「積立は複利だから、何も考えずに25年後の満期まで続けるのが正解」
こうした主張を、投資の“正論”として疑いなく語る人間がいる。しかしこれは、投資を理解しているようで、実はまったく理解していない思考である。
複利とは魔法の言葉ではない。
複利とは結果の表現であって、戦略ではない。
にもかかわらず、多くの投資家は「複利=長期積立=思考停止」という短絡的な図式を信仰している。
本来、投資とは
• 状況を観察し
• リスクを再評価し
• 資産配分を動的に調整する
極めて知的な行為である。
積立はその一手段に過ぎず、全てではない。
そして「複利」を理解していない人ほど、「複利」という言葉を振り回す。
- 積立=複利という誤解
- 「何もしないこと」を美徳にする危険性
- 複利の本質は「永遠に保証されていない」こと
- ラチェット運用という「思考する投資」
- 勝てる投資家と平均点の投資家の分かれ道
積立=複利という誤解

まず最初に壊すべき誤解はこれだ。
積立を続けている=複利運用をしている
これは正確ではない。
複利とは
利益が再投資され、その再投資分にも利益が乗る構造
を指す。
積立は
時間を分散して投資している
に過ぎない。
つまり
• 積立は「投資方法」
• 複利は「結果の計算式」
この二つを混同している時点で、投資理解は極めて浅い。
極端な話、
積立していなくても、
途中で売却しても、
資産を100%再投資し続けていれば複利は継続している。
「積立をやめたら複利が止まる」
という発想自体が、複利の定義を理解していない証拠である。
「何もしないこと」を美徳にする危険性

単細胞な投資家ほど、こう言う。
「何もしないのが一番」
「タイミングを考えるのは無駄」
「長期投資は放置が正解」
確かに、
• 感情で売買する
• 短期ノイズに反応する
こうした行動はリスクを高める。
しかしそれと
「考えないこと」
「判断を放棄すること」
は全く別物だ。
市場環境は変わる。
金利も、インフレも、通貨も、規制も変わる。
25年間、何も考えず、
「最初に決めた商品」を握り続けることが、
果たして“合理的”と言えるだろうか。
それは長期投資ではなく、
長期思考停止である。
複利の本質は「永遠に保証されていない」こと

複利という言葉が持つ最大の誤解は、
「時間が経てば必ず右肩上がりになる」
という幻想だ。
複利は
• 利回りがプラスで
• 再投資が可能で
• 市場が機能し続ける
という前提条件があって初めて成立する。
つまり複利とは、
永遠に保証されていない構造である。
だからこそ、
• 大きく増えた局面
• 明確なリスク上昇局面
• 期待値が低下した局面
では、
一部を確定し、保証のある資産へ移す
という判断が極めて重要になる。
複利を信じることと、
複利に盲従することは違う。
ラチェット運用という「思考する投資」

ここで登場するのが、
ラチェット(Ratchet)運用という考え方だ。
ラチェットとは
上がった分は固定し、下には戻らない
という構造を指す。
投資においては
• 増えた利益の一部を
• 元本保証・資本保全型商品へ移行し
• 再びリスク資産で増やす
この繰り返しによって、
資産全体の最低ラインを引き上げ続ける。
これは
• 複利を否定する行為ではない
• 利益を殺す行為でもない
むしろ
複利の不確実性を認識した上で、複利を最大化する知的戦略である。
勝てる投資家と平均点の投資家の分かれ道
![人生の岐路に立たされた時、自分の考えを大切にしてますか? - 顧問のチカラ|KENJINS[ケンジンズ]](https://kenjins.jp/magazine/wp-content/uploads/2013/08/column_image.png)
最終的に差がつくのは、ここだ。
平均点の投資家は
• 最初に決めたルールに固執し
• 状況が変わっても動かず
• 「何もしない」を正義とする
勝てる投資家は
• 目的(資産を増やす)を忘れず
• 手段(積立・商品)を柔軟に変え
• 利益を守る判断をためらわない
前者は
「理屈を覚えただけの投資家」
後者は
「構造を理解した投資家」
複利という単語を覚えるだけでは、
市場には勝てない。
継続することは大切だけど、考えずにそのままのことを続けるだけじゃダメですね。
積立も複利も道具の一部なので上手く活用しますが、状況が変われば臨機応変に投資スタイルも変える必要があります。
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まとめ
積立は重要だ。
複利も強力だ。
しかし
• 積立は投資の全てではない
• 複利は永遠に保証されていない
という事実から目を背けた瞬間、
それらは思考停止の言い訳になる。
投資とは
• 考え続けること
• 判断し続けること
• 状況に応じて形を変えること
その機転が効くかどうかが、
勝てる投資家か、平均点で終わる投資家かの分かれ道になる。
複利を信仰するな。
複利を使いこなせ。
それが、本当の長期投資である。
著者プロフィール

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投資家、現役証券マン、現役保険マンの立場で記事を書いています。
K2アドバイザーによって内容確認した上で、K2公認の情報としてアップしています。
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