優先的に取り組む政策分野を示しておりますが、その一つが「アメリカ第一の貿易政策」であり、関税ですね。

  • 動画解説
  • 金塊を米国に移送する動きが加速
  • 米国政府が金を準備資産として備蓄し始めているかもしれない
  • 関税の目的は歳入の増加?

動画解説

金塊を米国に移送する動きが加速

貴金属にも関税が適用されるのではないかとの警戒感から、英国に保管されている金塊を米国に移送する動きが加速しております。

その結果、ロンドンの金在庫が枯渇し、市場の流動性は低下していると英紙フィナンシャル・タイムズは主張していますが、

イングランド銀行のベイリー総裁は、「もはや金本位制ではない」と述べ、金の大量流出が通貨価値に直接影響を及ぼすリスクを否定しています。

2024年11月に米大統領選でトランプ氏が勝利して以降、関税リスクを回避しようと、金取引業者や金融機関は1月下旬までに約400トンの金塊をCOMEX(ニューヨーク商品取引所)の保管庫に移送し、COMEXの金の総在庫は約962万トンに増加しているとのことです。

米国が毎年購入している現物の金塊は約20トンとのことですから、1月下旬までにCOMEXの保管庫に移送した金塊は約20年分となりますね。

また、英国とスイスは最近まで、米国の金地金の二大輸出市場でしたが、現在はその流れは逆になっております。

しかも、金塊を英国から米国に移送する動きが話題になっておりますが、既に昨年末から米国への輸入が増加しています。データによると、スイスから米国への金の輸出は、2023年最後の月の3.3トンから12月には64.2トンに急増しています。

私は関税という政策を利用して、米国政府が戦略的に金の備蓄を始めているのではないかと勘繰っています。

トランプ政権はビットコインを準備資産として採用する戦略ではないのでしょうか?

それはそうなのですが、トランプ派はもともと金本位制を支持している人間が多いですから、金を準備資産として備蓄する戦略の一つとして考えていてもおかしくはないです。

米国政府が金を準備資産として備蓄し始めているかもしれない

2020年4月のブログ「「金」で資産防衛しましょう」の記事において、トランプ大統領は、中央銀行が所有している「通貨発行権」を国家に取り戻そうと、ドルの価値を下げようとしており、その先として、金本位制に基づいた通貨システムを考えているのではないかと述べました。

合わせて以下内容も記載しましたが、

前回は、FRB(連邦準備制度理事会)の理事として指名したものの、上院議会の反対で実現に至らなかったジュディ・シェルトン氏を、トランプ大統領はFRB議長候補リストに含めているとのことです。

シェルトン氏は金本位制への回帰を考えており、金に裏付けされた米国債の発行したいと考えているので、米国政府が金を準備資産として備蓄し始めてもおかしくないのではないでしょうか。

彼女はあるインタビューで、以下のように述べておりましたが、

新たな財務省発行の債券は米ドル建て、満期時に債券保有者の選択により金に交換可能となる。
建国250周年となる2026年7月4日から発行を開始したい

私は彼女のFRB入り含めて、お膳立てが出来ているのではないかと感じました。

そして、パウエル議長の任期は2026年5月ですから、タイミング的にも合致しているように感じます。

ですので、米国債を金と裏付けるために、英国に保管されている金塊を米国に移送している可能性があります。

ちなみに、トランプ政権の財務長官になったスコット・ベッセント氏は、キースクエアグループのCEO兼CIO であり、世界的に有名なマクロ投資家です。ソロス・ファンド・マネジメントでの勤務経験もあります。

そして、財務長官に就任する前、以下の発言をしています。

「我々は長期的な金の強気市場に入っていると思います。中央銀行が金備蓄を増やしているのを見ていますし、私もそうしています。金は私のポジションの中で最大のものです。」

スコット・ベッセント氏のポジションの中で最大なものは金なのですね。

現在は、どうなっているかは不明ですが、金や暗号資産の割合は多いのではないでしょうか。

関税の目的は歳入の増加?

トランプ政権のファクトシートによると、

フェンタニルなどの密輸薬物が違法な流通網を通じて米国に流入し、公衆衛生危機を含む国家的緊急事態を引き起こしており、この危機が緩和されるまで、カナダとメキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品には10%の追加関税を課すとしています。

しかしながら、ベッセント財務長官は1月の指名承認公聴会で、トランプ政権が新たな関税を発動するのは、以下の3つの目的があることを見込んでおくべきだと語っています。

・不公正な取引慣行の是正
・連邦歳入の増加、
・各国との交渉材料

また、トランプ大統領は減税も公約としておりますが、関税からの収入は減税の財源となり得ますし、ベッセント財務長官もトランプ大統領の追加関税が完全に実施されれば、2兆5000億ドルから3兆ドルの歳入をもたらす可能性があると主張しています。

トランプ大統領は、関税を利用して製造業を活性化し、企業を米国に誘致する方法として関税を利用する考えを示しています。

関税計画は、アメリカを再び偉大な国に(Make America Great Again)するための手段なのですね。

ちなみにカナダとメキシコから輸入される金に25%の関税が課せられると、金価格はどうなるのでしょうか?

米国の金価格は上昇するでしょうね。

また、市場では金の供給が不足する事態となっているようですし、他の中央銀行が金の蓄積を加速することになれば、金価格は再評価される可能性もありますね。

まとめ

  • 金塊を米国に移送する動きが加速している
  • 米国政府は戦略的に金の備蓄を始めているのではないか
  • 関税はアメリカを再び偉大な国にするための手段

投資家それぞれに適した投資先のアドバイスをいたします。
相談を希望される方は、こちらからお問合せください。

著者プロフィール

大崎真嗣
大崎真嗣
投資アドバイザー

愛知大学経済学部卒業
大手旅行会社で10年間、その後、企業の人材育成を支援する会社で約6年間、法人営業として経験を積む。
直近約5年半はキャリアコンサルタントとして、転職希望者の相談や企業の採用に一役を担う。

その傍らで、自らの投資経験を踏まえたファイナンシャルアドバイスを開始。
ファイナンシャルプランナー2級も取得。

自分でしっかり考える投資家をサポートするという経営方針に共感し、自らもかねてから顧客であったK2 Collegeに参画。

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