日本人の円資産への比重

こんにちは、K2 College編集部です。

日本人の金融資産運用において、円建て資産の比重は依然として非常に高い水準にあります。2024年時点で、日本国内の家計金融資産のうち、現金・預金の割合は約50%を占めており、債券や株式、投資信託などの他の資産に比べて圧倒的に多い状態が続いています。さらに、その大部分は日本円建てで保有されており、海外資産への投資割合は低い傾向にあります。

この円資産への高比重の背景には、歴史的な低金利政策や日本の経済文化、投資に対するリスク回避的な傾向など、複数の要因が絡んでいます。本稿では、日本人の円資産への比重の特徴を5つの視点から分析し、その影響と今後の展望について考察します。

外貨は海外旅行に行くときに使う分くらいしか持っていないです。

多くの方が同じ状況です。どの様な要因があるかみていきましょう。

  • 現金・預金偏重の現状とその要因
  • 日本円建て資産の安全性と安定性
  • 投資信託・株式市場における円建て資産の割合
  • 海外資産への投資割合の低さ
  • 高齢化と円資産偏重の関連性

現金・預金偏重の現状とその要因

日本人の金融資産は現金・預金に大きく偏っており、その多くが日本円建てです。この現状の背景には、以下の要因があります。

低リスク志向

日本人は投資よりも貯蓄を優先する傾向があり、元本割れリスクを嫌う心理が強いとされています。

歴史的な金融文化

高度経済成長期には銀行預金の利率が高かったため、預金が最も安定的な資産運用手段として広く支持されました。その名残が現在も続いています。

金融教育の不足

資産運用に関する教育や情報提供が十分でないことが、現金・預金への偏重を招いています。

これにより、全資産の約50%以上が円建ての現金・預金という状況が続いており、海外資産やリスク資産への分散が進んでいません。

為替リスクが怖いと感じます。

ただ、本来は資産の半分ずつを米ドルと日本円にしておく方が、資産価値は変わらずに保有することができます。

日本円建て資産の安全性と安定性

日本円は世界的に「安全資産」として認識されています。日本国内での円建て資産の高比重には、その安定性が大きな要因となっています。

為替リスクの回避

円建て資産は為替変動リスクを伴わないため、特にリスクを避けたい高齢者層に好まれています。

低インフレ率

日本の物価上昇率は他国に比べて低い水準にあり、円の購買力が相対的に保たれています。

安全通貨としての信頼

国際的な金融市場では、日本円はリスク回避時に買われやすい通貨であるため、その信頼性が国内でも影響を与えています。

これらの要素が、日本人が円建て資産を中心に保有する理由として挙げられます。

若い人は投資を通して外貨を持っている人も増えていそうですが、高齢の方は日本円しか持っていないイメージです。

高齢の方はずっと日本で生活してきて、景気の良い時期を知っているので、そのままの感覚だと思います。

投資信託・株式市場における円建て資産の割合

日本の投資信託や株式市場においても、円建て資産の比重が高い傾向があります。

国内株式の優先

個人投資家の多くは、日本国内の株式や投資信託を中心に投資しており、海外資産の保有割合は少ないです。

円建て投資信託の人気

為替リスクを避けるため、円建ての投資信託が個人投資家に好まれています。

国債保有の傾向

長期的な安定収益を求めて、日本国債への投資も根強い人気があります。

これらは、国内経済や円の安定性を信頼する投資家心理が背景にあります。

なんとなく外貨はリスクが高いということで、円建の投資信託しか持ってないです。

実際は外貨を保有していないことの方がリスクです。

海外資産への投資割合の低さ

日本人の資産運用において、海外資産の割合は依然として低い水準にあります。この背景には、以下の要因が関係しています。

為替リスクへの懸念

円安局面や円高局面での資産価値の変動を避けるため、海外投資を敬遠する傾向があります。

情報不足

海外投資に関する知識や情報が十分に提供されていないため、国内資産への集中が続いています。

取引コストの高さ

海外資産への投資には為替手数料や取引手数料が発生するため、これが障壁となっています。

これにより、グローバル分散投資が進んでおらず、全体的なポートフォリオのバランスが偏ったままになっています。

今はYoutubeなどで色々な情報を得られると思いますが、、、

若い人はWEBから様々な情報にアクセスできますが、高齢の方は難しいですね。

高齢化と円資産偏重の関連性

日本の高齢化社会も、円建て資産への比重が高い要因の一つです。

老後資金の確保

高齢者は安定性を重視するため、リスクの高い資産運用よりも円建ての現金・預金に依存する傾向があります。

生活費の確保

老後の生活費として、日常的に使用しやすい円建て資産を保有することが多いです。

投資リスクの回避

年齢が高くなるほど投資リスクを取る余裕が減少するため、安全性を優先した資産配分が一般的です。

これらの要因が、円資産偏重をさらに強める結果を招いています。

私の親もそうですが、資産を一番持っている高齢者が日本円のまま銀行においているからですね。

知らないことや新しい知識を得ることに抵抗や億劫さを感じると思います。

まとめ

  • 日本人が円建て資産に高い比重を置く背景には、経済文化、金融教育の不足、安全資産への信頼などが複雑に絡み合っている
  • 少子高齢化や経済のグローバル化が進む中で、資産運用の多様化が求められる時代になっている

今後、以下のような施策が必要とされるでしょう。
①金融教育の充実:若い世代への投資教育を強化し、リスクとリターンのバランスを理解させる。
②海外投資の推進:グローバル分散投資のメリットを広く周知し、円建て資産への依存を緩和する。
③低コストの投資商品の提供:海外資産へのアクセスを容易にし、手数料の負担を軽減する。
これらの取り組みを通じて、日本人の資産運用がより多様化し、経済全体の活性化にも寄与することが期待されます。

著者プロフィール

K2編集部
K2編集部
投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。

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