こんにちは、K2 College 松本です。
今回は確定拠出年金(401K)とつみたてNISAの比較について解説していきます。
日本の年金には不安しかないので、自分で何か始めないといけないと思いますが、どれがいいのか分からなくて結局何も始めていません。
2017年以降から利用している人が急増しましたが、まだまだやっていない人の方が多い状況です。どの様な違いがあるのか確認していきましょう。
- 日本の年金制度
- 企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?
- つみたてNISAとは?
- 比較まとめ
日本の年金制度
まずは日本の年金制度について振り返りましょう。
日本の年金制度は下図のように3階建ての構造になっています。このうち、1階と2階が国民年金や厚生年金といった国が管理、運営する「公的年金」。3階部分は公的年金に上乗せして企業や個人が任意で加入することができる「私的年金」です。
確定拠出年金(401K)には、企業型(企業型DC)と個人型(iDeCo)があります。個人型は誰でも加入することができますが、企業型は会社員だけであり勤務先の企業が制度を取り入れているかどうかによります。また「つみたてNISA」も誰でも加入することができます。
会社員だと全部できて一番良さそうですね!
企業型DCは会社によってあったりなかったりするので、勤務先に確認してみましょう。それではそれぞれの制度について見ていきましょう。
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?
企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。
企業型DCは、従業員が自動的に加入する場合と、企業型DCに加入するかどうかを選択できる場合があります。従業員は掛金をもとに、金融商品の選択や資産配分の決定など、さまざまな運用を行います。そして定年退職を迎える60歳以降に、積み立ててきた年金資産を一時金(退職金)、もしくは年金の形式で受け取ります。ただし、積み立てた年金資産は原則60歳まで引き出すことはできません。
ちなみにDCは「Defined Contribution Plan」の略称です。
メリット
掛金が全額控除
仮に毎月の掛金が1万円の場合、その全額が税額軽減の対象となり、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間2.4万円、税金が軽減されます。年収が高ければ高い人ほどその恩恵は大きくなります。
運用益が非課税
通常、金融商品を運用すると、運用益に課税されますが(源泉分離課税20.315%)、「企業型DC」なら非課税で再投資されます。
受取時の控除
「企業型DC」は年金か一時金で、受取方法を選択することができます(金融機関によっては、年金と一時金を併用することもできます)。
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。
加入資格
企業型確定拠出年金を導入している企業に勤める厚生年金の被保険者であれば加入できます。
掛金の上限
掛金の額は会社での役職等に応じて決まるのが一般的です。ただし、制度上掛金の上限額は下記のとおり定められており、この上限額を超えて掛金を出すことは認められていません。
他の企業年金がある場合:月額2万7500円
他の企業年金がない場合:月額5万5000円
運用先
企業が選定した運用商品から加入者が選びます。
口座管理料
会社負担のケースが多い(従業員本人が負担するケースもあり)
受給開始年齢
60歳から年金資産を受け取るには、企業型DCに加入していた期間(通算加入者等期間)が10年以上、必要です。通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受給可能な年齢が繰り下げられます。
受取方法
基本的には「一時金」または「年金」として受け取ります。会社によっては「一時金と年金を併用」の3つの選択肢を設けているケースもあります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?
iDeCoとは、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度の一つです。 公的年金と異なり、加入は任意となります。 加入の申込、掛金の拠出、掛金の運用の全てをご自身で行い、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受け取ることができます。
ちなみにiDeCoは「individual-type Defined Contribution pension plan」の略称です。
メリット
掛金が全額控除
仮に毎月の掛金が1万円の場合、その全額が税額軽減の対象となり、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間2.4万円、税金が軽減されます。年収が高ければ高い人ほどその恩恵は大きくなります。
運用益が非課税
通常、金融商品を運用すると、運用益に課税されますが(源泉分離課税20.315%)、「iDeCo」なら非課税で再投資されます。
受取時の控除
「iDeCo」は年金か一時金で、受取方法を選択することができます(金融機関によっては、年金と一時金を併用することもできます)。
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。
加入資格
加入区分 | 加入対象となる方 | 加入対象とならない方 |
国民年金の 第1号被保険者 | 20歳以上60歳未満の自営業者と その家族、フリーランス、学生など | ・農業者年金の被保険者 ・国民年金の保険料納付を免除 (一部免除を含む)されている方 (ただし、障害基礎年金を受給 されている方等は加入できます) |
国民年金の 第2号被保険者 | 厚生年金の被保険者(会社員、公務員) | ・お勤めの企業で、企業型確定拠出 年金に加入している方(ただし、企業 型確定拠出年金規約で個人型同時加入 を認めている場合は加入できます) |
国民年金の 第3号被保険者 | 厚生年金の被保険者に扶養されている 20歳以上60歳未満の配偶者 | ー |
国民年金の 任意加入被保険者 | 国民年金に任意で加入した方 ・60歳以上65歳未満で、国民年金の保険料の 納付済期間が480月に達していない方 ・20歳以上65歳未満の海外居住者で、 国民年金の保険料の納付済期間が 480月に達していない方 | ー |
掛金の上限
加入区分に応じて、拠出できる掛金の上限が違います。
「iDeCo」は月々5,000円から始められ、掛金額を1,000円単位で自由に設定できます。資金に余裕のない方でも、ご自身のライフスタイルに合わせた無理のない負担で老後に備えることができます。(平成30年1月より、掛金の拠出を1年の単位で考え、加入者が年1回以上任意に決めた月にまとめて拠出(年単位拠出)できるようになりました。)
※掛金額は、年1回変更できます。
運用先
現在、約157の金融機関(運営管理機関)がiDeCoを取り扱っていますので、その中から、自分が加入したい金融機関(運営管理機関)を1社だけ選ぶ必要があります。
金融機関ごとに取り扱っている運用商品やサービス内容が異なりますので、よく比較検討したうえで、ご自身が加入する金融機関を選びましょう。
口座管理料
加入時(初回のみ)に2,829円。金融機関によって毎月66円〜589円の費用がかかります。
受給開始年齢
iDeCoの年金資産は、老齢給付金として原則60歳から受け取ることができます。受給を開始する時期は、75歳になるまでの間で選ぶことができます。60歳から年金資産を受け取るには、iDeCoに加入していた期間(通算加入者等期間)が10年以上、必要です。通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受給可能な年齢が繰り下げられます。
受取方法
基本的には「一時金」または「年金」として受け取ります。会社によっては「一時金と年金を併用」の3つの選択肢を設けているケースもあります。
つみたてNISAとは?
つみたてNISAとは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です(2018年1月からスタート)。ちなみにイギリスで既に実施されている類似の投資制度ISAにニッポンの頭文字「N」をつけてNISA(ニーサ)制度がつくられました。
メリット
20年間は非課税で投資ができる
つみたてNISAは運用益と分配金が最長20年間非課税となります。通常、投資で利益を得た場合、運用益・分配金に対して20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAでは20年間それがかかりません。そのため、本来差し引かれるべき税金分も運用にあてることが可能です。
毎年40万円の枠を2042年まで利用できる
年間40万円の枠があるので、2018年から利用している人は25年分の1,000万円の原資を非課税で運用することができます。
少額から積立ができる
金融機関によって異なりますが、毎月の積立額を少額から投資を始められるのもつみたてNISAの特徴です。毎月1,000円、1万円など、生活に負担をかけない範囲で長期的に資産形成を目指すことができます。
手数料の安い投資先が用意されている
つみたてNISAで購入することができるのは、金融庁が「長期」「積立」「分散」の投資に適していると判断した金融商品(投資信託、ETF)のみです。
加入資格
日本にお住まいの20歳以上の方(口座を開設する年の1月1日現在)。ただし、つみたてNISAと一般NISAはどちらか一方しか利用できません。
掛金の上限
毎年40万円が上限
運用先
つみたてNISA対象の商品は213本です。 *2022年4月26日時点
国内 | 内外 | 海外 | |
公募投信(株式型) | 44本 | 15本 | 50本 |
公募投信(資産複合型) | 5本 | 90本 | 2本 |
ETF | 3本 | ー | 4本 |
口座管理料
口座管理料はありません。
受給開始年齢
制限はなく、いつでも売却して受け取ることができます。
受取方法
いつでも売却した資金をご自身の銀行口座で受け取ることができます。
比較まとめ
長々と解説しましたが、最後に表でまとめておきます。
企業型確定拠出年金 (企業型DC) | 個人型確定拠出年金(iDeCo) | つみたてNISA | |
加入対象者 | 企業型確定拠出年金を導入している企業に勤める厚生年金の被保険者 | 60歳未満で国民年金第1〜3号被保険者 | 日本在住の20歳以上 |
掛金(投資)限度額 | ・月額55,000円 ・月額27,500円(他に企業年金がある場合) | ・月額68,000円(自営業者や家族) ・月額23,000円(会社員) ・月額12,000円(公務員) ・月額23,000円(専業主婦(夫)など) | 年間最大40万円 |
積立期間 | 60歳まで(年金規約に定めれば65歳まで延長可能) | 60歳まで | 2043年まで |
積立時の所得控除 | 積立額が全額所得控除される | 積立額が全額所得控除される | なし |
運用時の税制優遇措置 | 運用益は全額非課税 | 運用益は全額非課税 | 運用益は全額非課税(最大20年間) |
金融機関の選択 | 企業等が選択 | 加入者が選択 | 加入者が選択 |
運用商品の選択 | 企業等が選定した運用商品から加入者が選ぶ | 金融機関が選定している運用商品から選ぶ | 金融庁の基準を満たした株式投資信託とETFから加入者が選ぶ |
口座管理料 | 多くの場合、企業が負担(加入者が負担するケースもあり) | ・加入時(初回のみ)に2,829円 ・金融機関によって毎月66円〜589円 | なし |
運用責任 | 加入者 | 加入者 | 加入者 |
受給開始年齢 | 原則60歳以降 | 原則60歳以降 | いつでも |
受取方法 | 年金受取、一括、または併用 | 年金受取、一括、または併用 | 自由に引き出せる |
メリット
- 積立時の節税効果(企業型DC、iDeCo)
- 利益に対する節税効果(企業型DC、iDeCo、つみたてNISA)
デメリット
- 選べるファンドが少ない(企業型DC、iDeCo)
- リターン取れない(投資先を自分で選ぶ必要がある)
- 円建て(企業型DC、iDeCo、つみたてNISA)
- 60歳以降しか引出しができない(企業型DC、iDeCo)
企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)は、全額所得控除になるので節税メリットはありますが、60歳まで引き出せないのが大きなデメリットです。どちらか選べと言われたら、口座管理料のかからない「企業型DC」になりますが、20歳で始めると最低40年間は引き出せません。所得税率20%以上の方は加入を検討してみても良いと思いますが、年収500万円くらいの方は他の方法で運用した方が流動性も高く増やしやすいです。
つみたてNISAは、積立時の節税効果はありませんが、運用益が20年間非課税になります。またいつでも売却と引き出しができる流動性の高さがあるので、預貯金代わりに中長期の積立や資産形成には良いと思います。
そして、全てに共通するデメリットは、「日本にある資産」で「円建」になってしまうことです。2022年になり急速な円安になりましたが、このまま進むと円の価値がはどんどんなくなっていきます。多くの方が日本円での収入しかない中で、そのまま円建で資産形成や運用をしてもあまり増えない、またはリターンが出ても価値は目減りするということが起こります。
例えば「海外積立」や「海外個人年金」であれば、『海外』で『外貨』で資産形成や運用をすることができるので、このデメリットを解消することができます。
結局のところ私には何が合っているのでしょうか?
どれを優先するかは、その人の資産状況、職業、収入、貯蓄能力によって変わるので、個別に相談して頂く方が早く最適解を見つけられます。
下記の直接相談(無料)より、お気軽にお問い合わせください。
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著者プロフィール
-
大学卒業後、東証1部上場の設備会社で現場監督として勤務。
外資系生命保険会社からスカウトされ、2013年1月から生命保険のライフプランコンサルタントとして6年3ヶ月勤務。
また同時期に個人で海外投資も始めましたが、海外投資の情報は少なく信頼できるか判断も難しいので、WEBや知人から沢山の情報を集めていました。 その1つの情報源としてK2のメルマガを購読しながら知識を深めていきました。
そして国内外の保険や投資についてメリット、デメリットを正直に伝えた上でアドバイスをする活動方針に共感し、弊社保険アドバイザーとして2019年4月よりK2 Holdingsに参画しました。
クライアントのマネーリテラシーの底上げをしつつ、日々顧客利益の為に活動しております。
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