映画やアニメ化されている「日本沈没」はどのくらい現実的に起こり得るのか?

こんにちは、K2 College編集部です。

「日本沈没」というテーマは、映画やアニメ、小説で何度も描かれてきました。小松左京の原作小説『日本沈没』を基にした1973年の映画版、2006年のリメイク版、そして2020年のアニメ版などがその代表例です。これらの作品は、地震や火山活動などの自然災害が原因で日本列島が沈没するというシナリオを描いています。では、この「日本沈没」はどの程度現実的に起こり得るのでしょうか。ここでは、地質学的、地理学的な観点からその可能性を考察します。

映画は見ましたが、実際起こりうるんでしょうか。

どうでしょうか。詳細を見ていきましょう。

  • 日本の地質学的背景
  • 地震と沈降
  • 火山活動と沈降
  • 気候変動と海面上昇
  • 現実的なリスクと対策

日本の地質学的背景

日本列島は、地球上で最も活発な地震帯の一つである「環太平洋火山帯」に位置しています。この地域は、プレートテクトニクスの観点から非常に不安定な地質構造を持っており、四つの主要なプレート(ユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート)が交わる地点にあります。このプレートの動きが、日本列島の地震活動や火山活動を引き起こしています。

プレートテクトニクス

日本周辺のプレート境界は、大きく以下のように分類されます:

  1. 太平洋プレート:東から西へ移動し、北米プレートの下に沈み込んでいます。この沈み込み帯が、日本海溝を形成しています。
  2. フィリピン海プレート:南から北へ移動し、ユーラシアプレートと北米プレートの下に沈み込んでいます。このプレートの動きが、伊豆・小笠原海溝や南海トラフを形成しています。
  3. 北米プレート:北海道や東北地方の一部を覆い、太平洋プレートとフィリピン海プレートとの境界で複雑な相互作用をしています。
  4. ユーラシアプレート:本州や九州、四国などの主要部分を覆っています。

これらのプレートの相互作用により、日本列島は頻繁に地震が発生し、火山活動も活発です。

プレートの境界が日本の下で交わっているんですね。

こうみるとたしかに火山や地震が多いのも納得ですね。

地震と沈降

地震活動の影響

日本列島で発生する地震の多くは、プレートの沈み込みによって引き起こされる「海溝型地震」です。これらの地震は大規模な津波を伴うことが多く、甚大な被害をもたらします。例えば、2011年の東日本大震災は、マグニチュード9.0という巨大地震とそれに続く大津波によって、広範囲にわたる被害を引き起こしました。

しかし、地震そのものが日本列島全体を沈めるというシナリオは、地質学的には非常に考えにくいです。地震によって地表が変形したり、津波によって沿岸部が浸水することはあっても、列島全体が沈降することはありません。

長期的な沈降

地質学的な時間スケールで見ると、プレートの沈み込みによって一部の地域が沈降することはあり得ます。しかし、この沈降は非常に緩やかで、数千年から数万年単位で進行するものです。日本列島全体が短期間で沈むという設定は、フィクションに過ぎません。

地震も数百年単位でプレートが沈み込んでおこると聞いたことがあります。

そうですね。そのくらいのスパンで徐々に沈んでいくようです。

火山活動と沈降

日本列島には数多くの活火山が存在し、これらの火山活動も地殻変動に寄与しています。例えば、富士山や桜島などは定期的に噴火活動を繰り返しています。しかし、火山の噴火によって列島全体が沈降することも、現実的には考えにくいです。

火山活動による局所的な地殻変動は確かに起こり得ます。火山噴火によって形成されたカルデラや、溶岩流によって新たに土地が形成されることはありますが、これが日本列島全体の沈降につながることはありません。

時々火山噴火のニュースはありますね。

はい、日本でも2014年に御嶽山の噴火などがありました。ただ日本全体に影響があるほどの大きさの火山はないそうです。

気候変動と海面上昇

一方、気候変動による海面上昇が日本に及ぼす影響についても考慮する必要があります。温暖化によって氷河が溶け、海水温が上昇することで、全球的に海面が上昇しています。これにより、沿岸部の低地が浸水するリスクが高まります。

海面上昇の影響

海面上昇は、特に東京や大阪などの低地都市において深刻な問題です。これらの都市は、河川の流域に広がる平野部に位置しており、海面が数メートル上昇するだけで大規模な浸水被害を受ける可能性があります。しかし、これは「日本沈没」とは異なり、地質学的な沈降ではなく、海面の上昇によるものです。

海面上昇で土地が海に沈んでしまうリスクはありますね。

実際、ソロモン諸島などでは人が住んでいる土地が沈んでいってしまっているそうです。

現実的なリスクと対策

日本は地震や津波、火山噴火といった自然災害のリスクが高い国ですが、現実的には「日本沈没」のようなシナリオが発生する可能性は極めて低いです。しかし、局地的な沈降や海面上昇による浸水リスクは存在します。これらのリスクに対して、日本政府や自治体はさまざまな対策を講じています。

地震対策

地震対策としては、建築基準の強化や耐震補強工事、早期警報システムの導入が進められています。また、津波に対しても避難タワーや防潮堤の整備が行われています。

気候変動対策

気候変動に対する対策としては、温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの導入が推進されています。また、海面上昇に備えて沿岸部のインフラ整備や避難計画の策定が進められています。

さすがに突然日本がなくなる、というのはないそうで安心しました。

そうですね。ただ、地震、火山噴火など突然の災害は起こりますので、備えは必要ですね。

まとめ

  • 日本列島は、地球上で最も活発な地震帯の一つである「環太平洋火山帯」に位置
  • そのため地震や火山噴火のリスクが高い
  • 長期目線では気候変動による地盤沈下も起こり得る

映画やアニメで描かれる「日本沈没」のシナリオは、エンターテインメントとしては非常に興味深く、人々に自然災害の脅威を認識させる効果があります。しかし、地質学的な現実に基づくと、短期間で日本列島全体が沈降することは極めて低い確率です。

現実のリスクとしては、地震や津波、火山活動、そして気候変動による海面上昇が挙げられます。これらに対して、日本はすでに多くの対策を講じており、さらなる防災・減災の取り組みが求められています。フィクションを通じて災害への関心を高めることは重要ですが、それを超えて現実的な防災意識を持つことが、私たちの安全を守る鍵となるでしょう。

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

この投稿へのトラックバック: https://media.k2-assurance.com/archives/23081/trackback